空へ飛び立つキミへ
アスナは何も言わない。
主張がないわけではなく、言いたいことははっきりというが牛島に向かって何かを遮るようなことはめったに口にしない。
全ては牛島の思った通りに、と微笑んで影に控えていることが多い。
「海外留学?」
「うん、お父様が私に持ってきたの」
アスナは困ったように笑った。
いつもの夕食の席で、いつもどおりの彼女から告げられた非日常。まるでバレーの話をするように突然の話だった。
「でも、断ったの」
「……よかったのか」
チャンスだっただろう。
自分を高め、羽撃くチャンスだったはずなのに。
「若ちゃんと一緒にいられないもの」
「……そうか」
お前らしいな、と牛島が言えばアスナは嬉しそうに笑った。
空になった茶碗を見て、アスナはにこりと笑う。
「おかわりは?」
「食べる」