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真夜中の迷子




『ふみゅ〜…リムルさんはとても優し過ぎるです。
見知らぬ人をこんな良い所に連れてきて
暴れないか心配しないんですか?』


現在洞窟から、帰る場所もないならうちにおいで。
と言われてホイホイと付いて行ってしまって現在夜中の三時程。

街と言ってもいいくらいに発展した場所に入って
とある民家をお借りして話を進めている途中である。



「いやいや、ミルちゃんだっけ?
君絶対そんなことしないでしょ?
日本人なら尚更だし…」

『ひぇっ、何故私が日本人だと⁉』


 いやさっき話したよね?

そう言われてはてそうだったかなというと、
先程の声が脳内に響き渡って来た。



―解、先程も申されておりました。


 はわ。申されていましたのね?


「んで?何であんな場所に居たんだよ。
っていうかその身体人間か?」

『何でって言われてもですね…なんででしょう?』

「なんででしょうって、分からないのか?」

『はいです。気付いたらあの場所で寝んねしてました。
起きたらよくわからない言葉も聞こえるし
フォティア達が魂ごと消滅するだのなんだの言うしで
恐ろしくて逃げようとしてた矢先に皆さんが来たのです。』



正直言うと今すぐにでもこの場所から逃げたい。
うんうんと強く頷くミルに、リムルは問う。



「それってもしかして…大賢者みたいなことか?」

『だいけんじゃ?』

「嗚呼、頭の中で自分と違う声が聞こえたりするんだろ?」

『嗚呼君大賢者って名前だったの?』


―否、私の名前はヘメラです。大賢者は私の姉に位置する者です。


『ヘメラさんお姉さんいたの⁉待って⁉』

「ん?何だ?」

『今ヘメラさんって人が大賢者さんの妹さんって話が』

「ええええええええええええええええええ⁉」


そうリムルが驚いて考えていたのか顔を青ざめている。
一体何を考えているのか、


「…どうやら本当らしい。
にしても凄いな、一見見た目は人間だが。」

「見た目どころか魔素も全く感じ取れませんよリムル様。」

『お、赤い鬼さんだ。』


 おっと何故か口が喋る。何でだろう。


―解、人間に寄せていることが理由になります。
 力を使わなければ人間の状態とほぼ変わらないからです。

 嗚呼私無意識下で力使ってたってこと?うっそだぁ。


「赤い鬼さん…ぷぷっ」

「リムル様?んんっ、自己紹介がまだだったな。
俺の名前はベニマル。こっちは妹のシュナ」

「シュナです。よろしくお願いします。」

「リムル様の付き人であるシオンです!」

「ソウエイだ。よろしく。」

「ハクロウですじゃ、よろしくお願いする。」

『あっ、み、た、小鳥遊ミルと言います‼
好きな食べ物はスパゲッティとオムライスです
よろしくお願いします‼』

危ない危ない本名を言うところだった。

焦って隠した為か勢いよく頭を下げたので、
前にあった机にゴンとぶつけると、
ミルは声にもならない声を上げながら
両手を額に当ててその場で地団太を踏む。

「ふぉっふぉっふぉ、確かにリムル様の仰る通り、
我々が思い違いをしていたようですじゃな。」

「思い違い?」

「先程とてつもない魔素がお前の居た場所から
出て来てな、気になったから全員で突撃したまでだ。」

「そしたら君が居たって訳。」

『はわ…あうぇ?ん〜?
(えっと…ヘメラさんヘメラさん。)』


―なんでしょう。


今パーセンテージ幾つです?


―現在0%になっています。引き揚げますか?


 うん。引き上げたいけど…って待って。

なんかその言い方おかしいな?


 さっき出てたのってどれくらいなの?


―先程は6%です。


『はぇ〜』

「なぁ、あいつ頭がおかしくなったのか?」

「いやベニマル違う。多分。
…なぁミルちゃん、何を話してんだ?」

『ほぇ?嗚呼、ヘメラさんにね?
さっき私の力どれくらい出してたの?
って聞いたんですけど』

「ほうほうそしたら?」

『そしたらなんか6%だって言ってましてですね。』

「ろっ⁉」


「「6%⁉」」


 ほぇ?そう言ったミルに対して、ヘメラが答える。


―告、彼らの力を合わせても
 こちら側には充分に勝ち目があります。


『はぇ?』



―つまり彼らよりも強いということです。

 え?いやいやいや〜そんなこたぁないよ?
 私強くないよヘメラさん?
 そりゃフォティア達の力だよ。

―否、フォティアら42の力は
 全て小鳥遊ミルの融合を望んでいます。
 融合をすれば個体の力特有のユニークスキルと変化し、
 後にアルティメットスキルに進化し固定されます。


 …ん?つまり、今までは杖でお願いしてたのが、
 私の独断と偏見で出せるようになるってこと?


―解、その通りです。


 わぁ。

『わぁ杖要らずとかつよすんぎ。』
「ん?杖?」
『嗚呼、今までは杖を使ってフォティアさん達
カードさんにお願いして、
修羅場をばんばか抜け出してきたんですよ。』

だが、現在魔法枠として力を切り替えられるようらしく
私としては黒魔法とか白魔法の魔導士枠を立候補したいところだが。

そうミルがニヤニヤと企んでいると、
リムルの顔がどんどんと青ざめる。


「ん?フォティア達?
あれ…ミル、フォティア、カード…」
「リムル様、何か分かったのですか?」

周りの怪しい警戒に、ミルも察知する。



「ひょっとしてまさかお前、
あの【空想の箱庭】の主人公小鳥遊ミルか⁉」

「ぴえっ⁉何それ⁉」

急にリムルが近づいて手を取って来た。
いや確かにそうだと周りを見渡している。


「この白いワンピースに、
黒髪金目の少女のような女性‼
見た目も中身も一見子供に見えるが、
やる時はやる人間で、
魔樹と呼ばれる種を身体に植え付けられ
42の魂を一つにして神々に対抗し、
悪魔や人を引き連れて世界を救った
あの伝説の漫画アニメ【空想の箱庭】
の主人公小鳥遊ミルか‼」


 わぁ〜〜〜!
 とっても私の中のこと分かってくれてて
 逆にこっちが驚いてるわこんちくしょう。

そう内心軽く毒づきながらも
ミルはコクコクと縦に頷くことにした。

早口だったが、
彼の言っていた「42の魂」は
フォティア達で間違いないし

魔樹と呼ばれる者から種を植え付けられ、
色々と翻弄されているのは事実である。



 というかよくわかったなこんちくしょう。


「こっちが驚くわ‼うわ〜〜すっっげぇ〜〜‼
 本物だぁ〜俺本物と喋ってるぅ〜〜〜‼」

「り、リムル様?少々落ち着かれた方がよろしいかと。」


 彼女、俺の後ろにまで下がって怯えています。

そう言ったベニマルに、嗚呼すまないと距離を取ったリムル様。
丁度近い所に居たから隠れただけであって、初対面で隠れて申し訳ない。
だってあの興奮状態で近場に入れる方が勇者だと思うんですよ私。


『あう、すすすいません、
初対面なのに隠れ蓑みたいにしてしまって。』

「嗚呼いや、構わない。そんなことより、
リムル様、彼女のことをご存知なんですか?」

「ご存知も何も、超マイナーアニメの主人公なんだよそいつ。」

「ま、あ?」

「お前らで言うと書物の登場人物って処だ。」

「はぁ⁉」

『わぁ驚かれた。』

「そりゃ驚くわ‼何でどうしてこっちに来たんだよ‼」

「あいや〜それが分かったら私も此処に居ないよ〜。」


まぁそりゃあそうか。そう言ったリムルに、
一体何処まで知っているのか知りたくなるではないか。


「小鳥遊ミルって言うとアレだろ?
42の力を一つに束ね、
世界を救える力を持つ子だろ。」

『そうなの?』

「いや、俺に聞かれてもだな…」

「まぁ…その膨大な力を持っているのに
使い方が妙に違うというか、
なんというか宝の持ち腐れという
あだ名がピッタリな子だって噂は出てたけどな…。」

それは私も自信を持って言える。

「ってことは、42の力を使えるのか⁉」

『うぅ…それが、その。』

「ん?」


どうした?と首を傾げるリムルに、
両手を胸元で合わせて
もじもじとしながら困り顔で話を続ける。

『えっとね?リムルさん、あの。』

「嗚呼リムルって呼んでも良いぞ?」

『りぃ⁉あっちょ、じ、時間経過でお願いします。』

「っくく分かった。寧ろ俺がミルさんって
敬語で話さないといけないレベルだよな。」


それこそ申し訳ないとミルは首を横に振った。
徐々にリムルの顔が笑顔になる。

一体何故だ。まぁ大体想像は付く。

漫画やアニメで自分のことを見たことがあるというのだ。
憧れが目の前に居て興奮しないわけがない。


『その42の力なんだけどね?
力を使うにはユニークスキル?
ってやつに変換しないと使えないかも』

 …だって。

 その、ヘメラさん曰くなんですけどね?


「ユニークスキルに⁉」

『でもそうしちゃうと、この世界の人間になるから、
魂は固定され、そのまま私の力に書き換えられて
いずれは消滅しちゃうかもって。』

 その、ヘメラさんがですね?

そう付け足すのは後で言うのに、
ヘメラさん本人が呆れてため息を吐きそうなのを感じる。


こういうところだけは聡いんですわたし。

ごめんってば。

だって言うの訂正するの面倒くさいし、
なんだか貴方を何度も言うのはダメな気がしたもの。


「なぁっ⁉」

『でも全部上手くいけば会えるから
やってみようかな〜っておもって
さっき使ってみたんです。』


まぁ全部ヘメラさんが言ってくれたおかげなんですけどね!?!?



「え…ま、まさかエクリーポ使った〜
 な〜んていうんじゃ、あは、あはは。」


そう笑ったリムルに、隠れていたミルが目を丸めて固まった。
口は笑って居るが目が全く笑って居ない。

あれ?

『わ…な、何故バレて……。
あう、やはり私はもう物語の一部になったのか。』


「(あれ、凄い顔青ざめて…嗚呼そうだった、
小鳥遊ミルは確か最初から最期まで
物語の一部にならないように
降り立った物語から移動しては脱出して、
元の世界に戻ろうとする子だった…けど)」

 けど、確か…

 確かあの戻る世界は彼女にとって地獄だったよな?
 育児放棄された家庭で、愛情も無くて
 片親の人間に凄い共感したのに、全く有名にならなかった物語。

 母親からの愛情を受け取りたくて、
 でも本当は受け取らなくて良くて、分かっているのにそれでも希う。
 子供の無邪気な願いを消し去る神に、少女は笑って答えた。



 “もういいの、だって最初から叶わなかったのだから”


「(もし俺が其処に居たら、助けられたのに。
って、前知り合いに勧められて見て思ったんだったな。
懐かしいな、この子にどれ程、昔の俺も救われたことか。)」

「リムル様?どうされたんですか?」

「ん?嗚呼すまんすまん、ちょっと考え事してた。
ミルちゃん、もし良ければ俺達の国に住まないか?」

「リムル様⁉」

『はぇっ⁉』

「俺の知っている書物通りの子ならば、
この子は例え世界がひっくり返ろうが
誰かに洗脳されようが何されようとも
人を傷付けることはおろか、
魂ごと消滅させるようなことは間違ってもしないはずだ。」

 というか断言できる。
 特に悪魔に対して超好意的な人間だぞ?

そういうリムルに、
本当に何でも知ってるんだなと
ミルは思い、彼らの言葉を聞くために顔を向けた。

「ですが…本人の前で言うのもなんですが、
身元も力も分からない子を
そう軽々と置くのはおやめください。」

それに対してミルもブンブンと首を縦に振る。
そりゃあもう顔が取れる程の速度で振るもんだから
チラリと言った本人のベニマルも
若干冷や汗をかいて見ているくらいだ。

「だ〜いじょうぶだって。
ミルちゃんが俺の知っている
漫画の人間だって一瞬で分かったから。」

「その自信一体何処から来るんですか。」

「ん〜?決定的なのはベニマルだよ。」

「え?お、俺ですか⁉」


そう驚いたベニマルに、うんとリムルは頷いた。


「正直この中で一番顔怖いだろ?お前。」

「いや、さり気なく貶さないで頂きたいのですが。」

「小鳥遊ミルって奴はな?
顔とか身なりを無視して接してくれる子なんだよ。
特に身内になれば尚更素で信頼をしてくれる。
そこら辺見抜く所が人よりも長けてるんだよ。
特にお前みたいな子は他の女の子たちなら引くはず。」


ベニマルは正直この中で一番引いても
おかしくない程の殺気を放っているものだ。
警戒心が人一倍強く、同時に人情も人一倍強い。

そんな彼の元に、一瞬でミルは背後に回って隠れたのだ。

ベニマルの力よりも上であるミルが背後に隠れる等
プライド的にベニマルにも失礼極まりない行為ではあるし、
悪いことはしていないのだからもっと堂々としていて問題はない。

だが、此処に小鳥遊ミルらしさが出ているとリムルは言うのだ。


「なぁミルちゃん、どうしてその赤鬼さんの後ろに行ったんだ?」
「あっ、赤鬼ってリムル様…」
『えっと…お、怒らないです?』
「うんうん。」
『その…じ、自分に近かったから…でしょうか?』

至って真面目に答えたミルに、やっぱりなとリムルは答える。

「なぁベニマル。」
「なんでしょう」
「自分に近かったからと言って、
格下の魔物の背後に隠れ、
周りを警戒する奴がこの世にいると思うか?」

その言葉でベニマルはようやくリムルの言いたい事が分かった。

ミルは此処に居る者達が本気を出しても勝てない程の者だ。
洞窟で感じた気配がほんの一部だけだというならば、
隠れても無駄であるし、勝ち目があるので堂々としてもいい。

だが、それをしないで、周りを見て隠れ
周りの警戒を感じ取ったというのは、それは。


「まさか、こいつが警戒をしているとでも…?」
「正確には様子見だな。
周りに溶け込めるようにするには
まず周りよりも低い位置から入ることが多い。」


だが、ミルは一瞬で「自分に近かったから」
という理由だけで身体を隠した。

普通ならシュナの方に行くはずだ。
なんならもっと近い。
でも、そうしたのはミルの生きていた時間に関係するからだ。


 ミルは不完全家庭の産まれで、
 母親にいじめられていたこともあり、女の人が苦手である。
 男手一つで育ててもらったことが一番の理由にも出て来るが、
 ちゃんと見てくれる人間を次第に見抜く力が身についてしまったのだ。

それを知らない彼らに、リムルは色々と考え話をまとめる。

「男女関係なく単純にその人を見て判断するのに長けてるんだよ。
俺の知っている主人公なら尚更、こう思ってる。」


 ”自分のせいで揉め事になって悲しまないか心配だから”


その言葉にミルは身体を止めて、今度こそ顔が崩れ落ちた。

折角不安そうに、無害そうにして
距離を保っていたのが一気に離れてしまう。

その現実を知ったリムルやベニマルに、
ミルは焦りそんなことはないと否定しようとするが、
先にリムルに言われてしまい言葉を飲み込んだ。


「なのにベニマルの背後に隠れたって言うことは、
決して悪い人ではなくて自分を見てくれる
優しい心の持ち主さんだから、
この人の後ろに居れば、
今はダメでも何時か大丈夫だろうって。」


 そう思って隠れた。違う?

そう言ったリムルに、ミルは大正解と答えた。


『…本当に私の思ってること分かるんですね。
リムルってばつよすんぎ、って…はーーーっ!!!』

「っはは、良いって良いって!気軽に呼んでくれると嬉しいよ。」

『うううううううううううう………………リムルさんの意地悪。』


そう言ってシュナの後ろに隠れていうミルに、最早説得力はない。


正確には女性が少々苦手とは思っていたのだが、
それは生い立ちに直結する話であるし、
今の段階で其処まで言うと
ただでさえ怪しいスライムがとても怪しいスライムに変化し
一生本性を見せてくれない気がしたからである。


それに

「(昔のことを思い出させたって何にも良いことはないし…な。)」


アニメでのシーンは今でも忘れない。
そこだけ力を入れているのが痛い程よくわかった。
作成者の方をあれ程憎んだこともなかった。

しんと静まる世界。

茶色い天井に、若草色の畳の上。

白い布団の中からゆっくりと起き上がって。

喧騒のする場所へと足を踏み入れる。

黒髪の女性が彼女を優しく抱きしめ、離れていく姿。

何度も何度も、物語に入っては
物語の最期の方で思い出すシーン。

今まで笑って居なかった顔がニコリと微笑み笑う姿に、
現実では素で生きることなんて出来やしないということを。
目覚めた場所では地獄でしかなくて
普通に生きるなんてできやしないのだと。

そう植え付けられそうになって、
一時期放送停止がSNSで流行ったくらいだった。



もし、もし彼女が本当に空想の箱庭である
主人公小鳥遊ミルであるならば。


「(絶対に過去のことなんて気付かせちゃいけねぇんだよ)」


おどけて笑い、誤魔化す彼女は
まさしく、過去を見ないように背を向ける。

その通りであって。


嗚呼、だが、気付かせなければいけない。

彼女が彼女であるならば、尚更。



「会ってすぐの者に心を此処まで許すとは…」

「いいやハクロウ許してないよ。」

「なんですと?」

「俺の知っているミルならば
…誰一人として心を開かない。
だってお前は」

そう言った瞬間、ミルは手に弓を作り出し、
空中で白い翼を広げて背後に回って警戒していた。


「(此処が現実なのだと、
あの時間に戻れないと
知ることすら罪であるのだと
思い聞かせないと息が出来ない程までに
追い詰めた者ならば。)」


 もう、此処で終わりにしたって、なんにも悪くないんだよ。


迷子になった子供に手を差し伸べなくて何になる。

そう言いたかった言葉を、
そっと喉の奥にしまい込んだリムルに対し、
全く知らないベニマル達は警戒を表し、
距離を取って剣を構えた。

それにリムルが止めろと声を上げる。



『…それ以上言うならその頭に矢を放つよ?』

「放てるなら放ってみろよ。
どうせ出来もしないくせして。」

『〜〜〜っ、で、できる、もん。』

「…震えてるぞ、無理すんなって。」

『っ、だって。』

「俺を殺そうとしたら皆嫌ってくれる
 と思ったって?そんな訳ないだろ。」


そう言ったリムルに、ミルはでもと答える。




 その先の言葉を私は知っているから。


 心を開く訳がない。



 だってあの人にすら愛されなかった時間は、
 もう何処にも行くことは出来ない。




 私は最初から最期まで
 あの時間に心を置いているのだから。




「な?だから降ろしておけって。」

『んむ……。』

「ほらお前達も警戒すんなって。」

「ですが…」

「こいつはちゃんと見てくれる
人の言うことだけはある程度聞くから。」

『本当にご存知なんですね…』

「だから言ってるだろ?」


そう言ったリムルに、
ベニマルは深いため息を吐いた後、
分かりましたと答え、剣を仕舞った。

「リムル様のご友人であるならば何もしません。」

「友人じゃないぞ?」

「え?」

「俺の心を進化させてくれた、超尊敬できる人だ。」

『はぇっ⁉』


「なんと!」



 なんだかとんでもないことを言われた気がする⁉
 何でそんなんなの⁉
 一気にこっちに視線が来るんですが!
 ちょっとお兄さんとんでもないこと言ってない⁉


 待ってこっちみんな!


視線が集中するのに、
ばっと明後日の方向を見るしかないのを
どうか許して欲しい。


「安心しろって〜
お前の知ってる本は
間違っても出さないから。」

『そういう問題じゃないですが⁉
何言ってるんです⁉
この馬鹿みたいな馬鹿の何処を
どう見て尊敬できるんですか⁉』

「だ〜からそういうところなんだよなぁ。」


 まぁ今日からよろしくな!ミル‼


そう言ったリムルに、
ミルは深いため息を吐いた後、
翼を下げ、地面に足を降ろした後
リムルの手を握り返したのだった。


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