レイニィ・ディ(SS)
「……クソが、降って来やがった」
「何よ?爆豪、あんた……傘忘れたの?」
不機嫌そうに頭を掻く爆豪の隣で、とろみは自分の髪色と同じ水色の傘を広げながらそう言った。
「きゃー、だっさぁい!天下の爆豪さんが忘れ物とか!!」
プークスクスと擬音がつきそうな笑いを漏らすとろみに、爆豪の眉間のシワが深くなる。
「……というのは、まぁ半分冗談。これ使いなさいよ」
そう言うと、とろみは持っていた傘をわざわざ閉じ、爆豪に差し出した。
「テメェの傘だろ、テメェが使え」
「いいのよ、気にしないで。」
そう言うと、とろみは無理やり爆豪の手に傘の柄を握らせる。
「ちょっ、てめ……」
「あんたに風邪でも引かれたら、なんか後味悪いじゃない?……あたしのことは気にしないで。個性使って帰るから」
「·····本当に、使ってもいいんか」
「何回も言わせないでよね、あたしはちょうどスライムに水分補給したかっただけなんだから!」
そう言うと、とろみは個性を発動させて体をスライム化させた。
そしてそのまま滑るように歩き出す。
「……気をつけて帰りなさいよ」
そう言って跳ねるように帰るとろみの耳は真っ赤で。
それを見た爆轟も顔を赤くし、「クソッ」と一言だけ呟いた。
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ツン×ツンって……いいよね……
20170607
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