抜け羽根行進曲

「·····何が面白いんですか、そんなもの見て」


そう不思議そうにグリフォンが言うと、ホークスはグリフォンの茶色の抜けた羽をくるくると指先で弄んでこう言った。


「いやー、同じ羽でも個性でこう違うとはね」

「·····さすがに、私はホークスのように抜けた羽根は操作出来ませんけどね」


そう言うと、グリフォンは腰の羽をバサッと軽く動かした。
すると、羽根がまた2、3本抜けて地面に落ちる。


「·····失礼、換羽期なもんで」


グリフォンはそう言うと、抜けた羽根を拾いヒーローコスチュームの腰についている袋に入れた。


「·····それ、どうするんですか?」

「消毒して洗って乾かして·····希望があれば私のファンに配るんですよ」

「え」

「この前SNS見たら、私の羽根を羽根ペンにしてくれたって人がいましたよ。軸が固くて書きやすいんですって」


そう言って笑うグリフォンを見て、ホークスは少しムッとした顔をするがすぐいつもの顔に戻る。
そしてキョロキョロと辺りを見回し、誰もいないことを確認するとそっとグリフォンのウマ耳に耳打ちした。


「·····へぇ、初音は彼氏の俺以外にそういう事すると?」

「っ!」


急に本名を囁かれ、ビクゥ!とグリフォンは身体を震わせた。
そしてグリフォンも周りを見回すと、小声でホークスにこう言い返す。


「しゃーないが!これは見習いヒーローの頃からのファンサなんじゃもん!」

「·····でも、彼女が切り売りされてるみたいで俺は好かんと」

「切り売りて·····もうちょい言い方あるじゃろ·····」


呆れたようにグリフォンは言うと、自分の羽根を掴んで羽毛をゴソゴソとまさぐる。
そして1枚の羽根を掴んで、ホークスの前に差し出した。

·····その羽根は、ホークスの剛翼と同じ赤色。

いつも彼がグリフォンの行く先を知るために、彼女の羽の中に忍ばせているものだった。


「いつも一緒におるのにまだ足りんか?·····啓吾」


そのままグリフォンは掴んだままのホークスの羽根にちゅっ、とキスをした。その瞬間、ぼふん!という効果音と共にホークスの顔が真っ赤に染まる。


「あぁ〜·····くそぅ、カッコつけんかった·····」


恥ずかしさからその場にうずくまるホークスを横目に、グリフォンは自分の羽根を未だ持っていたホークスからひったくり、ヒーロースーツの袋に入れた。


「さてと、それじゃうちはパトロールに戻ろうかな。また啓吾と一緒におる所週刊誌にでもすっぱ抜かれて炎上するのは懲り懲りじゃけんね」

「·····あんま無茶せんで下さいよ、あなた一応女性なんですから」

「わかっとるって·····ほんに心配性なんじゃけん」


苦笑いを浮かべながらそう言うと、グリフォンはひらりと手を振ってその場を離れた。
そして、しばらく歩いて後ろを振り返る。
そこには、未だに赤い顔のまま立ち尽くしているホークスの姿があった。


「(あちゃー、やり過ぎたかな)」


少し反省しながら、グリフォンはもう一度手を振ると今度こそ事務所の方へと歩き始めた。


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お互いの羽のくだりがやりたかったーーーー!!!!
あと拾った鳥の羽はちゃんと消毒して洗浄してから飾ろうね!!

20220405


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