とある午後の昼下がり、午前中に登庁し資料の確認などやる事を終わらせて残りを風見に任せ、午後からのポアロでのバイトのため一度帰宅し着替えてからポアロへ向かう。
近くの駐車場に車を止め、店に向かう道中で女の子とすれ違った。別になんてことはない、20才前後くらいの少しおとなしそうな普通の女の子。だけど、なぜ僕はその子から目が離せなくて彼女が僕の横を通り過ぎていくまで目で追いかけてしまった。
 その後のポアロのバイト中に頭の片隅でさっきのことを考える。あれはなんだったんだろう。きっとどこかであったことがあるのだろうと思う。しかし僕は自分でも記憶力には自信があるし、ここまで考えても全く思い出せないのは珍しい。ポアロのお客さんか、探偵業で会った人か⋯、いや、違うそんな最近のことじゃなくてもっと前の、記憶の奥にある何かな気がする⋯。
 結局その日は特に思い出せず、悶々としたまま次の日を迎えた。今日は午後からの登庁、夜は組織なので少し余裕がある。もう少し寝ててもいいが⋯ベッドの下でこちらを見上げている彼を見てそれはやめて声をかける。
「ハロ、今日はせっかくだしゆっくり散歩にでも行こうか。」
そういうとハロは嬉しそうに返事をしてくるくると回った。

身支度を整え家を出て、河川敷を歩き少し離れた公園まで散歩する。




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