眠れない夜は手を握っていて
紅葉はその日、珍しく眠ってはいなかった。兄様と慕う三蔵の頼まれごとをこなしていたら、自然と夜は更けてしまっていた。彼のお気に入りの法衣のほつれを直し終えて、紅葉は糸をぷつり、と切った。できるだけ縫い目が見えないようにしたつもりだが、今回はとてもうまくいっただろう。明日の朝渡そうか、しかしこれは朝に着るだろうからお部屋に届けるだけは届けようか、と紅葉は思い立つと部屋着から一枚だけ羽織を着ると割り振られた自分の部屋から出ていった。
「お、紅葉?」
部屋から出ると隣の部屋の悟浄が起きていたらしく、部屋から出てきた。驚いた顔をしたのは、いつもならば紅葉はこの時間はすでにお眠で、