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不確かなものに溺れる深夜二時半

え〜〜、突然ですが、皆さんはこんなことはあるだろうか?

「もしも一つ願いが叶うとしたら何が良い?」
と言われて、願いを叶えて貰うこと。

サンタさんでも七夕に願いを言っても
お正月に神頼みと様々な行事で神頼みがあるが、
実際の処自分で勝ち取るものが大前提であって、
本当に願いが叶うとは限らないのだ。

だが、まさかまさかのことが起きました。

え〜現在時刻が分かりません。

―告、現在は真夜中の二時半です。

いや別にそういうわけではないんですよ。
えぇ、というのも、この身体の中に
何故か一人追加で誰かいます。

自問自答の優しい世界に
まさかの乱入者ご登場です。ビビったよ。

あぁ私の名前は小鳥遊ミル。

今まで製造関係に務めていまして、ですね。
なんなら帰ってやっと寝れる!まずはお風呂だ!
と思って足を踏み入れたらこの深い洞窟の中で、
肉体が生成されて素っ裸の状態なんですが…。

あのですね、此処は何処ですかね。



あと私に風呂を入れさせろ。



―告、此処は洞窟です。

んなこたぁ分かってるんですよ。
それ此処の地名が分かりたいっていう問いに
日本ですって国を答えられているのと変わらないからね?

「(にしても変な場所だなぁ)」

かなりデカい洞窟で、あれ私何か嗚呼そうだ

「(ルト達、一体何処なんだろう?)」

―告、ルトと呼ばれる者は実在しません。

…ん?なんかとんでもないことを言われた気がするが、
気のせいだと思いたい。

何ならその前のことが思い出せない。

確かに在った気がするのに、もう顔も姿も思い出せない。

ただ言えるのは一つ。



「(……私は転生者ではない)」



―告、ユニークスキル【放浪者】を獲得しました。


「(あ?んだそりゃ、美味し…くはないか。)」


食べ物ではないし…
って嗚呼そうだ、
力が出るかどうか試しておきたい。

「…空想の箱庭よ‼」

そう言ったら手に力が入り、
小さくはあるが青い空が広がり、
周りは花畑に包まれた。

心なしか息がしやすい。

―告、ユニークスキル【幻想者】を獲得しました。
放浪者と融合します。
新たなスキル【空想箱】を獲得しました。


何かレベル上げが
とんでもないことになっている気がする。

っていうかなんだそれは。


「(あの貴方のお名前は?)」


―失礼しました。私の名前はヘーメラーと申します。


「(ん?ヘーメラー?ん?
あれ、何処かで聞いたことのあるような。)」



脳内に雑音が入る。

何かが思い出せない、まぁこの世界で長く居れば思い出すと思う。
何故かそんな気がした。
何時からこうやって渡り歩いているのかも思い出せない。


―………。


「(えっと、ヘーメラー、さん?)」


―告、私の名前はヘーメラー、又はヘメラとお呼び下さい。


「(それじゃあヘメラさん、ユニークスキルってなぁに?)」


聞きなれない単語に、ヘメラは答えてくれる。


―告、ユニークスキルとは、
何らかの成長を世界が認めた時に
獲得することがある能力のことを示します。
獲得の契機は進化や、強い意志によるものなど、
様々な状態で起こります。

「(へぇ、何かゲームみたいだな…
あ、個性の影響でこの世界ごと
私眠りについてるとかだったら?
いやあの世界もなんでもありだったし、
割と在り得そうだな。私のスキルは空想箱だけ?)」


―否、統べての力が能力として上書きが可能になっています。実行しますか?


「(え?ちょっと待って?)」


統べてって言った?ねぇ、それってさまさか


「(フォティアの力は?)」


―告、ユニークスキル【青炎焔】が獲得できます。
コレは炎化と炎熱操作と範囲結界を組み合わせ、
更に魂の融合で獲得出来上がります。

待て待て待て待て、
それつまりフォティア達が
死ぬということになり得るのでは?

「(誰が実行するか。ちょっと時間欲しい。
それってフォティア達が死ぬってことになるんでしょう?)」


―否、正確には違います。


あうぇ?そうなの?


―魂ごとがスキルに変換される為、
魂自体が消滅するわけではありません。


「それは消滅するっつってんのよ⁉」


何がしないだ。ふざけるな。明らかに使うだろうよ。


なるほど、前に使っていた力は
極力止めておいた方が良いということだ。


「(ねぇヘメラさん)」


―どうしましたか?


「(私の力って人間ではなかったりする?)」


―告、その通りです。
現在小鳥遊ミルは人ならざる者に進化を遂げております。


「(悪魔?天使?)」


―否悪魔でも天使でも人間でもありません。
魔物に近しいものですが、
正確に言えば悪魔や天使、
魔物の中間に位置する者です。


なるほど、そもそも正式な個体ではないのか。


「(出来る限り人間に近づけられる?)」


―告、可能です。


「(なら全て人間に近しい状態にして。
そんで力の解放はパーセンテージで行いたい。
十段階に分けれそう?)」

―告、可能です。小鳥遊ミルの魔素量を
人間と同等レベルに抑え込むことに成功しました。

段階によってはどんな技も攻撃も繰り出すことが可能です。


「(よし、服って出来るの?)」


―否、出来ません。


まぁそりゃあそうだよな。と言ってもだ…


「(ここからどうやって出よう…。)」


人ならざる者になってしまった以上、
出来る限り人間には出会いたくない。

いやでも


―告、エクリーポの力で
ユニークスキル【消失者きえうるもの】が獲得できます。

コレは自分以外の人間に悟られないようにすることが可能です。

獲得しますか?


「(いやだからしないってば)」


フォティア達と話せなくなるのは嫌だ。
せめて会えて話せるようになれればいいのに。


―告、【空想箱レヴリクエール】を使用すれば
ユニークスキルからアルティメットスキル
箱庭者レクリエール】に上限が変化し、
会話は可能になります。

「(ほんとに⁉)」


―告、本当です。


「(なら…一応、獲る……かな。)」


―了、解析中。解析終了。

ーユニークスキル【空想箱レヴリクエール】の解析成功しました。
 アルティメットスキル【箱庭者レクリエール】に変化します。

ー成功しました。

ーアルティメットスキル【箱庭者レクリエール】を獲得しました。
今まで集めて来た各個体の力を扱えるようになります。

ー生体反応を検知しました。

ー解析しますか?

『…yes』

その言葉に従い、彼女と呼んでも等しい者がまた声を出す。

ー了、アルティメットスキル【箱庭者レクリエール】を実行します。
 実行しました。二体の生体反応を検知。
 二体とも小鳥遊ミルに付いていくことを希望しています。
 スキルに変化させますか?

『…そうしたら、この子達はどうなるの?』

ー解、貴方の意志によりいつでもどこでも操作が可能になります。
 個体は維持したままにも出来ますが。

『なら、個体を維持したままスキルに変化は?』

ー可能です。

『それでおねがいします』

ー了、解析します。
 個体名:フォティアの解析が完了しました。
 ユニークスキル【煌炎焔フォティア】を獲得しました。
 炎を自在に操ることが可能です。
 持続性の火炎は現段階で最大10秒程度です。

ー個体名:エクリーポの解析が完了しました。
 ユニークスキル【煤消失エクリ―ポ】を獲得しました。
 特定の個体を周囲から察知しにくくします。効果は最大で20秒程です。

ーどちらも現段階ではアルティメットスキルに変化は出来ません。

『あれ、そうなの?どうして?』

ー解、レベルが足りません。

『だああああああっ』

急にゲーム感が出て来たことで、
真面目な雰囲気から一気にずっこける私に対して
ヘメラさんはニコリと笑った感じで答えてくれる。

ーどちらも拒絶反応を検知しました。

『拒絶反応?』

ーはい。生命体の為、意志のある状態でなければ変化しません。

『成る程、今はその時じゃないってことですか。』

ー解。その通りです。


全部を使いこなせるようになれば…
私は、この身体で、一体何処まで行くんだろうか。

『(不安になるけど、大丈夫。)』


あの場所になんて、もう、戻れやしないのだから。


口が開いたのをそっと閉じて紡ぐ。
ニコリと笑う中、左右から温かみを感じ取る。
嗚呼此処に居るのだ。

この隣に、彼女らがそっと寄り添ってくれている。

『(嗚呼それでも、私はあの場所に戻りたいと思う私を許して欲しい。)』


願ってしまう、望んでしまう。

あの温かな、そう、この場所のような陽だまりの在る場所を。


―告、願った場所には辿り着くことは不可能です。


分かっている。それでも、私は望んでいる。
そうしてこの世界は、切り離された場所で
この身体を包んでくれる。

優しいこの暖かい時間が、私は大好きなのだ。


―…告、【箱庭者レクリエール】は長時間使用することは推奨出来ません。


「(え?どうして?)」


―告、空想箱は現実に存在しないものを
 箱庭として作り出すことが可能なだけです。
 長時間使用すると空想の中に取り込まれ、
 存在すらなかった事になります。


…割と恐ろしい力じゃないですか、やだなぁ。


『(まぁでも、そうだよね。
今はくよくよしている場合じゃない。)』


一刻も早くこの場所から…で、でよう、で?


「まいごぉ…」

小鳥遊ミル、御年20歳。半泣きです。



+++++++++++

『ここどこぉ…私だれぇ…』




―告、貴方は小鳥遊ミルです。産まれは不明。


煩いなネタなんだよ。

『(にしても洞窟広いな…。ってヘメラさん空想箱閉じないの?)』



―告、今閉じると死に至ります。


なんで⁉


―この洞窟は人が生きれない場所です。ガスが人間の生命を奪い取ります。


わぁ凄い。


『(なら別のものない?)』


―告、現在は習得不可能です。


なら上に行くのみ、そう動いていると前から声が音が聞こえる。


一応言っておこう。





現在私は全裸である。




この全裸を見られたくはない。


『(ヘメラさん早速スキル使って欲しい‼)』


ー了、ユニークスキル【煤消失エクリ―ポ】を使用します。


その言葉で身体が透過していくのを感じる。
まるでこの世界から消えてしまったかのような感覚に
入り浸りたい処で意識が違う誰かの声で覚醒した。


「あっれ?おっかしいな〜
確かにここら辺で
とんでもない力があったんだけどなぁ〜」

そう少年のような声が聞こえる。

身体を丸めて震えることしか出来ない。
衣服が欲しい。切実に。
ちょっと待って?

強く願えばスキルとやらで可能なのでは?

―告、可能です。
 先程歩いていた際に取れた草を繊維として分解し、
 衣服を再生成することが可能です。

ー了、アルティメットスキル【箱庭者レクリエール】を実行します。
 実行しました。二体の生体反応を検知。
 二体とも小鳥遊ミルに付いていくことを希望しています。
 スキルに変化させますか?

『(お願いします)』

ー畏まりました。ドーリとフィロマを確認しました。

ー了、解析します。
 個体名:ドーリの解析が完了しました。
 ユニークスキル【鑓針盤ドーリ】を獲得しました。
 刃物であれば何でも通すことが可能です。

ー個体名:フィロマの解析が完了しました。
 ユニークスキル【樹椋木フィロマ】を獲得しました。
 繊維物であれば解析後生産可能です。効果は1日です。

ーどちらも現段階ではアルティメットスキルに変化は出来ません。

『(了解、二つ同時に出してほしい。)』

ー了、実行します。
 アルティメットスキル【箱庭者レクリエール】を再実行します。
 ユニークスキル【鑓針盤ドーリ】とユニークスキル【樹椋木フィロマ】を実行。
 繊維物を収集します。解析中。

ー解析完了。成功しました。
 衣服を生成しています。暫くお待ち下さい。

『(ごめんなるべく早くお願いします!!!)』

このままでは全裸のお姉さんで記憶に残してしまうことになる。
それだけは避けたいものだ。

そう言って声が聞こえなくなった時だった。
他の人の声も聞こえる。


「リムル様、そんな遠くまで行かないで下さい。」

「いやいや、にしても本当に来てよかったのか?
俺一人でも問題ないっていうのに。」

「とんでもない魔素が一瞬で浮かんで消えたんですよ。
主である貴方が消えたらとんでもないでしょう。」

「そうですよ、
人間では難しいでしょうが、
私達であれば問題ありません。」

数人の声が聞こえる。

うわぁ、人間…ん?待て?
今人間ではないと言った?
あれ?でも喋れる人は
人間って判定で私通したいんだが。

「ん〜確かに此処らへんで人が居た筈なんだよ。」

「本当ですか?それ人間ではないのでは。」

「こんな魔素の毒素を人間が浴びて
ひとたまりもないのは分かるでしょう?」

「いやだから余計に困ってるんだよ〜〜」

「割とつついたら出てきたりするでしょう。ほれ」

「ぴぎゃっ」

「え〜ハクロウってば〜そんなわけな…ん?ぴぎゃっ?」

「シオン変な鳴き声やめてくれない?」

「えぇ⁉酷いですリムル様私は言っていませんよ⁉」


俺な訳ないですと言った者に、
じゃあとチラリと動き出す。

丁度衣服が整った処だ。


白い衣服はとても懐かしい。



「ぴぎゃっ‼」

「うわああああっ‼」

「ぴぃいいいいいい」

「あっちょ、まっ、まてって!!」

「追うぞ‼」


そう言った者達に、現在必死に逃げています。

小鳥遊ミルです。

ひらひらと白いワンピース姿で、
胸元にあるリボンが
左右に肩を一周して止められているのを
本当は引き千切って叩き割りたいくらいに
恥ずかしくて無視したくないが、
今はそれどころじゃないことは確かである。

というか何故バレタ。

「うぇええええん‼ヘメラさんなんとかじでえええ」


―告、攻撃を使用しますか?


「誰が攻撃するか!!というか何で【煤消失エクリ―ポ】使ってバレてるのってか
待ってアレ人間限定なの聞いてないんですけど!
仮に人間限定だとしてもあの人たち人間じゃないの!?
ちょっと待ってよ!ほんとに!!!なんなの馬鹿なの死んじゃうの⁉」
「ちょっと待てってば‼」
「ぴぃいいいいいい」
「っは、はっ、お、追い付いた。」



囲まれてしまった。

右へ左へ後ろと首をブンブン回す。
何処にも逃げ場がなくて、身体を縮こませることしか出来ない。
徐々にしゃがんで、体育座りで座ってしまったではないか。


「え〜〜っと、なんで逃げるの?
っていうか君さ、まさか
ひょっとしなくても日本人だよね?」

「ぴ⁉何で」

「いやいや、馬鹿なの死ぬのって漫画の言葉だろ?
っていうか、その髪の毛から姿からさ〜
あからさまなんだよなぁ〜。」

 だから警戒を解けお前らと言った彼に対して、
ですがリムル様と赤い髪の毛の男性が言う。
へぇリムルって言うのか。

うんうん覚えたよ。



明日には忘れるかもしれないけど。


「わわわわ私をどうするの?食べるの?食べちゃうの⁉」

「食べない食べない。っていうか、
なんで急に逃げたりしたんだ?
まだ俺達何もしてないだろう?」

「…不思議な者は皆毛嫌いするから、
よくわからない人頭の中に居るし、
私長く居れない。寂しくしちゃうから。」


「んん?ん〜ちょっと勘違いしてるな。」


とりあえずここから出てみるか?
そう言ったリムルが、自己紹介をする。



「俺の名前はリムル=テンペストだ。
この国の主をしている。君の名前は?」

「…ミル、小鳥遊ミルって、ことは憶えてる。」

「憶えてる?」

「ん。何かよくわからないの。頭こんがらがってて…」

「あ〜最初の時は確かに
俺も困惑しちゃったんだよなぁ。
まぁ手出ししないように言い聞かせるから、
何処にも行く当てないなら付いて来なよ。」



 どうせお腹もすいてるだろ?

そう言われてそんなことと否定したが、
お腹がきゅ〜るるるると
鳶か何かの音が鳴って身体をぐっと縮ませた。

 くつくつと音が鳴る方向を向いた。

もう頭が熱くて仕方がないので、
身体を動かして嫌だと言いながら
外に出れそうな場所に向かって走ることにした。

後ろから声が聞こえる気がするが、
恥ずかしくて止まれる訳がなかった。

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