そして幕は降りる。


総勢10人で雑談していたけど、暫く話していた所でお店のドアが開く音がした。
みんな自然と会話が途切れて視線が向く。

「ナミいる?もう遅いから迎えに来たんだけど」
「ノジコ!」

ナミのお姉さんが迎えに来たんだ。でも、

「女の人2人じゃ危ないんじゃ、」
「おれも一緒だから安心しな」

後ろからは黒い髪をセンターで分けたそばかすの青年。

「エース!」

ルフィが勢いよく飛んでいく。疑ってた、とかではないけど本当に兄弟!って感じ。
なんか、ナミもルフィも妹と弟の表情になっているというか。私は一人っ子だからそういうの無いからちょっと憧れもあるかも。

「あら、見かけない人がいるわね」
「ミヤビじゃねェか!」
「エース知ってんのかァ!?」

ルフィが大袈裟なぐらいびっくりしてる。
ナミも、とっても優しいの!とノジコに話している。

「ミヤビです、2人とも改めてよろしくお願いします」
「もっと気ィ抜けって!」
「よろしく、ミヤビ」

エースにはバシバシ背中を叩かれた。

「んじゃー、2人が帰るならおれも一緒に帰ろっかな!」
「おれも〜…眠くなってきた…」

ウソップと目をこするチョッパー(かわいい)も椅子から立って、荷物を持った。

「「じゃ、またな(ね)!」」

未成年4人は仲良くハモり、店を出て行った。

「私も明日結構早いのよね…お暇しようかしら」
「おれもだ」

ロビンとゾロもそう言い、なんとなく解散の流れになった。
あの学生3人がムードメーカーなんだろうな。もしくは誰かが。ルフィかな。
みんな仲はいいんだけど、揃って飲んでる時は誰かが抜けるとちょっと違うのかもしれない。

「では、今日は解散ですね。ミヤビさん、是非またご一緒しましょう」
「お前なら、いつでも歓迎だぜェ!」

ブルックとフランキーの暖かい言葉。それに、

「またね、ミヤビ」

落ち着いた雰囲気のロビンから笑顔を貰えた。貰っていいのか、と思うくらい。

「じゃ、おれらも出るか。またな、コック」
「いい加減名前呼べよマリモ」
「お前もだろ」

サンジさんとゾロが軽く言い合いをした後、店を出る。サンジさんはこのまま翌日の仕込みをするらしいので店に残るんだとか。

ゾロと2人。歩いていたらゾロが平然と私と一緒に来るので違和感。麦わらハイムは逆だったような。

「危ないから、おれが送る」

ゾロがとても真面目な顔で言うので。

「オ、ネガイシマス…」
「なんでカタコトなんだ」
「なんか…圧?」
「圧なんかかけてねぇ」

ゾロと並んで2人、そう遠くないかもめ荘を目指して歩く。

「みんな、いい人達だね」
「あァ」
「…ゾロの紹介だから、分かってたけど」
「そうか」

短い返事のゾロも暗がりで見えづらいけど表情は穏やかに見えた。
仕事をガツガツやるタイプだけど、こうして息抜きをしてるのなら安心した。
そして、その場に連れ出してくれた事。

「ゾロ」
「ん?」
「ありがとうね」
「気にすんな」

がしがし頭を撫でられる。髪の毛がぐちゃぐちゃだけど、もう家に着くしそのまままでも良いかな。

「送ってくれて、ありがとう」
「危ねぇからな。近頃」
「また、ね」
「おう」

ゾロを見送り、服やらメイクやらをそのままでベッドに倒れ込む。
引越しする旨を上司に伝えたら少し多めに休みをくれたので、そのまま寝てしまおうかという考えに落ち着いた。いい上司だ。
髪型は少々特徴的だけど。

心地よい疲労感で私は眠りについた。






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