「ふ〜すっっっきりしな〜〜い‼やっぱコレだ〜めだね!人もいるし余計に無理‼いや〜困った困ったあーっはっはっはっは」
「あーっはっはっはっはっはっじゃねぇーよ‼何なんだよさっきのは‼最後の方えげつない魔素出してただろ‼」
「だって〜ついついミリムやリムル達の仕打ちを考えるとついやり過ぎちゃうから。」
「お、お前な…だからと言って此処でやって良いことと悪いことくらい区別付くだろうよ。」
そう言って戻って来たのは、ギィが言った通り本気で全力で結界を作り、その結界を綺麗に使い切る程の膨大な魔素を使って戻って来たミルだった。傷一つないのがまた恐ろしさを掻き立てて来る。
「そんな事言ったってさ〜仕方がないでしょう?もう果実以外方法は無かったし、まぁ予定通り齧ってくれたから楽しょーだったけど!」
「予定通りってお前…まさか今の今まで仕組んでいたのか⁉」
「えぇ〜そんなこと…ないよ?」
「ひっ」
そうニヤリと不敵な笑みを作ったミルにゾッとするリムル。ギィが言った様に、確かにミルを本気で怒らせるのは良くないと思った。敵に回してはいけない子。小鳥遊ミルだ。
「にしてもあの魔素はどうなってるんだ?お前は一体何者だ。」
「ん〜……ギィ」
「俺はまだ一言もばらしていませんよ?っていうか何故今になって貴方様が来られているのか俺の方が疑問で一杯なんですが。」
「ぎ、ギィ?」
そう慌てるリムルに、リムルは自分の部下であるベニマルを思い出す。ギィの口が明らかに敬語で敬っており、尚且つ礼儀正しくなっているのだ。しかもミルに対して。あの喧嘩して煽っていたミルに対してだ。
「いやいや、アレでも抑えた方なんだよ?覚醒解放していない上に正式契約実は済んでいないんだよね。」
「っなぁ⁉何故ですか⁉いやいやいやいや絶対今からしましょう⁉貴方何でそれを今まで放置してきたんですか⁉」
「だって忙しかったんだもん。」
「忙しいで放置されたら俺達死にますが⁉」
「えっ死ぬの⁉」
急にリムル達他の者の生死まで入って来たので流石にリムルも驚き声を上げた。
「いい加減話してもらおうかギィよ。」
「あ、嗚呼そうだったな…って俺が言って良いのか?」
「良いよギィ私まだ覚醒していないし。それじゃあ改めまして皆さん初めまして。私の名前はミル=小鳥遊。星竜王ヴェルダナーヴァの産みの親、カオス=アイオーンの継承者ならぬ生まれ変わりです♪皆よろしくね〜!」
「うっ、はぁ⁉」
今なんて言った。
そう言った人に、ミルは同じことを言う。
「だから〜カオス=アイオーンだって〜あっ私今名前ミルだし、これからはミル=アイオーンになるのかな?でも小鳥遊って性凄い好きなんだよなぁ。」
「いやいやいやいやマジかほんとか⁉本当の本当にあのカオス=アイオーン様なのか⁉」
「ミリム恐れ多いぞ‼」
「わわっ」
「嗚呼こらこらこらこら!二人共跪かなくて良いってか周りも止めて‼」
「何がどうなって」
「星竜王ヴェルダナーヴァ様は古代竜の一番古い者で、原初の七悪魔達の産みの親でもあるものだ。」
「つ、つまり?」
「つまり俺達の産みの親でもありこの世界を創り出した創造主であるんだよ。」
「軽口叩いてすいませんでしたあああああああああ」
そう軽く土下座をするリムルに、ミルははぁとため息を吐いた。とても長い。
「それは昔の話でしょう?私殆ど覚えていないし、なんなら皆見てるよ?」
「え?何時⁉」
「ほらさっき。果実取ってた人。」
「………おいおいおいおい、待て待て待て待て待て待て、まさかあの創造神をパシったとでも⁉」
「ギィ‼」
「私お兄ちゃんと思ってたし〜う〜ん。力使わないと現れない子になってるしね。」
「力って…」
「空想の箱庭って言ったらリムル憶えてる?」
そうニヤリと笑ったミルに、リムルは頭が痛くなったのであった。
+++++++++++
「成る程、一番の願いが叶わない代わりに全てが上手くいくような呪いの果実を喰らったことでその力か。」
「まぁって言っても私は受託していないから一時停止状態なんだよね。因みにコレ続けると世界の中心が崩れて壊れて死ぬから。」
「今すぐ成れっていうかなってくださいお願いします‼」
そうオクトグラムという名前が決まって数秒後、話題はミルの方向に持っていくことになった。笑って席に座って話すミルの笑顔が恐ろしいことこの上ないのだ。
「でも今はギィさん達や他の悪魔さん達居るし何とかなってるっぽいし…実質引退で良いのでは?」
「いやいやいやいや、俺はあくまでも代理ですよ?貴方がお戻りになるのを待っていたくらいです。っていうか何故ならないのですか、それ程の力があればどんなこともかな…」
「ギィ?」
そう言ったリムルに、ギィはそっぽを向いた。どんなことでも叶う筈だと言いたかったのだ。そう、叶わない。一番上に立つ者は、全てを捧げて生きているのだ。絶対に叶わない願いを、ただミルは捧げて今生きているというのに。
軽率だったと言ったギィに良いとミルは答えた。
「一応まだまだ私力も扱いも危ういからなるつもりはないかな。」
「いやでも…えっまさか、とは思いますが…その42ってまさか」
「うん!何か昔日の8神代って言ってたよ!」
「ギィ⁉ちょっと⁉大丈夫⁉」
ふらりと眩暈がしたのか後ろに下がって気を失いかけるギィにミルはケラケラと笑って居る。一体何だとミリムに問えば答えが返ってくる。
「昔日の8神代はな、私達竜族や此処に居る悪魔達を作った産みの親の新鋭隊、否創造主の者々だ。」
「者々って…え?まさか」
「つまり…ミル様は今まで別世界で失われた昔日の8神代様方を集めて帰って来られたということですか?」
「いえっすおふこーす‼」
ざっつらいつ!そう意味不明な英語を言うミルに、どっと悪魔達がため息を吐いた。マジか、嘘だろと震える声に、リムルはうろたえる。
「って言っても私はあくまでも人助けしてただけなんですよね。困ってる人達に手を差し伸べてあわよくばお友達になってしまおうって思っていただけなんですが。」
「創造主をお友達呼ばわりって…っくくくっはははは」
「ギィ?」
「あ〜笑うしかねぇだろこんなの…戦いも怖くて逃げ惑う奴があの腰が低いか図々しいか分からねぇ奴が俺達の産みの親の親の魂を友達呼ばわりだとよ‼」
そう高らかに笑うギィにミルは首を傾げた。
「ほぇ?」
「なぁ、ミルよ。お前、魔王になるつもりはねぇのか?」
「ちょっと⁉」
「ん〜魅力はあるけど…喧嘩したり人の魂を喰らうのはちょっと気持ち悪いかなぁ。」
「人の魂を軽く数千は喰らってる奴がお友達なんだが…っはは、面白い。まさかこんな廻りがあるとは。」
「うぇ?」
「どうせ俺がお前につくと言ったら全力で断るだろう?」
「うん断固拒否します!私一人が良い!」
だろうなっていうかお前ひとりじゃねぇしな。と腕を組んだ状態でうんうんと頷くギィに、リムルは首を傾げた。
「私がつくのはダメなのですか⁉」
「だから覚醒していないし、成るつもりはまだないからなぁ…それに、ミリム。」
「ん?な、なん、ですか?」
「私上に上がってしまったらお友達になれないよ?」
「…いやなのだ。」
「まだこのままで、お友達でいてくれる?」
「いい、のか?」
「私はそれを望んでいるからね。」
そう言ったミルに、ミリムは嬉しそうに笑って抱き着く。よしよしと背中を叩くミル。一番はずっと叶わないだけであって、それが変わらなければ他は何を言っても効果は発動しないものだ。
「って訳で私はまだなるつもりないですし、というかこの身体に色々と異変も起きてますから調整して整理して終わってからですかねぇ。」
「調整?」
「多分堕天して力を失って人に堕ちてたんだと思うんですよ。会った時間違いなく人だったし、まぁ一部は形が原型留めていなかったけど。」
力を使って暫くしていたらカード達は自分の身体を持ち、暫くしていたら自我も持ってと成長していた。それはある意味戻っていた、回復していたと思えば辻褄が合うのだ。
人間の時の時間は嘘ではなくて、あやふやだと思うのは人間の前の時間が存在していたからであって。あまりにも巨大な魂だから分断したと思えば色々と分かるものだ。
「それにちゃんと皆には元の状態で見せたいし、まだまだ頑張るから‼」
「成る程、了解した。なら今は今まで通りということだな。」
「うん、あっ覚醒後も出来れば今まで通りが嬉しいけど。」
「それはその時だな。」
あっこれ多分却下されるパターンだ。トホホと思いつつ、ミルはため息を吐いた。そこでリムルが一つ良いかと手を上げる。
「その昔日の8神代ってのは一体何なんだ?」
「星竜王ヴェルダナーヴァ様が光の大精霊を生み出す前、世界自体を作り上げた一人と7人の王の逸話の話だ。俺やミリムですらうろ覚えの文献も古すぎてほぼ残っていない物語だ。」
「へ〜どんな奴なんだ?」
「えっと、ヘーメラーでしょ?エレボス、ニュクス、アイテール、エーオース、ウェスペロス、アストライアーにカオスだよ確か。」
「へっ、え?か、カオス⁉」
「ばっ口を慎め!」
すいませんと両手で口に手を当てるリムルにミルは笑って大丈夫だよと手を振る。
「カオスさん優しいし、皆まだ戻りつつあるけど昔の名前だからって照れてるし。」
「照れてるって…お前な、相手は…いやいい。」
もはや考えることを放棄したらしい。それが正しい判断である。ミルの気持ちはそこら辺の人の対象なのだ。それがどれ程恐れ多い者だとしても、だ。
「あっでも永久の新8神代としてリニューアルオープンする予定ではあるから‼期待してて‼」
「そんな地域の店舗が新しくなるみたいな言い方って…」
曲がりなりにも元創造主である。それを友達呼ばわりした挙句地域の活性化に貢献するような軽い店舗の呼ばれ方はないだろうと、リムルだけでなくラミリスやギィ、カリオンが聞いて呆れている。
「だって〜私としては皆初めましてした時人間だったりカードさんで周りに悪影響及ぼすから確保してる時だったから、まさか神様の魂が四方に飛び散って回収するものだとは思わなかったもの。」
「まぁ最初はそりゃそうか。」
「じゃあ他に何か言う奴はいねぇか?いねぇなら今日は此処までにする。嗚呼そうそう」
「ん?」
「お前らミル=アイオーンに戦いを挑むのも程々にしておけよ。」
「誰がするか。」
「ふっ、何もないなら閉廷する。今日は此処まで。」
+++++++++++
そうして無事ワルプルギスは終わった。そう、無事に終わったと私は想っていた。なのに
「何故帰って来ても君は此処に居るのかね、カオス=アイオーンさんよ。」
「っくく、いやいや、俺が何処に出ても何らおかしくないだろう?お前は俺のことを追い求めたんだから。」
いやあながち間違ってはいないけれどもねぇ。言い方という者があるだろうし、腰を持つな引くな見せつけるな。凄い険悪な音が聞こえる。嗚呼ごめんって望んだ方が悪かったんだから。
ふわりと金木犀の香りが鼻に付いて仕方がない。目を閉じれば、すぐにでも想い出して。
「駄目だよ。」
そう言われて、私は目を覚ます。顔を見上げる。この場所は閉じた先に見える場所よりもずっとずっと遠い場所で。私はいつの間にか待っている筈が遠い場所まで歩いていたらしい。
もう、帰れなくなるくらい遠くまで。
真実を望んで、その身を焼き焦がしたくなる程まで縋りついた少女。それが私の正体であり、私の真実。母は私を見てくれなかった。父も割と見てくれた方だが、母は違った。でもそれでも希望は持った縋った。触れた時手は冷たくても、まだ心は優しい気がしたから。
悪いことをしたら叩いていただけで、理不尽な暴力はしなかったから。だからだと縋りついた。もう現実になんて真実は語っている。在り得ないのだと、それならいっそのこと夢すら許されないのならば。
私のこの心の奥底だけで空想を創り上げてしまえばいいだろうと思ったのだ。
誰も気づかない程、小さな箱庭を。私だけの、楽園と言う名の、地獄の世界を。
だから、私は此処に居ることを決意したのだ。私が望んだ。私が決定したのだ。もう現実になんて存在しないものだから。在り得ないなら創り上げてしまえばいいと。それすらも許されなくなってしまったら、私は一体何処に行けばいいのだろうか。
「ミル、そいつは一体誰だ。」
「べっベニマル君⁉ちょちょちょっと」
「ん〜?俺のこと?」
そうニヤリと笑った後、ぐっと引いて頭に顎を置いて「お・れ・の♪」とウインクをしたことでベニマルの火蓋を切ったらしい。よかろうならば戦争だ。と言いたそうに手を握りしめている。嗚呼面倒だな本当に。
「一応言っておくけど、この人に恋愛感情は一切ないから安心して。」
「おや、それは本当に?こんなにも縋りついて離しやしないくせして?」
「縋る程恋しい訳じゃあない。」
「へぇ?なら離れても良いんだ。」
そう言われてスッと距離を取られる。するとジワリと、黒髪の女性が脳裏に現れた。嗚呼どうして毎回想い出して手を伸ばしてしまうんだろう。伸ばしたって取って貰える訳なんて在り得ないというのに。ソレをみてニヤニヤと笑って居る。
嗚呼、憐れだというのは私にあるものだろう。
「はいはい、離れたくないよねぇ〜はぁ〜やっぱり俺お前剥がしたくないわ〜いやいやするつもりも何もないけどさ。」
「貴様……」
「はいはいはいストップストップ!ベニマル達に紹介しておく。この人いやこの方は」
「初めまして、何時も俺のミルがお世話になっている。」
そう言ったカオスに、ミルは「か・お・す」とギッと睨んだ。わぁその笑顔も好きだよと言われて煩いとサラッと答える。容赦が無くなってきているが、元創造主だ。
「この人はカオス=アイオーン。この世界を作った元創造主さんだよ。」
+++++++++++