深淵の淵より見つめた者


 雄英高校の普通科は存外に楽しかった。
 ヒーローがどんなものか、と見に来たモノキュレーターにとっては収穫も多い。中には自分を凌駕する個性も居るようで、体育祭はそれなりに見ものだった。普通科、無個性の人間であるという領分を超えないようにすれば自然と第一種目落ち、その後は見学ができるという上等な行事になった。普通科にはヒーロー科を落ちて入ったものも多いせいか、卑屈になっているものも多く、ああいうのが将来何をしでかすかわからないんだよなぁ、と心から楽しんでしまう。
 この生活を三年続けるのも悪くないな、と素直に思えている。

 誰も来ない中庭の裏のベンチ。
 木漏れ日の差し込む、影の場所。
 アスナ――モノキュレーターは静かに微笑んだ。
(やっぱり、ここへ来てよかった)
 自分の進むべき道がはっきりとした。やはり、自分は――善の光ある道には行けない、行くべきではないと思った。自分の悪性は生まれ持ってもの、誰にも否定されること無く

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