ときめき


 熱が部屋の中に充満していく。じっとりと肌を伝っている汗が互いの熱の高さを物語っている。律動によって、ベッドのスプリングがギシギシ、と音を立てる。汗ばんだ、肌に唇を付けると、強く吸い付いた。肌赤く痕が残り、白い肌にひどく目立つ。アスナから伸ばされた腕を受け入れると、ぐいっと引っ張られた。
「おっと…っ、重たくないか?」
「んーん、へーき、んぁっ」
 離れようと少し動かすと、アスナの中でテツ自身が膣壁に擦れ、アスナがわずかに声を上げる。アスナはん、んと快楽に悶えるようにテツの耳元で小さく呻いた。甘ったるい声に誘われる様に、テツも律動を再開しようとするが、アスナの手がテツの髪についていたカチューシャをひょいと、外す。ばさ、と髪の毛が降りてきてテツは目を見開いた。
「あは、奪っちゃったっ」
 微笑みながら、カチューシャにキスするアスナが目に入って、テツは思いっきりため息をついた。返せ、といってみるものの、いや、と笑って、カチューシャをベッドの下に投げた。明日回収しないと、と思いながら腕を伸ばしてくるアスナと、キスをする。舌を口内の中にねじ込むと、びくん、とアスナが震える。くちゅ、と水音が部屋に響く。このフロアには、テツの部屋しかないからか誰にも邪魔されない。そう思うと、本当に互いを高ぶらせて、今すぐ、アスナを貪りつくしたい、とすら思う。少し抵抗の色が見えてきたのは、呼吸が苦しいからか。だが、抑えつけてキスを続ける。んぐ、と鈍った声が聞こえて、漸くテツはアスナを離した。ぷはぁ、と漸く酸素を吸って、肩で呼吸するアスナの目はすでに涙目で、すっかりと脱力したアスナは頬を赤らめて、テツをじっと見つめていた。
「物欲しそうだな…?」
「っ、ち、ちが…っ」
「じゃあ、やめていいのか?俺は別にかまわないぞ」
 そういって、上から退こうとするとショックそうな顔を浮かべる。我ながら底意地が悪いな、と思いながらアスナの目じりにキスをして涙をぬぐう。そのまま、最奥をつきあげると、アスナが喉を晒して、嬌声を上げた。
「やっ、あっまっ、まってっ!やっ、い、いくっ、イっちゃぅ!」
「…はっ、」
 アスナの声など、気にせずがつがつと奥を攻めると急に、膣が締まる。びく、びくと膣が震えて、アスナがイった。あ、と余韻に浸るアスナの頬を撫でる。テツの安心する大きな手で撫でられてアスナが気持ちよさそうに目を細める。その手に頬を擦りつけてくるアスナに愛おしさを感じる。日頃の行動のせいか、アスナの方がテツのことを好きなように思われているが、実は違う。逆といっても過言ではない、と思ってる。自分の方が、アスナのことを好きだと、言い切れる。
「アスナ」
「んぁ」
「まだ、付き合ってもらうぞ」
「ん……もっと」
 律動を再開する。アスナの足を持ち上げて、それを肩に掛けると、さらに深くアスナの奥へ奥へと、熱くそそりたったそれを押し付けるように進めていく。甘い嬌声が上がり。シーツを強くつかむせいで、始まる前は綺麗に引かれていたそれも、すでにしわだらけだ。腰を打ち付ける度に、先ほどカチューシャを取られたせいで、髪の毛がちらちらと顔を撫ぜる。おかげで、時折アスナの顔も見えづらくなり、煩わしい。
(邪魔だな、)
 何気ないしぐさだったと思う。髪が長い人間特有の、その片手で髪をかき上げるしぐさだったはずだ。
「っ!」
 きゅう、と膣が強く締まった。不意のことで、絶頂まで持っていかれそうになるが、腰に力を入れて耐える。アスナを見てみれば、口元を両手で押さえて、ふるふると震えながら、恍惚の表情で見ているではないか。
「お前…」
「だ、だってっ」
「こんなことで、軽イキするなよ……おかげでもっていかれそうだったんだが?」
「テツが、かっこいいから、いけないんだもん…っ」
 髪かき上げるの、禁止っ、とアスナが言ってくるが、それを気にせずアスナの腰を掴む。
「ひゃぁんっ」
「そんなに好きか?俺が髪をかき上げてるのが」
「あっ、てつ、は、どんな、ひゃ、テツでも、しゅ、きっ……ああんっ」
 ぐりぐり、と奥を攻めれば、膣がきゅう、締まる。体を密着させて、強く抱きしめると、アスナの足が腰回りに回ってきた。テツ、テツ、と何度も名前を呼ばれて、テツは律動を速めた。そろそろ限界が近いことはわかっていたし、互いにもう、互いを感じて達したいと思ってる。
「…くっ」
 テツが鈍い声を上げて、アスナの中で達するとそれにつられる様にアスナも達した。甘い嬌声が部屋の中で木霊する。ずる、と引き抜くと、ゴムを取った。白濁の入ったそれをゴミ箱へ投げ捨てて、テツは新しいものを取り出した。アスナは力が抜けたまま、それをぼんやりと見つめている。テツの手が、アスナの胸の頂あたりを、する、となぞった。硬く主張する胸の頂に触られただけで、アスナの体は過敏に反応した。
「……あっ、」
「まだ、付き合ってくれ」
 口でゴムを抑え、そのまま封を切るテツの開いている片手はもう一度煩わしい前髪をかき上げていて、アスナは顔を赤くしながら、うん、と頷いた。

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