みょうじ なまえ 彼女は大変面白い人物だ。 最初に気になったのは、ネット上に上がるいくつかの野次馬の中に彼女の姿があった。 ただの偶然だろうと思ったが、その割には登場率が高い。 「という事で、僕はキミの事が気になった。」 「気になった割には、乱暴なお出迎えね。」 ジャラッと手に付けられた手錠を、僕に見えるように掲げる。 そう、僕は彼女を拉致した。 ***** 「キミは面白いね」 「っなに、誰…」 野次馬ばかりをしていた彼女がついに、自分の手で人を殺したその後、公安局が去ったのを確認した僕は彼女の背後に立った。 振り返った彼女の表情は予想通り、驚いていた。 「痛いかもしれないが、ごめんね」 それだけ伝え彼女との間合いを一気に詰め、無防備な鳩尾に一撃食らわせた。 少し血を吐き出した彼女は、重力に従い地面に体を打ちつける。 残っている余力で僕を見上げれば、あっという間に意識を手放した。 意識のない彼女を車に乗せ、僕の拠点へと連れ去り、彼女が目覚めるまでの間に、逃げないよう手錠と僕の許可なく退出しようとすると麻酔で眠るようになっている首輪を付け、彼女が起きるまで愛読書を読んで待つ。 ***** 「そうでもしないと、落ち着いて話が出来ないと思ってね」 「落ち着いて…ね、確かに落ち着いてるわ。あんたの口調はね」 気が立つまま机を力強く蹴った彼女。 怒りでギラつく目で、僕を睨む。 こういう目は狡噛慎也で見慣れている。慣れていないと怖気づくのだろうが、僕はそうでもない。 先程の蹴りの振動で、中のコーヒーが少し零れたカップを手にとる。 「キミも飲んでみたらいいよ、飲めば少しは気が和らぐよ。」 「……私と話がしたいって事は、毒が入ってるって事はなさそうだけど…、まさか自白剤入り?」 挑発するように笑った彼女は、カップに浮かぶコーヒーの水面を疑り深く見つめる。 確かに第一印象が悪かった。 カップを一度置き、彼女側のカップを手にとり、一口飲んだ。 「出した僕が飲むんだ。それでもまだ疑うかい?」 彼女の前にカップを戻した頃には、彼女の顔はぽかんとしていた。 再び僕と目を合わせた彼女の目は、先程と変わらず僕を疑っていた。 「まだよ。さっきの行動であんたへの疑いはほんの少しだけ下がっただけ、パーセンテージで表現するなら100が80前後に下がっただけ。」 「そうだな、僕は何をすれば、キミは納得する?」 「……あんたの手のひら、見せてよ。普段何してるのか」 「ふっ…、お易い御用だ」 彼女に見せたのは、今まで事件を起こした人物達の資料と、これから僕が手を貸そうとしている1人の人物の資料である。 一通り目を通してから僕に彼女は「これは何?」っと言い、資料を返した。 「これは僕が今まで手を貸した犯罪の数々、そしてこの子がこれから手を貸そうと思っている子」 「……これが何」 「そしてこれが僕の今日の犯罪係数と色相」 「っ!」 見えるように表示すると目を開いて驚いた。 犯罪に手を貸しながらも犯罪係数は綺麗なまま、今の常識では異常な事。 そして彼女は気が付いた。 「あんたも私と同じなわけ?」 「それは少し違う。僕は何をしても色相が綺麗なまま、自分の色相を自由に変えられるキミとは違うんだ。」 そこまで言うと、彼女は顎に手を添え少し考える。 「ふぅーん…、んであんたが私を手中に収めた目的は、あんたに肩入れしろって事?」 「それもある。あとは僕個人が、キミに興味を持ったから。キミが承諾してくれるなら、この拠点の一室をキミにプレゼントする、欲しいものもこちらで用意しよう。」 僕の言葉の裏を察したのであろう彼女は、力強い視線で僕を凝視した。 「はぁ?それってさ、24時間あんたの監視下にいろってこと?良いように聞こえるように言ってるだろうけど、冷静に考えたら軟禁だし、私に利点なくない?」 その視線を揺らさないまま、僕の言葉の裏を口にした彼女。 彼女の口振りからすると、彼女がここに居座っても良いと思える条件を僕がのまなきゃ去る。と言う事なのだろう。 流石、自分自身の実験の為に、人を殺せるだけはある。 彼女は、度胸と鋭い洞察力を備えている。 犯罪に手を貸す者を前に殺されるかも…という迷いが、ここぞという時伝わらない。 ますます彼女に興味が湧く。 「キミがなんと言おうと、その首輪を付けられた時点で、キミに拒否権はない。僕はある程度の自由をキミに与えている、そこらへんの監禁と違うっていう事はお分かりいただけるだろう。」 「……はぁ、それで納得しろっていうのね。わかった、私は好きにさせてもらう。あんたのその犯罪の肩入れも気が向いたらさせてもらう。私今言ったからね、W私は好きにさせてもらうWって」 鬱陶しそうに、彼女は首輪を掴んだ。 Colorful (これは、彼女と共に暮らす事になった キッカケの話。) H.29.12.24 |