『はぁーい!今日もこの街へ花を咲かせに参りました、S級ヒーロー、フラワーヴィーナスですわ!

今日は今 話題のパンケーキ店へ、いちごとクリームがたっ……ぷり!極上のふわふわ〜なパンケーキを食べに〇市までやって参りましたわ!今日のゲストは…ふふふ、テレビの前の女性達が今か今かと待ちわびている……そう!イケメン仮面、アマイマスクさんでーす!!』


「みなさんこんにちは、アマイマスクです。」


『またこのコーナーへ来ていただけて嬉しいですわ!アマイマスクさんが出られますと視聴率あがりますもの(笑)』


「そこかい?(笑)まぁボクとしても嬉しいことですけどね。」




今日はわたくしのレギュラー出演しているニュース番組の中にある、『女神のスプーン』という美味しいお店、話題のお店を紹介するコーナーで、アマイマスクさんをゲストに〇市までパンケーキを食べに来ていた。
既にスタッフさん達が抑えてくださっているけれど、さすがはアマイマスクさん……もう人ごみが半端ないです。
パンケーキ店に入り、台本のとおりに進行していると突然マネージャーが慌ててやってきた。



「あ、アマイマスクさん!○○ちゃん!か、か、怪人が出たって!ヒーロー協会から要請が……!」

『何ですって?!すぐに行きます!さぁみなさんどいて!!』

「まったく…せっかく○○ちゃんと居られたのに、邪魔されるとは……。」



お店を飛び出して人ごみをかき分けると、2ブロック先で悲鳴が上がっているのが聞こえた。たどり着くと、時代錯誤な服装の人が市民を両手に暴れ回っている。
捕らえられている市民は傷だらけで、他にも被害に合われた方が地面に数名横たわっている。ここへ辿り着くまでにも何人かを襲ったのか辺りから数台の救急車のサイレンが。




『許せませんッ…華縄(かばく)!』

シュルルルッ!

「ギャウッ!?ッシャァアァア!!!」



コンクリートに手をついて、力を込める。コンクリートは一瞬にして突き破られ、中から真っ黒い植物のツルが伸びてターゲットの原始人スッポンの手足を拘束する。と同時に、手を離したスッポンから、捕らえられていた民間人をツルで奪い返すと離れた場所へと移動させる。

ふと肩に手を置かれて振り返ると、さも面倒くさそうなアマイマスクさんが立っていた。




「それは○○ちゃんの技かい?」

『はい、わたくしの作り出した植物はそう簡単にはちぎれません。先程聞いた話では、協会からは生け捕りと指示があったので』


「……そのままだよ、○○ちゃん。」
『え、アマイマスクさん?!』

「あいにく僕はそんなに甘くないんだ…悪は、消す。」


『ッ!アマイマスクさん!!!』


ドパァァンッ!!!!
ビク、ビクンッ……ゴトッ、


「アマイマスクがやってくれたぞー!」
「素敵ー!アマイマスクー!!」
「かっこいいー!!!」



アマイマスクさんが捕らえられている原始人スッポンに近づくと、こめかみに手を当て、1度肘を引くとそのまま拳を振り下ろした。原始人スッポンの頭部は砕け、体を大きく痙攣させ、そのまま息絶えた。周囲からはアマイマスクさんを称える歓声が溢れる。

ですが……あまりにも、残酷です。




『……きょ、協会、は』

「ん?」

『協会は生け捕りに、と…。』

「ハァ…君もわかっていないね、市民に危害を加えた時点で悪だ。悪は生かしておけない。」

『…………。』

「○○ちゃん、君もまだ少し甘いようだ。そんなだと、今に悪の手によって傷つけられてしまうよ。」

『っン……。』

「怖がらないで、僕は君には何もしないさ。」




アマイマスクさんはハンカチで原始人スッポンの血を拭うと、指先でわたくしの頬をついっと撫でる。思わず体をビクッと揺らすと、アマイマスクさんは微笑んでわたくしの唇を親指でなぞって、踵を返した。

その後、気を取り直してまたパンケーキ店に入るところから収録をし直し、その日の仕事は終わった。アマイマスクさんはラジオのお仕事があったので、わたくしはZ市の安全区域まで送ってもらい、危険区域の柵を飛び越えて自宅へと向かう。




『……わたくしが、捕まえたじゃありませんか。』




アマイマスクさんは容赦がない。あのターゲットは確かに危害を加えていた。だけど、だけど……。
もやもやしながら歩いていると、マンションの前の道路が物凄いことになっていることに気がつく。まるで大きな戦闘があったよう。

そこへ倒れている人影を見て、慌てて駆け寄った。



『ソニックさん!!』

「ぐ……、う、○○…か?」

『ソニックさん……!どうしてこんな……!』

「チッ、油断した…俺はまだまだ修行が足りん!クッ…こうしてはいられない……。」

『そんな、わたくしの家で手当を』

「いい。隣にサイタマが居るというのに、ノコノコ行けるか!……無事で良かった、あまり無茶はするなよ。」

『あ!ソニックさ…………行っちゃいました…。』



ソニックさんは憎々しげに歯軋りをして、そのまま何処かへ行ってしまわれた。海人族の時のお礼も言っていないのに…。
仕方なくマンションの階段を登ると、玄関前の柵がボロボロになっているのに気付いた。一体何がここで起こったというのでしょう?サイタマさんとジェノスさんのことだから、きっと無事でしょうけど…。



「あれ、○○氏 仕事終わり?」

『あらキングさん!ええ、…そうです。』

「だ、大丈夫?げっそりしてるけど……。」

『ええ!ありがとうございます、キングさん!』



後ろから声を掛けられて振り返ると、そこにはキングさんが。ここまでお1人で来られましたの?!怪人に会わなくて良かったですわ…。

キングさんに言われて、慌てて口角を持ち上げる。人に見せる顔は笑顔でなくてはなりませんわ。



「ゲーム無かったからサイタマ氏が持ってったのかと思って聞きに来たんだ。ついでに遊びに。」

『あら、そうですの!』

「中にいるみたいだし入っちゃお。」

『わたくしもオモテがああですし、心配ですわ。おじゃま致します。』



キングさんに続いてお部屋に上がると、中から女性の声が。お客様、もしかしてサイタマさんには恋人がいらしたとか……?!わ、わ、わたくしはなんてことを……!!!

「おーいサイタマ氏ー。」

ああっ!ドアを開けないで下さいましっ……!!



「俺のゲーム持ってってない?」
「キッ…キング……?!?!」

『お、お邪魔致します…。』
「ふふふフラワーヴィーナスまで……?!」



開けられてしまったドアに、恐る恐る足を踏み出す。ああ…恋人がいらっしゃる方と交わった挙句に自宅へ足を踏み入れていただなんて…わたくしは最低のクズです…。
中には漆黒の髪の美しい女性がいらっしゃって、申し訳なさとサイタマさんに恋人がいらしたという事実への悲しさでもはや泣きそうですわ!!



「お、キング。」
「○○さん!おかえりなさい。」

『ただいま帰りましたわ、ジェノスさん…。』

「どうかされましたか?」

『あ、あの、こちらの女性は……。』

「ああ。サイタマ先生へ新人潰しをしに来て呆気なく阻止されたB級1位のフブキです。」

「う、五月蝿いわね!」



新人潰し?で、ではサイタマさんの恋人ではなく……?



『よ、良かったあ……。』

「?」
「?」




その後、わたくしはフブキさんと仲良くなって後日お買い物をしようという約束をするまでになった。フブキさんはタツマキさんのことで色々と苦労をなさったようで(個性的な方ですものね)、お友達が出来た!と喜んで下さいました。

年齢も(わたくしは丸が3つありますが省き)23と同じで、わたくしもフブキさんも男性3名を他所に時を忘れて話し込んでしまいました。

同年代のお友達ゲットですわ!