6月にはつきものの、突然の大雨。
さて、傘を忘れた。雨を凌げるものは何もない。
両手は荷物いっぱい、止む様子なし、さてどうしようか。
かれこれ20分ほど、スーパーの屋根の下で待っていたら。


「どーもー、お迎えにきましたよ」


街中で目立つことこの上ない、和傘を携えた喜助さんが現れた。


「いやぁ、災難でしたねぇ」


そう言いつつ、買い物袋を一つ持ってくれる。ちなみに、牛乳入りの重いほう。


「喜助さん、傘、持ってきてくれたの?」
「あー、そのつもりだったんスけど、これ1本しかなくてですね」


必然的に、相合い傘だ。


「そんじゃ、帰りますか」
「うん」


水溜まりだらけの道を、二人でパシャパシャ歩く。
大きな和傘の下なら、雨も入ってこない。
あれこれ下らないことを話してるうちに、あっという間に浦原商店に到着。


「ただいまー、みんな!!」


店の奥から、雨ちゃんとジン太くんが駆けてきた。
洗濯物を慌てて取り込んでいたらしく、前髪や服が張りついてる。


「うっわ店長、肩んとこビッショビショじゃねぇか!!」
「タオル持ってきます……」


雨ちゃんが、奥にUターンしていった。
もしかして、私を濡らさないように、傘を寄せてたの?
だから左だけ、着物の色が変わってる。


「喜助さん、ありがとう」
「んー?なんの話で?」


雨ちゃんからタオルを受け取って、肩の水分を払ってあげる。


「冷えちゃいましたし、お風呂一緒に入ります?」


なぜ喜助さんという人はこうなんだろうか。
仕方ないから、優しさに免じて今回は一緒に入ってあげよう。
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