こんなにすっきりとした朝は、いつぶりだろうか。隣にはスヤスヤと寝息を立てる彼。可愛いなぁ、なんて思いながら頭を撫でて、はっとした。今日は、月曜日。慌てて枕元のスマートフォンで時間を確認すれば、出社時間の10分前。…そりゃ、すっきりもするわ。
用意をしなければとベッドを出ればぶつけた足の小指。痛いし、頭はパニックだし、時間はないし。ジタバタ暴れ回る私の物音に、呑気な臣が目を覚ます。
「なに、どーしたの」
「仕事!遅刻!やばい!」
「え?仕事?」
「時間が!それよりまず電話しなきゃ、」
再びスマートフォンに手を伸ばすも、タッチの差で先にそれを奪った臣がニヤリと笑う。
「なにして、」
「休もうよ、今日は」
「……はぁ?!」
「たまにはいいじゃん。どうせまだ有休も残ってるんでしょ?」
ね?なんて笑う臣に、思わず頷きそうになり頭を振る。でも、臣の言う通り有休はまだ残っているし、今は会社もそんなに忙しい時期ではない。おそらく私が休んだところで何の問題もないんだろうけど、せっかく5年間守り続けた無遅刻無欠席の名誉に傷がつく。でも、それはどっちにしろ傷がつくのか。
「ほら、早く電話して。今日は会社休みますって」
「その台詞どっかで聞いたような」
「いいから、早く。」
促されるままに電話をすれば、上司に繋がる。自分でも恥ずかしくなるような病人のフリに、隣で臣は声を殺して笑っている。案外すんなりと了承してもらえたものの、きっと後で悪口を言われるんだとネガティブ思考が顔を出した。
「ゴホッゴホッ、ちょっと体調が悪くて…」
「真似しなくていいから!」
「女優だねぇ、花子ちゃんは。」
「もう!もう一回寝るからね!」
そう言ってベッドへ戻れば、当たり前に腕を伸ばしてくるから、有り難くその上に頭を置く。
「起きたら何する?」
「……DVDみる」
「もしかしてまたディズニー?」
「だったら、悪い?」
「いーや。最高」
鼻と鼻がくっつきそうなほどの距離で、二人して笑う。起きたらディズニーの前に、近くのラーメン屋さんへ行こう。新しくできたそこは、なんとなく一人じゃ行きづらかったから丁度いい。それで、帰りにコンビニでビールとポップコーンを買えば、もう完璧。
たまにはズル休みも悪くない。
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