みかん食べたい
「はい、にいしゃま、あーん!」
「あーん」
ぱく、もぐもぐ。
「ん、うまいな!」
「えへへ」
あー、なんてかわいいんだろう、とピオニーは自分の膝の上にいる年のすごく離れた妹アスナを見て、破顔した。
時期は冬となり、寒くて寒くてたまらない外から慌てて帰ってくれば、なぜか家にいたジェイドがアスナと共に炬燵を出してまっているではないか。何でも理由は「アスナが一人でかわいそう」と言うわけで。いや、そりゃ、俺だってかわいそうだとは思うけれど、とピオニーは何も言わない妹を見て少しばかり申し訳なくなるが、まだ3つの妹は聞き分けも良く、わがままも言わず、保育園でもいい子だという。そこに少しばかり心配になるが、兄が帰ってくれば甘えたで我儘も言うから、まあ良しとしよう。
何でもやりたがりになってきた妹にとっては蜜柑と言う果物はとてもよかった。ナイフも使わないから、自分で皮をむくことができる。自分できれいに剥けたよ、と兄に報告して、褒められてまた次を、と励む姿には少しばかり妹の成長を感じる。いつか、料理をしたい、と言い出したらどうしよう、と未来に不安を感じざるを得ないが。
「ジェイドあーん」
「あーん」
ぱく。もぐもぐ。
「さすがです。とても美味しいですよ」
ジェイドにも褒められてとても嬉しそうなアスナだが、そろそろ蜜柑はおしまいだ。
「今日はもう3つ食べたのでおしまいですね」
「えー」
「また明日。ですよ」
「むー」
アスナは面白くなさそうに頬を膨らませるが、約束は約束だ。
ピオニーに抱き上げられて、アスナは目を真ん丸と開いた。
「さぁて、寝る前の歯磨きだ!どこまで自分でできるかな?」
「アスナ、もうひとりでできるよ!」
「じゃあ、兄様に見せてくれるな?」
「うん!!」
そのまま洗面台に向かう為、ピオニーは歩き出した。
また、明日みかんを食べたいね!と笑うアスナを強く抱きしめると、アスナが嬉しそうに笑った。