Sleeping
Princess
起きるのが遅いのは大体いつものことだし、自分としても原因を作っている部分が少なからず有るからどうこう言うつもりはない。むしろ言えない。
それに自分の前では泥のように眠る、という事実に優越感を抱く。
しかし、もうすぐ昼だ。食事の必要が無いとは言え、さすがに1日寝たままというわけにはいかないだろう。
ブランケットに包まって静かに眠るアルカディアの頬に触れてみたら、細い肩が微かに震えた。だが起きる気配はなくてやはり目を閉じたまま。相変わらず、とても美しい。彼には「美しい」という言葉が本当によく似合うと思った。
「アルカディア」
「……」
「…アルカディア」
「……」
名前を呼んでも起きない。
「…ルカちゃん」
「……」
あ、ちょっと反応した。
思わず笑ってしまう。
眠り姫みたいだ。キスで目覚めるという部分にはとても興味を惹かれる。自分が王子様でアルカディアがお姫様。お姫様にしては随分と血なまぐさいが。
「アルカディア」
一向に起きる気配のないアルカディアの手をとってそっと指先へと口付ける。ちゅっと音を立ててみてもやはり目を覚まさない。
手の甲、掌、手首。
色々な場所にキスをしてみた。微かに身じろぐその仕草すら愛おしくて顔がにやけてしまう。
今度はアルカディアの鎖骨へとキスを落とした。そして顎の辺りや頬や鼻先にも。ちゅっちゅと軽い音と共に何度もキスをして、少しずつアルカディアの覚醒を促していく。額にも。さらに目元にもキスをした瞬間、アルカディアの目がゆっくりと開かれた。
「……」
「おはようアルカディア」
「……ん…」
ぼんやりと見つめてくるアルカディア。まるで小さな子どもの様でかわいくて、眺めていると幸せな気持ちになる。
「…アルカディア?」
「………」
「起きた?」
「おきた……」
嘘だな。どうみてもまだ半分は寝てる。もう半分は起きているというか、こちらの言葉に意識が引き摺られているらしい。それはそれで構わないが、どうしてやろうかな。
「…あの…クラウディオ」
「ん?」
「……キスマーク…いっぱい…なんだけど…」
「ああ、私が付けたよ」
「……」
「お前が中々起きてくれないからな。寂しかったぞ」
「さすがに…つけすぎ…」
「寝顔がかわいかったから許してやる」