窓越しになら触れるまぼろし


目を覚まし直ぐに出会った人は人の姿になっていたフクちゃんだった

『ど、したの?』

フク「話がある、と言っても
これは決定事項だがな…悪い方向に
向かないか心配で」

そう不安そうな顔をしたフクちゃん
前髪から後ろに長い髪の毛が俯いたが故に一束垂れる

真剣そうな空気にすぐ思考を覚まし訳を聞き
今日が私の決断する日になる事を知らされた気がした

++

場所は変わりとある雄英高校の一角
地下にある広い敷地を囲むようにドーム状に
観戦できるようになっている

「此処は本来生徒らや教師も居れる事はないんだけどね!
今回は特別に彼女の試練の為に許可を下ろしたのさ!」

そう校長が言いながら訳も分からず
教室から移動された緑谷達に説明する

彼女とは?そう聞いたのは飯田だった

相澤「此処に居ない生徒、そう」

『私の、断裁式だよ』

そう別の場所から出て来た小籠
然しその顔は暗い様に見えた


緑谷「断裁…?え?」

フク「まぁ本来は身内のみで行われるのだが
世間の状況が状況だからな、安心しろ。
この場所から一歩先は今時を止めている」

国には一応話を通していると言ったフク
身長は相澤近くあり後ろ髪が少々長めだが
灰色に近い銀色の髪の毛をかきむしった

そう誰かが口をはさむ前に魔女は言う

「いいのか?本当に」

その言葉に小籠の表情が歪む
哀しそうに、笑って


『良いよ、だって仕方がないもの』

位置に付くと言って元来た道に戻る小籠に
待てと静止をかける爆豪


「おめぇ…死ぬ気か?」

「ちょっ、爆豪君!?」

「死には…下手すりゃするかもしれんなぁ」

そう赤髪男が爆豪に鼻で笑って言い切る
それに喧嘩を売られたのかと思い違ったのか
爆豪が赤髪に向かって歩み寄ろうとするのを
オールマイトが止める

「狼森小籠は心の中奥底に
今住み着いている人間をどうするかに
かなり困っているだけじゃ」

「どう、するか?」

人間三歳児やそこらへんでクラスの人数分で行けば
必ず一人や二人否それ以上の者は観る事が出来る。

「ただでさえ親御さんが離縁したんじゃからのぉ
それが二度も起きて身体の中にある子が目覚めたのを
どうにも出来ない状態にあんな表情も浮かぶじゃろうて」

「話が見えないわ、一体小籠ちゃんをどうするつもりなの?」

そう淡々と言った梅雨だが心の奥ではふつふつと
怒りを感じている様だ、声が少々低いのと目が真剣極まりない

「直ぐに分かる…窓の外を見ておれば良い
お主ら全員此処で眺めておれ、我らが相手をするのみ」

そう言って赤髪やほかの者を引き連れて窓の方に向かい
手を触れ窓に穴を開けてそのまま落ちて行った

危険じゃないかとざわつく者がいるが、
直ぐに空中に浮かんだことに
驚きしか出ない者も少なくはない

「…あのフク、さん」

「何だ?緑小僧」

「みどっ…狼森さんは此れからどうなって」

そう聞いた緑谷にフクは少々項垂れた
少々速かったかとぼやいたのだ

「どういう事だ?」

「まぁ精神的な面がちょっと低くてな
魔女が言った様に体内に"一人"人を抱え込んでいる
それをどうするか」

そして世界を救える器が果たしてあるのかどうか


「その二つを見極める事になっている
(…まぁ最も重大なところは其処では無いのだが)」

そうフクは言った後、小さなフクを創り出す
その小さなフクロウ、というかミミズクは
細かい説明が出来る様にしていると言ったフクに
小さくツッコミも起きる


「じゃ、僕も行ってくるよ」

「あの!…小籠ちゃん、本当に死なないんですよ、ね?」

「…嗚呼、約束しよう」


なんて、嘘だけど。
そう感じながらフクは窓を元に戻してから
小籠の居る方角に向かって飛び始めた


「今回集まって頂いた皆様にはこの者がどれ程危険な人物か
救世主になり得る者か判断してもらいます」

そう説明しだしたフクロウに喋ったああああと
声を荒げる一部の生徒
それを軽く無視して説明を続ける

「尚判断は脳内から直接引き取らせてもらいます
身体には影響ありませんのでご安心を」

「質問良いかしら?彼女は一体何者なの?」

「全ての個性を自在に操れる事が出来た先代の魂が
カードに宿り様々な形で散らばったカードを集め操る者
そのカードを護る為に産まれたのが魔女たちです」

そしてそのカードを全て愛し慈しみ
心から立ち向かえる者にこそ
真の力を発揮させることが出来る

個性とはまた違うものと言い切ったフクロウに
辺りの者は大きくざわつく

そう、個性とは違うと言う事は
それ即ち


「む、無個性…?」

「おいおいおい!そりゃ危険じゃねぇーのか!?無個性って」

「誰が一体無個性を危険と判断し始めたのでしょう?
彼女に降り注ぐ物を貴方方は知る事も無かったのに。」

全く持ってその通りだ
ミミズクの言う通り、無個性を危険と判断したのは何時だ?
個性が発動してからではないだろうか?

「無個性が個性を操っているに過ぎない話です」

では彼女が心配そうだった顔の元凶は?
そう聞こうとした瞬間、モニターに一部彼女の姿が映った
辺りは薄暗く夜になりつつある

地下である事を忘れさせる程に世界観が
窓一枚隔ててある事に緑谷は気付く


「此れより審判を行う、と言っても簡単に言えば
”カード半分切りましたよ此れからも絶えれるかな?チャレンジ”なんだけどね!!」


「「(長い上にネーミングセンスねぇ!!!)」」

そう窓から外の人間は一同全員感じた事に
ミミズクがくすくすと不気味に笑う


『(わたしは)』

一体何をしたいのだろうか。

そう小籠が考えている瞬間に切って入って来た赤髪
姿が変わり本気になれと言っている様で


『ーっ、ファイアー!目くらましして!!』

燃え上がる火に一瞬ひるんだ隙に姿を消す小籠
身体を消したのかとフクが言うが直ぐに
見つかると魔女が言った

小籠は今、とても心情が不安定だからだ



































期末テストの様な枠
但し全教師陣とクラスメートが観ている事は
主人公に説明済み《後書きスペース》