誰かが言った。
とある国に、体の全てが猛毒で出来ており、吐く息まで猛毒になる“紫毒女王”がいると。
誰かが言った。
その女王の産んだ王女は、母親の女王の何百倍も強い毒を持って“黒毒姫”として生まれたと。
「……で、ボクが呼ばれたわけですか」
「すまんのう、様々な毒に耐性があるお前さんにしかこの子を頼めなくてな」
そう言うと、一龍は自分の足元に隠れていた少女を指さす。
少女はふるふると震え、腕に人形を抱きながらココをじっと見つめている。
「……怖がらなくていいよ。君の名前は?」
「……セレン……セレン・サリドマイド……」
「セレンか、よろしくね」
そう言うと、ココはセレンに握手を求める。
するとセレンは目を見開いてココから逃げるように遠ざかった。
「だめ!セレンにさわったら、おにいさん、しんじゃうかもしれないんだよ!?」
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