お引越し。
「ここか…」
会社の同期であるゾロに勧められたアパートの名前はかもめ荘。
転勤と共に引っ越そうと思い、相談したらゾロから勧められた、というわけである。どうやらゾロの住んでる所とかなり近いらしい。
「202号室、ここだ」
渡されていた鍵でガチャ、とドアを開ける。内装は綺麗で日当たりも悪くなさそうな所だ。よくあるワンルームである。
「ゾロも近いらしいし、ここにしようかな!」
ゾロにぽちぽちと連絡をして、不動産屋にも早速連絡をした。
*
あれよあれよという間に引越し当日。
予定が空いていたゾロと、知り合いでレストランを経営してるサンジさんが手伝いに来てくれた。
「ゾロも、サンジさんもありがとう」
「なァーに、レディの頼みならお易い御用だぜ、ミヤビちゃん」
「気にすんな」
2人ともひょいひょいと荷物を運んでくれる。申し訳ないぐらいに手伝えることが無かった。
「これで全部か?」
「うん、あっという間だった…」
小型のトラックはサンジさんが運転してくれた。
2人とも出来ないことなんて無いのかもしれない…。
「おれもコイツも近くの“アパート 麦わら”に住んでる。おれが101、コイツは103だ。何かあったら呼べ」
「おいおれを指さすんじゃねェよクソマリモ!!」
「あァん!?やんのかてめェ!」
またやいやいと言い争いを始めている。サンジさんのレストランにゾロと行くこともあるから、この光景は見慣れている。
「新しい生活…楽しくなりそう!」
私は小さくガッツポーズをしたのだった。