喪失に宿る青

私は本当に馬鹿で情けない

でも

私を誇りに思えるの



喪失に宿る青



『(まだだ、隙を狙って体力を回復すれば)』


そう思いながら私は仕方がなく逃げようとするも
眼の前に居たのは


死「脳無、都は気絶させる位で居ろよ」

『っ!シールド!!』

ダンと音を立てて都の方に手を落とすも
全く傷一つつかない状態にイライラしているのか
脳無がドンドンと音を立てて攻撃を繰り返している


『(く、このままじゃどう考えても私の方が不利だ)』

そう思いながら私は左腕に噛み付き体力を吸いとる
少し力が戻りほぼダメージが無いまま居るが
これも時間の問題でしかない


もうこの際後がどうなったっていい、
とにかく此処に居る皆を生かさないといけない


私はどうなってもいい


ふとそんな言葉が脳裏を通り過ぎて行った
そこで意識がふわりとした宙に浮かぶ感覚になる






緑谷視点



蛙吹さん、峰田君そして僕は
水難ゾーンからやっとの思いで
ヴィラン達を攻撃して打ち勝った

そのまま中央エリアに来ると
肘を庇いながらも羽黒さんを
庇っている姿を目撃した


梅雨「ケロ・・都ちゃんどうして」

緑谷「僕らをあえて飛ばして
羽黒さんは自分から相澤先生
の元に行ったんだよ」

峰田「ええー、なんでそんな
死ぬようなことを選ぶんだよ!」

そうこそこそと水から顔を出して
三人で話し合っていた時
突如羽黒さんが防御を繰り出していた

『っ!!シールド!』

そう大きな声で言った途端直ぐに
羽黒さんの周り一メートルは綺麗な
薄いグリーンのもので囲まれてヴィランの
攻撃を受け付けない様にしていた

それに僕らもそしてヴィラン側も驚いていた


死「おいおいおいおい・・・
チート過ぎるだろ・・・」

『シールド、お願い持って!超えろ!
守るんだ!!』


段々とひびが入るそれに羽黒さんは
酷く不安そうな顔をしていた

それもそうだろう

あんな三メートル弱のデカい怪物みたいな
ヴィランに攻撃をされているんだ
直ぐに相澤先生が攻撃をしかけ意識を向けた


『駄目っ!先生!!』




その時だ
羽黒さんに向かって
脳無と呼ばれたヴィランが
手を振って空高くに上げる


緑谷「ーーな、」

峰田「っ!」

梅雨「ケロ・・・」


バシュっと血しぶきの音を立てて
羽黒さんはそのまま空高くに行った後
地面に落ちる寸前で白い人が風を操り
何とかなるが

首を横に振る



相澤「羽黒・・・?おい、ウソだろ、
ーーっ、貴様ああああ!!」

じわじわとあふれ出る血液の量に
相澤先生がブチ切れて羽黒さんの前で
交戦するもいとも簡単に崩れ落ちる

そしてその上に乗りあがって
ポキリと腕を小枝の様に軽く折った
それと同時に相澤先生から声が上がる

もう腕は使い物にならなさそうだった
その時だ


『・・だ、』

死「ん?」





『まだ、まだだよ・・・
私は、やっぱり嫌だよ、皆殺さないで!』

「都!!止めろ抑えろ!このままかえーー」

ろう、そう言いたかった白い人は
緑谷達の方に投げ出される


『フクっ!!・・』

そう羽黒さんが頭を抱えながらも
ふらふらと血を流しながら叫んだ

何かを抱えて、その言葉をかけて
自身を奮い立たせるような、そんな叫び声に
僕は一体何が彼女をそこまでして・・・


血が流れて今でも倒れてしまいそうな
彼女を動かすのか、全く持って分からなかった






『そんな事をしても駄目だ私
けれども此処で出来る最善をしろ私』

緑谷「え?」

『ありがとう皆、君らに会えてよかった』


そう羽黒さんが笑い嬉しそうにする
眼の前で瀕死の相澤先生の前に立ち目の色を変えた


その眼は何かを決意した覚悟の目だった



『相澤先生から、イレイザー・ヘッドから離れろ!』



主人公視点に戻ります


私は記憶にとらわれ過ぎている

それを知っていての行動なのだろう

眼の前で守ってくれた人は今

ぼろぼろの状態のまま倒れていた


まだ意識はあるものの何時気絶して

下手すれば死んでしまうかも分からない


最後の最期まで臆病者で本当に申し訳ない



『ごめんなさいイレイザーヘッド、貴方をこれ位でしか
守る事が出来ないだなんて私はまだまだですね。』

相澤「羽黒・・・」


嗚呼、止めてその名前はもう聞きたくないの



『嗚呼、誰か名前を呼んで、誰も知らない私だけの名前を』


そういい私は精一杯の笑顔で相澤先生を見た
何処か目が開いた気がするが、気のせいだろう


脳無がゆっくりと剥がれていく
待てと相澤は言うもむなしく
待ったも聞いていない脳無は

また都の前に立ちはだかった



『デク君、この力一度借りるよ!!』

不完全でかなり怖いが、
威力はすさまじい事は私が知っている
唸れ叫べ!

あの子の傍に居れる日を!!



『貴様らなんかに・・・お前らなんかに
私の大事な友達と先生を殺させるかああああ!!』


大きく振り上げて一気に打つ
するとぱっくりと割れて倒れ堕ちるヴィランに
私はやったかと思うが、嬉しさはそう長くは続かない



緑谷「うそ・・だ、そんな」

『やっ、ぱり、だめ・・か』

意識が朦朧としてプツリと
遮断されそうになっている時に
梅雨ちゃんが私の名前を大きく叫んでいた


梅雨「都ちゃん!」

死「させないよ」

その時に梅雨ちゃんの前に現れた死柄木に
私は体力をありったけ分出して空を飛び
梅雨ちゃんを庇う為に死柄木にタックルするような
形で飛んで行った

死柄木は勿論緑谷や梅雨ちゃんも驚いていた


死「あー?なんだ、都か・・・驚かすなよ
てか、イレイザー本当にカッコイイなおい。
生徒を守るためならそこまでするのか」

そう都が死柄木の腹で気絶をしている中
相澤は梅雨に触れようとした死柄木に向かって
個性を消していた

それを気にか、死柄木は都に触れる
真っ白な肌に緑にも見える蒼い髪。

そしてぼろぼろに
なっている身体に背筋がぞくりとした


死「やっべ、好きかもしんないな・・・
やっぱりあいつのいう事聞かずに今すぐ
連れて帰りたい。うん、そうだ、そうしよう」


そう言って死柄木は都を姫抱きにして起き上がった
都は未だにぐったりとして手を下におろしていた


『ゆ、ちゃ・・・よかった、何も、なく、て』

死「ん?起きたの?早いね。てかさ
君今の状況分かってるの?
俺に捕まっているんだけど。

それなのに友達の心配して、健気だねー
余計に好きになっちゃうじゃん。」



梅雨「ケロ!・・都ちゃんを離して!!」

ぐっとこらえていた梅雨ももう我慢の限界か
都の今にも死にそうな声に勢いよく舌を出して
救出を試みる

その時、緑谷の所にヴィランが来て今にも
緑谷をつぶしにかかっていた


相澤は既に気絶をしていて血だまりが
壊れたゴーグルに染まっていくその時だった



「もう大丈夫、私が来た!!」



その声に、やっと来たか、と思いながら
都はゆっくりと死柄木の腕の中で意識を飛ばした













オール「相澤君・・・こんなにも、」

緑谷「オールマイト!羽黒さんも!」

オール「知っているさ!」


よっと声をだして相澤先生を下ろしてから
死柄木の前に出て軽く鉄拳を腹にぶち込んで
意識を飛ばす

それと同時に都を救出して
相澤の隣に置こうとした時

オールマイトからOhと声が出る



オール「これは・・・羽黒少女、
君死ぬ気だったろ・・!!」

オールマイトが見て驚いたのは体中の
怪我だけでなくその血の量だった。

今動かしてしまえば確実に死ぬことになる
それ位の出血量に梅雨達に先に止血をして
相澤と一緒に運ぶように言った




死「コンテぃニューだね・・いいじゃんいいじゃん
面白くなってきたじゃん!」




そうして、脳無と対決してオールマイトは
時間ギリギリまでに決着をつけて幕を閉じた


私が知っているのは、それ位だったのだ


今度こそ意識が落ちた後は世界が真っ暗闇で
何も見えない世界にいた私は一人涙を落として
言葉をつぶやいた


「ごめんね」と
《後書きスペース》