ぶっちゃけ本気になること(もしも武道館デビュー果たしたら)
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収録が終わり台本を閉じてカバンに入れる。どんな反響かなと携帯を開けば、明らかに多い通知の数。ファンの皆からの応援のメッセージや、祝福のメッセージ。それに一つ一つ目を通して心を癒していく。

「晃、このまま今日は上がっていいぞ」
「はーい事務所は明日よりまーす」

マネージャーにそう言って手を挙げて、いつもの真っ黒のリュックを背負ってスタジオを出る。音響スタッフの皆に頭を下げてお疲れ様でしたと扉を開けば、同じ場所で収録があるのだろう神谷さんと小野さんが、俺を待っていた。




何故?




「え、お、お疲れ様です神谷さん小野さん…」
「あっきー!!!!」

よーわからん光景にどもりながらも挨拶をすれば、どわっと涙を流しながら俺に抱きついていた小野さんをなんとか避ける。なんであっきー!?と叫ばれたけど無視だ。

呆れたようにそこらへんに転がってる小野さんを見下ろした神谷さんが、その顔を上げて俺の顔をじっと観ていた。

「おめでとう晃くん」
「…え?」

神谷さんは携帯を見せてきた。
そこに映されているのはさっきまで放送されていた俺のラジオのサイトだ。次回をお楽しみにと書かれた文字をじっと観た後、俺は携帯越しに神谷さんを観た。

「聞いてたんですか?」
「もちろん。毎回収録前に聞いてるよ」
「今回のは本当に嬉しいことだったから、神谷さんと2人でこの階に降りてきたんだよ」

ニコニコと微笑みながら、いつの間にか復活したらしい小野さんが立ち上がり俺の頭をなでる。

「ついにだね、あっきー」
「僕たちもずっと待ってたよ」

二人とも武道館に立ったことのある人たちだ。小野さんはソロでも立ってる。そんな二人に優しい表情で言われたら、さすがの俺でもうるっとくるものがあって。下を向いて顔を横に振り、小野さんの手をどかしていつもの感じで返事をした。





「ありがとうございます」




つもりだったけど、やっぱりここは素直になるべきで。見せてしまった笑顔が、いたずらっ子のような笑顔ではなく、純粋に泣きそうな笑顔になってしまったのは一生の不覚だ。

「僕達も行くからね」
「来てくれるんですか?」
「もちろんだよあっきー!すっごい楽しみにしてる!」

お二人はそういうと、笑顔で俺の肩をポンポンと叩いて、収録へ向かっていった。
後少しで収録だというのにわざわざ下の階ににまで来て俺に声をかけてくれるなんて、どこまで優しい先輩なのだろう。消えていった二人を見送った後、俺もエレベーターに乗り込み、もう一度携帯を見る。ファンの皆からの言葉の他に、同じ声優仲間達からも怒涛のように連絡が来ていて。

なんで知ってんの?と思いながらも、やっぱり笑顔が零れ落ちた。
どんだけ俺のラジオ聞いてんだよ皆。
嬉しい気持ち半分、気恥ずかしい気持ち半分。俺は指を動かして、一人一人丁寧に返事をしていった。

同時に覚悟も決まった。

絶対に楽しいライブにしてやるぞ、ってね。



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