ぶっ本主の噂
[1/2]

僕がまだ40の仲間入りする前の話。
新人の声優がその現場にはいて。その顔を見れば、よく童顔と言われる僕でさえもこの子は童顔だなーと思うほど、若々しい男の子?がいた。

なぜ、?なのかというと、それほど彼の顔は童顔と中性的な顔が合わさっていたから。
よくよく見れば男の顔だけど、パッと見た感じでは女の子に見える顔だったのだ。
これは昔、絶対何回も女に間違われただろうなーと思った僕は、隅の方で縮こまって台本を読んでいる彼の元へと歩いた。


「君、よく女顔って言われるでしょ?」

「え、あ...はい」



今でも思うけど、僕のこの第一声に晃はよく答えたなと思う。








「遊佐さんってなんであっきーと仲良くなったんです?」


そう聞いたのは晃の先輩声優に当たる小野君。
ある作品で共演した時、彼にそう聞かれたことを思い出した。


「女顔だなーと思って、それを僕が彼に言ってから仲良くなったね」

「それをよく言いましたね、あっきーにw」

「僕も思うよ」


今でも晃は女顔や童顔と言われる立ち位置にいるわけだけど、それでもあの頃に比べると幾分か成長したなと思うところもある。
それは見た目だけではなく精神面や演技においても言えるところだ。


昔はその中性的な声であまり狂気的な役やイメージの壊れるものはやっていなかったけれど、今は逆にそのイメージを壊すあくどいキャラクターなどを演じるようになって。

成長したなーとしみじみ思うようになった。

30になってから、どんどんいい意味で壊れている晃のイメージは、徐々にファンの間でも定着しているのだろうけれど。


「それ、あっきーに言ったら絶対喜びますよ!!」

「じゃあ言わない」

「えーなんでです?あっきーめっちゃ遊佐さんの事慕ってるのに」

「だからこそだよ」

「え??」


晃が僕を慕ってくれているからこそ、僕はまだまだ彼のことを褒めようとは思わない。

それは僕も男だから、というのもあるし、何より彼を新人の頃から見ている身としては、ここで言う事に意味はないと思うのだ。


まだまだ晃には負けていられない。







先輩声優の本音






栞を挟む

* 最初 | 次へ #
1/2ページ

LIST/MAIN/HOME

© 2018 憂いにキエル。