発火する凍原の声



私はずっとこの日を待ちわびていた

『(とりあえずフクちゃん起こすか)』


ベットのアラームを布団の中からもぞもぞと
手だけを出して止めてから三秒
フクロウの姿をしている様な白いフクロウを
起こすと行動に起こすのはそれから五秒後



発火する凍原の声


フク「なんちゃー眠いんじゃー」

『私も眠いけどこの時間に起きないと間に合わないよ』

学校の授業と言うかホームルームに間に合わない時は
大体トンボの個性を使う時があったがここら辺は人が多いのも
あって怖い為個性は使えない(と言うかそもそも使っちゃ駄目)

なのでさらりと鞄を持ちご飯をかき込み身支度して外に出る
此処から徒歩で20分程度なので大丈夫間に合う結構普通に

髪が大分長くなったのでおさげの髪型なのだが基本的に
三つ編みしているんだが今はそんな余裕ないので却下


軽く小走りで走っていると中からフクが
出て来てそう言えばと話をしだす

15p程のミニフクロウ的な感じで皆にも見えてしまうと言うのに

フク「お前さんの憧れていたヒーローに会えたそうじゃないか」

『ちょっと公共の場では出て来ないで
ってあれ程言ってるでしょう?!』

そうは言われてもと言うフクロウだが自分の首に紐で結び
鞄のマスコット的な物になる

いやいやいや、そうしたらいいとかじゃないからな?


フク「まぁよいではないか。
お前さんの初舞台とこの事を知ってくれる様な
良い協力者を見極める為じゃ」


そう言ったフクちゃんに私はため息を付きながら
これからの事について話す

幸い今歩いている場所は殆ど人が通らない
ちょっとした裏通りだからだ

明るい時間ならエフが
「大丈夫だろ何かあればフクロウが守ってくれるさ」
と言ってくれたが本当なのだろうか?


フク「月に一枚は必ずノルマ達成しなければ
お前にあれやそれやと厄災が降り注ぐからな?」

『分かってます!50枚以上を目標にしておかないと
この世界に大きな災いが起きちゃうんでしょう?』

色々なペナルティーがあるが此処で私の個性を説明しておこう


伝承個性:カードキャプター

その名の通りカードに個性を捕えて使う個性だ
しかもこの個性物凄く厄介な上に何処ぞの魔法少女的なのを
耳にした事があるだろうが、あれとはまた違うので
眼を瞑って欲しいことである


直径二十センチ横幅大体10p程の所謂
ちょっとデカめのスマートフォン位の長さで
真正面からは透明のカードに見える

裏からはひし形の形の様な物が六つに並んでいるものが
円に囲まれて左右には何故か月と太陽があしらわれている

透明のカードに見えるが下の方には英語上には日本語の
文字が見える様になっており・・・もう頭からあのアニメが
離れずに居る方も何人も居るだろう





何故かこの世界に産み落とされた時にこの事を聴いて
前世の記憶も持っているのだが、その時持っていた時に
聴いた時には「私はあのアニメの様な主人公するのか」と

嬉しさ半分苦労するだろうと泣きそうになった


そんなカードと鍵にも守護神が居り本来は
三人いるらしいがそのうちの1人が隣に居る
フクロウの姿形をしたフクちゃんだ

一応オスって事は聞いているが正直その白いもふもふが
そんな感じをさせないのでついつい女の子の様な
呼び方になってしまったが本人は気にしていない様だ


フク「いいか?本当に仲の良い奴にしておけよ?
お前はまだ継承したけれども見習いなんだからな?」

ワカッテマス


個性の継承の時機は基本的に16でつい一週間前に
祖父から受け継いだ、本当に見習いさんなのだ

見習いとは言えども最初は杖を出して個性をコピーして
使うのが精一杯だが本職としてやろうと思えば
その人の個性をすっぽり取って攻撃だって出来る

何でもありに見えて結構隙だらけなので
時間制限もありこれを重点的にしたいのだが
如何せんこの事は他言無用、話せる人は少ないのだ


『理解力ある人且つ私が信頼出来そうで
事情をそれなりに知っている人って・・』


故郷から遠く離れたこの場所に果たしているのだろうか?
居ない気がして来てちょっとふらつきそうになるが
まぁ大丈夫、死にはしない。うんうん。



フク「最初は体力もかなり使うから
温存できる様にチョーカーとその他
付けてもろうたからな」
私の首元には全体の体調管理を
両二の腕にはチョーカーと同じ素材ではあるが
唾液で反応する体力回復腕輪が付けてある

水に入っても防水があり何故か水は防いで
唾液は防がないと言う驚く話である

暇な時は大事な時にも備えて体力を消耗して
睡眠時間を利用して腕輪に入れて居る



『只でさえ私身体弱いものね・・』

普通の人よりも少し風邪を引きやすい体質で
休みがちになるのを考慮してか祖父が昔
祖母に付けさせていた物を改良してもらったものだ


満タンにしておけば普通の人の体力三人分は
在ると言う事は確かなので最初はこれに頼る


フク「何より継承は"何かに囚われている"が要だからな
何かを想い続ける人ではないと継承できないっていうのも
僕はちょっと驚きなんだけどね」


『お祖父ちゃんから初めて聴いたもんねー』


そうふふっと笑いながら話しているともう人が多い場所についた
ので・・フクちゃんとの会話は此処までにして
此処からは少し観られては困るのでチェーンから外して

フクちゃんをカバンの中に入れて職員室に向かう事にした・・が


『ヤバイ校長室何処なの・・』


そう焦っていると後ろから誰か知らないが声をかけられた




********************


緑谷「失礼します、一年A組の緑谷です。
相澤先生はいらっしゃいますか?」

相澤「嗚呼、入って来い・・・??」

後ろでもぞもぞと動く人に職員室が少しざわつく
後ろに誰が居るんだと相澤が言うと少し驚いた
声で「その声は」と顔を出した


相澤「お前は!」

緑谷「知っているんですか相澤先生!」

ミッド「あら!都ちゃんじゃないのー!
この学校に転入する子だったのねー!!」

いきなり見た瞬間ミッドナイトは席を外し
都の目の前に来て抱きしめていると
苦しいです・・と都が必死でもがいている

後ろから止めてあげて下さいと相澤が言い
此処じゃなんだから校長室行くかと話を進める

折角なので緑谷も付き添いで来いとまで
言われて都は少し申し訳ないと思いながら
相澤さんの後を付いて行った


相澤「そうか、お前が噂の転校生だったのか」

『私来てもないのに何先生方で噂になってるんですか』

ミッド「なんか色々聴いているわよー?
"ヴィランの個性に似ている"とか"トンボの元気な子"だとか」

前半は恐らくカードの事を知っている人だろう
いやはや此処まで来るとは・・カードの事を知っていたら
フクちゃんに話して何とかするしかないが


ミッド「相澤君、どうして緑の子連れて来たの?」

相澤「・・どうせ羽黒が困っている時に声をかけたんでしょう
この学校知らないと迷子になるので行きたい処まで付いて行って
そのまま自分の教室に帰ろうとしたがって処でしょうね。」


全く持ってその通りです。
と言わんばかりに俯いて鞄の紐を握りしめながら汗をかいていた



コンコンとノックをして失礼しますと言って入る相澤に
ミッドナイト達も入り緑谷君がドアを閉めてくれる

やっと来たかと言わんばかりにネズミの白いものが笑う


『やだ・・可愛い!!』

フクちゃんには勝てないが近い位の競争は出来る!!
と思っていたがアレでも校長だぞと相澤さんに言われて
少し気を引き締めて前に行く


校長「僕はこの学校の校長で根津と言うのさ!」

『はじめまして、羽黒都と申します。
これからお世話になります。』

校長「ウンウン!聞いている通りかなり礼儀正しいのさ!
君のクラスは一年A組ヒーロー科なのさ!」


おい、ちょっと待て


少しぞわっとしたのは緑谷君が驚いて「僕のクラスだ!」
と言ったのもあるが・・待てよ?


『待ってください・・緑谷君、確か君相澤先生って
言ってたよね?え?担任?』


緑谷は何を急にと言わんばかりに首を傾げて説明してくれる


緑谷は一年A組の生徒で、担任はイレイザーヘッド事
相澤消太先生なのだと


わーい、滝汗だよー泣きそうだよー

相澤「これから宜しくね」

これから私秘密守れそうにないと断言出来るかもしれない


そう想いながら返事を返してそのまま緑谷と相澤先生の
後ろを付いて行く様に校長室をあとにした


緑谷「相澤先生怖いけど優しい先生だから緊張しなくても大丈夫だよ!」

そうにっこりと私の速度に合わせてくれる緑谷君に
私はそうかな、と首を傾げてしまう

まぁ助けてくれた恩人なので優しい人ではあるだろうけど


『(まさかヒーローコスチュームまで黒いとは)』

暗い色合いの服装だなと初めて会った時には思ったが
まさか全身黒ずくめの何処かの組織並みの黒さとは思わなかった

ちょっと誰か名探偵呼んで


相澤「HMを始める前に転校生の紹介するぞ」

「転校生きたああああああああああ」

『ぴゃっ!?』

その叫びに思った以上にビクッと跳ねた私を見たのか
相澤先生がホースのあの長いのを浮かせだしたってか
髪の毛浮いているな?!


緑谷「あ、相澤先生落ち着いて下さい!
ちょっと騒いだだけじゃないですか!!」

相澤「俺は至って冷静だっていうか
静かにしないあいつらが悪い」

確かに驚いて肩が揺れた処じゃなく
ぴゃっ、とか滅茶苦茶高いビビった声だしたら
そりゃ黙れって言いたくもなるだろうけど

お心遣いだけで十分です


相澤「はぁ・・じゃ、チョーク
そこにあるから書いてね
他の奴らはさっさと席につけよ」

そう言った相澤先生に無言で
ヤバイ怒らせんなオーラが漂いながら
早く座った皆に少し反応に困りながらも

都は名前を書いて前を向いた

相澤「じゃ、自己紹介宜しくね」


『あっ、はい・・・あの、羽黒都(はぐろみや)
と申します。皆さんと同じ16?で今日から
ちょっと遠くの方から転校してきました。
よろしくお願いします!』

相澤「はい。皆仲よくしろよ。
んでもってお前の席は八百万の後ろな
八百万、手上げろ」



そう言うと八百万さんが手を真っ直ぐ上げたので
すぐに場所自体は把握出来た
小さな声で相澤先生にお礼を言って小走りで
髪の長いポニーテールの女の人の後ろに行く

八百万「都さん初めまして八百万百と申します
ご挨拶はまた後程」

そう小声で言う八百万に私はこくりと頷いた


相澤先生のお話しは思った以上に早く
簡潔で分かりやすかった


と思いきや直ぐに先生が出ていくと皆が寄ってたかるので
私は驚き席を離れて八百万の隣に隠れようとする


八百万「皆さん都さんが驚いていますわ!」

『(ビビり過ぎて人の後ろに居るのが安心するとか
本当に変わらない様な事してるのは眼を瞑って本当に)』

そう想いながら席をたった八百万に都は少し安心して
皆を後ろから見て確認する


緑谷「改めて、緑谷出久です。宜しくね」

お茶子「私は麗日お茶子!お茶子って呼んでね!」

梅雨「私の名前は蛙吹梅雨って言うの。
梅雨ちゃんって呼んでちょうだい。」

そう少しずつ聞いて頷きながら宜しくねと言っていると
次の授業の先生が来たので私はカバンから教科書を取り出すと
一緒に机の中にフクちゃんを入れて昼休みまで放置した



********************


昼休み

皆との時間も嬉しいのだがちょっとドタバタし過ぎて
頭がこんがらがりそうなので散歩ついでに外の空気を
吸いたいと言うと綺麗に女子の話から逃れる事が出来た

嗚呼、本当に面倒だった


とある校舎の近くにある森の中に入り
何とか一息つくことが出来たのでフクを外に出す


フク「はぁ・・やっと話せるな」

『もうやだ女子怖い、男子も怖い・・』

フク「お前普通に話せてたじゃねーかよ・・」

『だって、話して置かないと情報が入らないじゃない
只でさえ相澤先生みたいな勘の鋭い奴がいるんだもの』

相澤「そうだな、それで何してるんだ?」


『やっと一人になれたからフクとお話しして
これから伝承個性に付いて語ろうと・・?
あれ何処から声出たの?ねぇフク?』

フク「・・・・」

相澤「人形のフリしてもばっちり見たからな
黙っていても無駄だぞ」

そう言っていきなり捕縛武器に捕まり
フクを軽く手で握っているのを見て
顔が青ざめた


相澤「じゃあ詳しく教えて貰おうか」《後書きスペース》