近くの病院。


「うっ…」

麦わらハイムに住む面々とどんちゃんした翌朝。
休みで良かったと痛感した。少し肌寒さを感じつつもそのまま寝てしまったのが良くなかったらしい。つまるところ体調が悪い。

喉と頭が痛いし若干鼻呼吸がしづらい。
すぐに体調が悪化しやすい所は相変わらずだ。

「怠い…けど、早めに病院行かないと…」

重い体を起こし、とりあえず水を飲む。
たしたしとスマホで近くの病院を調べる。こういう時便利な時代に生まれて良かったと心から思う。

「トラファルガー医院…」

検索結果で1番上に出てきた。確かに近い。
これなら歩きで行けそうだ。
早速身支度を軽く整えてスマホとお財布を持つ。
怠いと思いつつも歩けない程ではないので自力で向かう。

「こんちは!」

大きくはない院内にまぁまぁ響くボリュームの受付の男の人の声。
キャスケット帽を被っていてかなり不思議な感じ…。

「今日はどうしましたー?」
「(軽いな…)風邪っぽくて…」
「なるほど。ここ初めてですか?」
「そうです」
「んじゃこれ書いてください」

はい、と問診表を渡され、記入していく。

「へぇ、お姉さん近いとこ住んでるんすね!」
「そ、うですね…」

すごいフランク。本当に病院だよね?

「じゃちょっと待っててくださいね〜」
(大丈夫なのかな…)

受付の人に驚いてるのもつかの間、今度はここの先生に驚かされた。
背が高くモデルかと思うスタイルと顔にも驚いたけど、それ以上に腕まくりした白衣から見える前腕部の刺青。
お医者さんってそれで務まるものなのかな。

「肺に特に異常は見られない…よくある風邪だろうな」

すごいかっこいい声。ファン多そうだ。

「喉が少し腫れている。痛むか?」
「少し痛いです」
「分かった。ならそれも薬を出しておく」

サラサラ、カルテを記入している間にもつい腕に視線がいってしまう。

「気になるか?」

いきなり聞かれて顔を上げるとバッチリと目が合う、深い藍色の双眸。感情は図れない。

「あ、えっと…」
「いい。慣れてる」
「すみません…」
「なんで謝る」
「不快な思いをさせたかと」
「…見ない方がおかしい。コレはおれの誇りだからおれがこのまま働ける所を作ったんだ」

静かにそう言うとカルテの記入を再開した。

「診察は済んだ。ココは院内で薬を出してる。会計の時に受け取れ」
「あ、ありがとうございます」

ふ、と柔らかい笑みを浮かべた先生。

「大事にしろよ」



なんか、不思議な病院だった。
受付の奥で動いていた男の人も帽子を被っていたし、見間違いでなければ看護服を着たシロクマが…

いや、さすがに見間違いだろう。

…でも動いたホネもいたしなぁ。サイボーグも。

うーん。

まぁ、いいか。なんでも。

その後家に着いた私はちょっと体調悪いというメッセージに心配しまくったサンジさんが押しかけてきてゆっくりするどころではなくなってしまった。





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