「·····しまったー!!!!」
通電後にゲートへまっしぐらに走って開け始めたはいいものの瞬間移動警戒を忘れ、
そのまま瞬間移動で飛んできた妲己にノーワンでぶん殴られるという大失態を今やらかしたわけですが。
「·····ほほ、お主もまだまだじゃのう」
「くっそ、やられた·····」
こうなったら仕方ない、諦めよう。
私が吊られれば、あとの3人が逃げる時間を僅かだけど稼ぐことが出来る。
あとは彼ら次第だ·····
「やられたよ妲己、このまま吊っちゃって」
「潔いというか、諦めが良いのう·····まぁ良い、わらわも瞬間移動を使ってしもうたし、お主を土産に荘園へ帰るとするかの」
そのままロケットチェアに座らされ、安全バーを下ろされる。
彼らが逃げた後に来るはずの衝撃に備えて目を瞑ると、ふと顔にどろりとした感触が。
恐る恐る片目を開けてみると、私の体は黒くどろどろとした物に包まれる最中だった。
「·····!これ、まさか·····」
そう思った次の瞬間、私の視界は黒く染まる。
その数秒後、私は北ゲート前にいた。
「·····成功しました、ね」
「イソップ!?」
「驚くのはあとです、すぐに走って!」
「え、あ、うん!」
気づけば、目の前には空いたゲートとイソップ。
そして私は脳内を整理する暇もなく、イソップに右手を掴まれ走り出した。
その時私は混乱する頭の中のはじっこで「あぁ、納棺されたのか」とぼんやり考えていた。
·····あれ?
私、イソップに顔見てもらってたっけ·····?
ゲームが終わって荘園に戻ったあと、それが気になった私はイソップにその疑問をぶつけてみた。
「さっきのゲーム、いつの間に私の顔見たの?見てもらった覚えないんだけど」
「え?見てませんよ?」
「·····え?」