キスしましょう?
「飯田ちゃん……?」
やってしまった。
「今、アタシに……」
俺は、彼に
「キス……した?」
キスを、してしまった。
俺の唇に残る、リップや口紅特有のどろりとした感覚。
彼の唇の、少し剥げた口紅。
唇を押さえてふるふると震える彼に、
ぎゅうっと胸が締め付けられる感覚がした。
「……す、まな、い」
途切れ途切れに呟いた謝罪の言葉に、俺は酷い自己嫌悪に襲われた。
……俺は、何て男なんだ。
「……飯田ちゃん」
ああ、どうかその口で俺に言ってくれ。
俺に対する嫌悪を、憎悪を、その口で。
「……すっごく嬉しいわッ!!」
「……えっ?」
「んもう、飯田ちゃんったらァ……だ・い・た・んvV」
「俺を、咎めないのか……?」
「あら、アタシがそんなヤワに見える?むしろ嬉しくてトんじゃいそうだったワ!」
ふふ、と笑いながらそう言う彼に、
俺はまた、きゅうっと胸が締め付けられた。
「そもそも……好きでもない男にキスされて、こんなに喜ぶと思ってるのォ?アタシはそんなビッチちゃんじゃないわヨ」
「……アタシ、飯田ちゃんの事好きなのヨ?もちろん、“Love”の意味でネ。」
頬に手を当て、上目遣いでこちらを見る彼に、
俺も胸はさらにギリギリと締め付けられる。
「ねぇ、飯田ちゃん」
「もう一回……アタシとキス、しましょう?」
彼から告げられたその言葉を拒む理由もなく。
俺は彼を抱き寄せて、もう一度唇へ、今度はゆっくりとキスを落とした。
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勇樹と飯田のCP最高すぎて……
20170802
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