「痛くないか?」

「ん………」

アッシュは自分の上に座るウィスタリアに声をかけた。
ウィスタリアはアッシュの首に手を回し、肩に頭を埋めている。性器がいつもより深く挿入される体位で少々苦しそうであったが、規則的な呼吸音には余裕が残っている。
その様子を見ると、ウィスタリアも行為にだいぶ慣れてきたように感じる。最初は当たり前だがリードされるばかりで、こちらも苦しくないか、痛くないか逐一確認しながら行っていた。途中で挿入を諦めたことも多い。
その頃に比べると、本当に慣れてきたな、と思う。すごく恥ずかしそうではあるが、最近素直に快楽を表すようになった気がする。

「……腰、揺れてる」

「……っん、んぅ、あっしゅ……」

馴染ませようとしばらく動かずにいると、ウィスタリアの方が焦れて腰を動かし出した。意地悪くそれを指摘すると、彼の恥ずかしそうな反応が返ってくるからたまらない。快楽を求めるその姿に、アッシュはふと思いついて口を開く。

「……今日はそのまま自分で動いてみるか?」

「ぇ…?」

「腰を上げて気持ちいいところに当てるだけだ」

「ぇ、わかん、な……ぁ、ぅ」

「ほら」

腰を上げるのを手伝ってやる。性器が腹の中を擦り上げる快感にウィスタリアの腕に力が入る。ゆっくりゆっくり下ろしてやる。あ、あ、とウィスタリアが小さな声をあげて感じ入る。何度かゆっくり上下運動を手伝ってやると、次第にウィスタリアが自分で動き出す。

「は、ぁ……ん、ぅ…っ」

本当に慣れたものだ。気持ちよさそうな吐息を漏らしながら快楽を追う姿にほくそ笑む。言葉に出さずとも密着した状態でそれを感じ取ったウィスタリアは激しい羞恥を覚える。それでも腰を止められない。

「……っんぅ!♡」

無意識のうちに避けていた前立腺を自ら抉ってしまい、ガクンと脱力する。性感帯への刺激に強く収縮する内壁に、深い挿入が追い討ちをかけ、締め付けがキツくなる。
アッシュは思わず熱い吐息をこぼし、すぐそばのウィスタリアの耳元に言葉を流し込む。

「…その調子、気持ちいいよ」

「…っ!あ、ぇ……っ?、!」

その言葉がウィスタリアの脳に届いた瞬間、体が大きく跳ねた。頭がガンガンして、心臓がきゅうきゅうする。

「ん、んっ、んんんっ…♡」

かぶりをふる。腕に力が入らない。それなのに、アッシュを咥え込んでいる箇所だけがキツく反応したまま、帰ってこれない。
アッシュはウィスタリアの反応に少し驚いて、声をかけようとする。

「…ウィスタリア」

「……や、ぁっ、ちが、…ぁ…あっ!?♡♡」

ウィスタリア自身も何が起こってるかわからないが、今は触れられたくないと本能的に否定を返す。何について?分からないが、自分にとってすごく恥ずかしいことが起こっていることだけ感じており、ぼんやりした頭で必死に何かを否定する。
ウィスタリアの反応の原因は何か。アッシュは直前の自分の言葉を思い返した。もしや……と思い当たった考えにアッシュはたまらなくなり、今度は自ら動き出す。

「はは、可愛い」

「やぇ……っいまっ、」

軽い絶頂の余韻が残るウィスタリアは、呂律が回らないまま焦った声で制止する。だが、アッシュは構わず上に座るウィスタリアを突き上げる。めちゃくちゃにしてやりたい。

「私に気持ちいいと言って欲しかったのか」

「…はぇっ!?」

途端ウィスタリアの顔が今まで以上に真っ赤に染まる。アッシュが自分との行為で快楽を感じてくれるのが嬉しかった。そのこと自体がたまらない快楽だった。

この行為を始めた頃は、受け身側の準備を差し引いても、アッシュに頼りきりで、遠慮をさせていることが分かっていた。アッシュは少しずつでいい、繋がるまで行かなくても気持ちが通じ合っているだけで十分満たされると言ってくれた。だからこそ不甲斐ない気持ちに陥ってしまう。体をつなげられるようになり、アッシュを心だけでなく体も満たせるようになった。自分が気持ちいいだけじゃなくて、相手も気持ち良いセックスができる。ウィスタリアはそれが内心嬉しくてたまらなかった。

アッシュの快楽が自分自身の快楽より気持ちよくて、嬉しい。でも、それを知られるのが恥ずかしくてたまらなくてウィスタリアは必死に否定を繰り返す。
だが、アッシュはただの優しい男ではない。ウィスタリアのその内面を暴くことに興奮を覚え、追い詰める。
望み通り、ウィスタリアを気持ちよくして、自分も気持ちよくなってやろうじゃないか。ウィスタリアの弱いところを遠慮なく抉り、きゅうきゅうという締め付けを楽しむ。

「や、だっ、そこ…」

「……気持ちいい」

必死に声を上げるウィスタリアに、逃すまいと耳に濡れた息と言葉を注ぎ込む。耳への刺激に、悲鳴をあげるウィスタリアの体をきつく抱きしめ、閉じ込める。
求めていた言葉を与えられたウィスタリアは、再び脳の痺れを味わう。絶頂に至ったことを繋がった状態で隠せるはずもないのに、口からは否定が溢れでる。

「あ、あ、ぅ……っ♡ちぁ、ちがぅ……」

「吸いついてきて、たまらない」

「…わ、かったッ、わかったからぁっ」

言葉と絶頂しても勢いの変わらない揺さぶりに、ついにウィスタリアが白旗を上げる。顔面は生理的なものか、恥ずかしさか、涙でぐちゃぐちゃだ。白い肌は全身真っ赤に染まっている。
大切にしたいはずの存在なのに興奮で頭が沸騰しそうになる。
降伏したウィスタリアを更に追い詰めようと、耳元で囁く。

「私が気持ちいいと、嬉しいんだな」

「………ぁ、……っ」

「言ってみろ。言わせたい」

「……う、ぅ、」

腰の動きは少し緩めて、気持ちいいところから少しずらす。ウィスタリアは少し余裕を取り戻すが、それすらアッシュのコントロール上。 

「恥ずかしがって欲しい。興奮する」

「……ひぅ…」

追い詰められてはーっはーっ、と荒いウィスタリアの息を耳元に感じ、更に追い詰める。
ウィスタリアがアッシュの快楽を喜ぶように、アッシュもウィスタリアが自分を気持ちよくさせようとしてくれることが嬉しい。
それを冷静になったウィスタリアの脳に分からせる。

「…アルカディア」

「…ッッ」

とどめに彼の本当の名前を呼んでやる。
びくりと腕の中の体が跳ねた。彼は、アッシュに本当の名前を呼ばれることに弱いらしい。
ウィスタリアは恥ずかしさと嬉しさのにじんだ声を絞り出す。

「……あっしゅ…を、気持ちよく、させてるの、うれし……」

​​──認めた。
そう認識したアッシュは自分の口角が上がるのに気づいた。
ウィスタリアの腰を持ち上げ、焦らしていた弱点に容赦無く先端を叩き込み、竿を這わせ、そのまま奥に咥え込むようウィスタリアの腰を落とさせた。

「​​​​──〜〜〜〜ッ!!!♡♡」

ウィスタリアは声にならない悲鳴をあげ、体をのけぞらせる。アッシュは、その体をゆさゆさと揺さぶり奥を緩く刺激し続ける。
自らの絶頂も近いと感じたアッシュは、先走りを流し続けるウィスタリアの性器に手をかける。刺激が増え、ウィスタリアは思わず身を捩らせるが、腰に回ったアッシュのもう一方の腕だけで封じ込められてしまう。
ウィスタリアは止まない快楽に嬌声をあげることしかできないが、その腕はいまだアッシュを頼るように首に回っている。

「いい子。いい子だなアルカディア」

「あ、あぅっ!?♡は、ぁ…ぅ…っん♡」

「気持ちいいなアルカディア」

「うっ、あっ♡やぁっ、まって…待って、ぇっ」

ウィスタリアの耳に、褒め言葉と、快楽を伝える言葉を塗り込んでいく。
締め付けを止められないナカと、意思をもって追い詰められる性器、そしてアッシュの言葉にひたすら追い詰められる。
ウィスタリアの脳がチカチカし出し、ついにはスパークし、一瞬頭が真っ白になった。

「​​──あッッ♡♡…ぁ、ぅ……♡」

「く……っ」

前でも絶頂したウィスタリアの締め付けに、アッシュも精を吐き出す。

「ひ、ぁう…!」

自分の快楽の証を吐き出した腹を、撫でてやる。
頭の白い靄が晴れかけたウィスタリアは、それを認識させられ本能的に声を漏らす。

少しだけ落ち着いたウィスタリアの腰を持ち上げ、自身を抜いていく。
まだ熱の残るウィスタリアは、快楽の籠った吐息をこぼしてしまう。
ろくに力の入らない脚を労わるように撫で、アッシュは「少し待っていろ」と声をかける。

「ご褒美だ」

アッシュは精を吐き出したコンドームを外して脇に置き、再度ウィスタリアの入り口に先端をくっつけた。
ウィスタリアが望んでいるような口ぶりだが、アッシュ自身が我慢できなくなっただけだ。今日は自身の快楽の証を直接叩き込んでやらないと気が済まない。
だが、ウィスタリアもアッシュの口調に引っ張られるように再度押し付けられた熱に「あ……」と物欲しげな声を漏らしてしまう。
口が緩んで、よだれがアッシュの体に落ちる。

「あ、ぅ……!」

ウィスタリアは焦ったように声を上げる。 アッシュはそれを見て「はしたないぞ」と声でもかけてやろうかとしたが、踏みとどまっておく。それでもウィスタリアは羞恥に苛まれ、もう涎をこぼさないようきつく口を閉じ、アッシュの肩に顔を埋めて隠している。

「ひ……っ」

少しずつアッシュのものを再び体内に埋めさせる。既にキャパオーバーの快楽を味わった後のウィスタリアは小さく悲鳴をあげるが、既に脳はバカになってしまっている。本能で、アッシュのものを求めてしまっていた。



「ん​​──〜〜っ!!ん、んうぅっ♡♡」

2度目の行為は、2人ともほとんど言葉を発しなかった。否、発せなかった。
アッシュがひたすらウィスタリアの口を塞ぎ、呼吸を奪っていたからだ。
舌を絡めあい、とらわれ、キツく吸われる。快楽と、酸欠で、苦しくなる。
その間、ナカはずっと最奥をいじめられている。

「ん、あっ!?♡」

ウィスタリアの口を久々に開放したアッシュは、ウィスタリアの腰を抜けるギリギリまで持ち上げた。
呼吸が自由にできるにようになったウィスタリアが、必死に息を吸い込んでいる内に、パッと手を離す。
アッシュの性器が気持ち良いところすべてを擦り上げながら中を蹂躙する。
そして、散々虐めていた最奥まで再び怒張を叩き込んだ。

「〜〜〜っ!?♡♡は…ぁ…ぁ…う…♡」

ウィスタリアの全身が強張ったのち、力が抜けた。はくはくと口が動き、弱々しく呼吸を求める。

「……ん」

アッシュはウィスタリアの性器が精を吐き出しているのに気づいて微笑んだ。そのまま更に虐めて潮でも噴かせてやりたい衝動が過るが、今日はそれより早く中にぶちまけたい。
未だ開いたことのない結腸の扉にぴたりと先端をつけ、腰の回転だけで刺激を与える。

「ぁ…っ!?あ、ぇ…っ?ひぁ…ぁっ…♡」

「気持ちいいか?」

「や、ぁっ…♡も、やぁ…♡」

「この先に入れたら、お互い飛んでしまうくらい気持ちいいらしいぞ」

「…ぁ……ぅぅ、あ…♡」

「……いつか、そこまで入れられるようにしようか」

ウィスタリアの怯えを感じ取り、それ以上先に進めるのはやめておく。だが奥に精を吐き出したいという自分の欲は譲る気はない。
奥に埋めたままぐっと腹を押す。ウィスタリアのナカが一気に締め付けを増し、射精欲が高まる。

「アルカディア、キスがしたい」

アッシュが声をかけると、ウィスタリアが顔を傾けぱかんと口を開くので遠慮なく口内を蹂躙する。

口を塞いだまま、ウィスタリアの最奥に欲をぶちまけ、快楽の証を刻む。

口付けから余韻が消えるまでずっと、アッシュはウィスタリアを逃がさないとばかりにきつく抱きしめていた。