その日、来駕は家でかき氷作成に励んでいた。ガガガと音を立てながら氷が削られていき、あっという間に器には山が出来ていた。「何色にっすかな…あー…なんか今日は青色の気分だからブルーハワイにしy」青い液体の入った瓶を手にしかき氷の山にかけ始めた瞬間、腕に突然思いもよらない負荷が生じる。注ぎ口が氷の山に突っ込み、なみなみと液が注がれているが来駕は他に視線を奪われているようだ。「はぁ!?」「ほーーー」腕に捕まるのは小型の梟で、その嘴には一通の封筒が挟まれている。(郵便屋さん…?山羊ではなく…?山羊だったら食われちまう…)思考回路はショート寸前である。腕に捕まり小さな体をゆさゆさと揺らす小さな郵便屋さんは、器から溢れ出す液体を止めようとしているのかむしろ煽っているのか。漸く、はっとした来駕はブルーハワイ味のかき氷、ではなくただのブルーハワイと化したかき氷に気付くと顔をしかめながら瓶を置く。手紙を梟から受け取ると、自宅住所に加えてリビング、とまで部屋名が記載されていて思わず辺りを見回したあと、封筒を開封することにした。
「ねぇ、君のご両親ってマグルなんだろ?ホグワーツなんて知らなかったんじゃ?入学許可証を受け取った時、どうだったの?マグルは梟を使わないらしいじゃないか。やっぱり驚くものなのかい?」入学してから厄介(?)な連中に目を付けられたと思う。はぁ、とため息を吐いて、自分の首下にぶら下がる青色のネクタイを一瞬見下ろしてから、左、右、前と完全包囲してくる赤ネクタイ三人組の顔を順番に見渡した。「ため息つくと幸せ逃げちゃうよ?フェリックス・フェリシスを調合してあげようか?完成に半年かかっちゃうけどね。」「裕希、幸福薬作るのに材料はどうするのさ。地下牢にでも忍び込むの?」「地下牢に忍び込むスリルもたまらないけど、そんなチート薬作るよりもポリジュース薬の材料揃えて来駕になりきったら、今年の夏休みはマグルの世界で過ごせるようになるよ!そっちの方が面白そうだと思わないかい!?」ころころと変わる話題について行けず、思わず昨年の夏休みの出来事を思い出していた来駕は小さく笑いを零した後「驚きすぎてかき氷がブルーハワイになっちまったんだったわ…結局甘すぎて氷で薄めて食ったんだよなぁ…」と零した。薬品作りに盛り上がる三人組には届かなかったものの、たまたま後ろを通りかかった同寮の夢野はへぇ、と感心したように声を漏らすと来駕に対して「じゃあ、来駕はその時から、青色には縁があったんだね。」と耳打った。