二つの心臓を滲ませて

時間は過ぎ、学校への移動当日。
私は玄関で彼の言葉を聞いていた

「歯磨きしろよ、パンツはけよ、ちゃんとブラしろよ」

『分かった分かった分かったから!』

「…力の相談は乗る。今日の夜、そっちに向かう。」

『うん。分かった。』

そう呟いて、私はドアを閉めた

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「とりあえず1年A組、一通りそろったか」

「先生も居てなにより、居なくなってしまうかと思ったわ」

会見後、否、ヴィラン襲撃後から一週間
A組は皆無事親の許可がおりて、この場所、
雄英高校の敷地内にある寮での暮らしが始まった

「とりあえず、轟、切島、八百万、緑谷、飯田
五人はあの晩あの場所へ、爆豪・羽黒救出へと赴いた。」

その言葉に都だけでなく周りの人間が驚き固まった

「本来爆豪と耳郎以外除籍処分にしているが、
オールマイトの会見でなかった事にした。」

「ちょ、ちょっとまって下さい!羽黒さんは!?」

「ヒーローの指示を無視した挙句独断で個性使用。
普通に捕らわれているとは言えど、除籍処分…と思っていた。が」

「少々特例になってね、説明を夜に受ける。」

夜?ざわつく中、私は白い髪の毛を少し弄った

「じゃ、今後こんなことがない様に、信頼取り戻して、気を取り直して行こうか。」


そう気が重い状態で中に入れるわけない。と周りがどよんだが
すぐに切り替えを出したのは、意外にも爆豪だった

「う、う、うぇーい」

「ぶっ!」

「おら」

切島に渡したのは五万、カツアゲか!?と驚くも
どうやら爆豪、羽黒を探す時に使用した費用らしい。
そんなところまでみているとは、何も見ていなかった。

「羽黒、いや…てめぇ、名前言え。」

『は?』

「てめぇ別の名前あんだろ!つべこべ言わず全部吐け!!」

『…狼森小籠。今はそれで勘弁して』

「はっ、ちびが」

全然関係ないあだ名ですね???
あとチビはよけいだ!!

『あんたねー!!!』

「…茶番、か?」

必要ではないですよ相澤先生。

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部屋割り、身支度等、説明が終わり、
気付けば夜になっていた。

『あ、梅雨ちゃん…』

「都ちゃん、」

『ごめんね。説明するから…ウェンティー』

そう目を青く光らせた都に、周りがざわつく
その間に相澤が部屋に入るぞ、と声をかけて中に入る
相澤に先生!と麗日たちが都の状態を説明してくる

「…なんだ、呼んだか。」

『なんか呼び出ししたらめっちゃ驚かれてるどうしよう。』

「とりあえずここで呼ぶ馬鹿に説明を忘れていた俺が駄目だった。」

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『えー改めまして、左から、ヘレオス、ロティス、ケレミス、ウェンティー、ヴァラクです。
あと、私の名前は、狼森小籠。歳は〜今何歳?16(100以上)歳かな?』

「年上!?」

「ってか、その人達誰!?」

「あ、動物になった」

パンパン、そう目を瞑りながら周りのざわつきを落ち着かせようと
ヴァラクが声をだす。現在玄関ホールを広くとり、都佑の周り一周に
Aクラス、そして相澤、オールマイト、ウェンティー…フクらの
数十名が円となって話を進め始める

「ここの子達、凄く元気いいね〜君の何倍?」

『私が大分おとなしいって、これで分かるでしょう?』

「少々黒いのを称賛する」

「おい、そのあだ名やめろって伝えろは…狼森」

『あはは、この子の躾、多分相澤先生の方が得意だと思います…』

にやりとしたフクに、相澤が手を出そうとしたのに
梅雨と麗日が止めに入る。それと同時にオールマイトとヴァルクがフクの静止に入った

『まぁまぁ…さ、私の力を知りたい?それとも、過去の話がしたい?』

「はい!はぐ…え、と狼森って、昔オールマイトと何かあったのか?」

『あったも何も、オールマイトとは幼馴染だよ』

その言葉に周りのざわめきが一気におしよせ、
軽く相澤先生のお説教が入りかけた

『あはは、5歳くらいの半年位の付き合いだって』

「っ、だから三か月ってるだろ!君って奴は〜!」

『にゃははは〜のっちゃん、其処までにしといてよ〜
大雑把でもいいじゃんか〜減るもんじゃないんだし。』

こっちの心臓が減る!そう言い切ったオールマイトに
可愛い奴めーと言いながら肩をとんとんして落ち着かせる
小籠に、少々幼馴染と言っても普通に見れる様な気がした。


『のっちゃんとの記憶はヴィランに捕まる…
正確には、ヴァラクに会わないと知らなかった情報なんだよね。』

「そうだ、お前こいつを」

「待ちなさい爆豪少年。彼はヴィランではない。
こご…ゴホン、狼森少女を探しに来ただけなんだ。」

「探しに?」

『詳しくは、私の記憶によるけど、なんて言ったら怒るね?』

怒るよ?って顔をしている顔を見て
疑問形で終らせ首をお互い傾げてみせた。
その仲の良さに、敵ではない。そう感じた周りの緊張は多少ほぐれた

「あの、都さん、何故私が手を伸ばした時に手を出さなかったんですか?」

「あ、それ思った。」

『あの時、銀の首輪をつけられてね、その首輪は付けた本人の言う事しか聞かないのよ。』

「そうそう、こんなやつな。」

『そうそう〜綺麗な銀色で〜ちょっと三角形で〜???』

何してるの?と思いながら首を絞め、プロレスが始まりそうだったのに
今度はフクとオールマイトが都佑をなだめに入った

『ま、いう事聞かなければ首飛ばされると思ったから、自分の意思で、こいつの意見を採用したのよ。』

「ガチで殺そうと最初は思っていたからな。」

マジかよ。結構危ない橋渡ってたのか。

「俺の従妹を奪うわ、周りの助ける力も強いわ、
最初はこの女殺すって思っていたが…心を覗いて思考が変わった。」

『覗いたんかい。』

「この世界や俺の世界だけでない、別の世界の記憶が紛れ込んでいる。
なんなら、こいつ自身がイレギュラーなんだと、気付いてから行動は早かった。」

この少女を、守らなければならない。
そう決意した。

「残酷な程まで、自身の感情を自身で普通の事のように殺す。
力を使うのにも、自分の身はどうなってもいいから、お前らの
安全と、あわよくば記憶も消そうだなんて」

『わー!わー!ちょっと最後要らない!最初も要らない!!』

「小籠?」

『わー!のっくんそんな顔しないの!!怖いわ!!!』

「ま、肝っ玉が俺の思考を変えたんだ。悪くない話だ。」

そうさらっと言ったが、数日前まで敵側、そう簡単に話を聞けるかと思っている方も少なくはないだろう。

「女神、って聞いたが、一体なんなんだ?」

「あ、それ僕も思った。」

『…』

「言え。俺は何も言わん。」

「同じく」

「以下同文」

「別に言っても無駄じゃないでしょ」

「いいよ。言わないと怒られるよ?」

そう周りに言われ、八方ふさがりになった所で、深いため息をつき、
いいよ。そう声を上げて席を立った

『私の名前は、狼森小籠。で』

力を少し使い、力を入れる。
ふわりと浮かび上がり、周りに黄金の欠片が浮き出す
目の色が青く光り輝き、服装が変化する

『これが、ツオラ・アステル。魔術師の一人だ。』

「正確には、魔術師の天才とも呼ばれる逸材…
だったのが、こいつの瓜二つ、俺の、従妹の未夜だった。」

だった。そう、今はもういない。

「未夜は、」

『…死んだ。私に力を授けて』

「やっぱり…!あいつ!!」

『元々器が合わないと言っていた。彼女は泣いていたよ、君に』

"ごめんね、約束。守れなくて。"

そう泣いていた。
今でも忘れられない。
だから、だから目覚めた

春の温かさも
秋の涼しさも
冬の冷たさも

夏の、蒸し暑さも。

『未夜が、私に力を渡し、力が目覚めた。その時に笑った。』

"ああ、良かった。皆、救われる。"

そう彼女は言って、泡となって消えた。
綺麗な、青い瞳を受け継いで。

『私は未夜の意思を次いで、私自身に呪いをかけた。』

"どうか、二度と悲しい気持ちになりませんように。"

『だが、この身体。そしてこの力はすさまじく、力を蓄える。
その威力は強すぎて、私は未夜の使った力を使い、何とか
この世界に戻ってきたのだ。』

「そんな事が…じゃあ親御さんは!?」

『それが私の時から既に居なかった…恐らく、私も同じ血縁者だったのだろう。
私に、受け継がせる…時点で死ぬはずなのに、死ななかった。』

つまり、私は

『元々受け継ぐ継承者だった。未夜はそれを知って、笑っていた。
ずっと安心していたのは、やっと自分の力が報われると思ったかららしい。』


そんな事しなくても、誰かは笑ってくれたのに。
そう嘆いたが、過去は救われない。
私は今、前を向かなければならない。


『この力は"シナスタジア"と呼ばれる共感覚だ。』

「しな、なんて?」

『カードの話をしようか。』

魔力。それは、力を操作する力の源であり
一度に発動する量は限られている。

『しかし、ごく稀に二人でないと発動しない人がいる…それが私と未夜だっただけだ。』

しかも、発動にはどちらかの死が、約束される。

「そんな」

『未夜は自分から生贄になった。私は止めた。彼女と一緒に居たいと。』

ーダメだよ、君はダメ。

そう言った彼女は、優しく、ただ、手を伸ばしても届かないまま、消えた。

『そこから、私は過去の記憶を取り戻した…この世界でもない、前世の記憶。』

個性もなくて、差別もあって、まだ戦争もあって、
でも、誰もが生きている。平等に。
笑って入れる世界。

『私はそこで生きていた。でも、その時はまだ5歳だ…耐えられなかった。』

残酷な現実に、私は無理と判断した。
耐えられない身体と精神に、ある一定の呪いをかけた。

『3つ呪いをかけた。1つは"記憶セーブ"今までの記憶を年齢と時間でずらし、
タイミングを作らせ、思い出すきっかけを作った。』

『2つ目は"カードの抑制"カード自体自由に動かせないようにすればいい。
いっそのこと飛ばして、無かったことにさせた。』

あまりにも、5歳が持つには重すぎたから。

『3つ目は』

「"力を分散させた"動物に変えさせてまで、当時は子どもだったから
無理もない。愛情も欲しかったのに、得られなかった。」

『だから記憶をいじった。ただ、記憶が戻るきっかけは』

別世界の人間に別世界に移動させる事。

『絶対にありえないと思ったんだ。五歳児にしてはかなり優秀だと思った。』

だが、まさか血縁者がいるとは、思っていなかった。
そううなだれた都佑に良かった事じゃないかとウェンティーと呼ばれていた
ヴァラクが呟いた

「お前の器も大分良かったし、記憶が誤作動しなかったろ?」

『大分危なかったけどな?まぁ、カードを知らない間に取る事で、何とか
気持ちの余裕は耐えきれた・・・と思う。』

そこは言い切れよ、というヴァラクに無理と反論した都佑
その仲は良く、オールマイトが声を出した

「最初は、私の夢かと思った。」

「隣に引っ越してくるわ、虫は捕まえるわ、山は登るわ、
挙句の果てには、消えてから女の子って分かったり…」

『あ、気付かなかったんだ本当に』

「USJで、君を見て、目を疑った。
髪の色さえ違えば、瓜二つだったんだからね。」

『あら、青色だったっけ?』

「君の目の色は緑色だ…」

ああ、そういうことか。
そう笑って、いた都佑に首を前に落としたオールマイトに
緑谷が嘆いた

「話をしようと声を掛けたが、記憶がない。
これは私の夢だと、あきらめた…なのに、あいつが君の事を知っていた。」

『…あれは少々驚いた。私だって気付いていなかったんだから。』

ー気付いていないのか?お前は、女神ということに。

そう笑ったワンフォーオールの顔が忘れられない。
彼はどこまで知っているのか、何を知っているのか。

「嬉しかったんだ、素直に。君が生きている事に安堵した。」

「だが、話はこれで終らない。と」

「狼森小籠は今日からヒーローとしての未来をきる」

それはつまり、事実上の除籍処分
その言葉に何故だと周りが声をあげた

『私が勧めて言ったのよ。』

「都ちゃんが?」

『ヴァラクたちを全員私の力として本気で戦えば、この世界は軽く崩壊する。』

そのあまりにも危険な状態に、ヒーローになってみろ。
操れる可能性の個性だってある。
可能性は無限大。良くも悪くも。

『この世界で生きていくには、ヒーローから降りるしかない。
元々、この世界のヒーロー、世界を見る為に入ったの。』

「え?つまり?」

『ヒーローの知識を得る為にも、この場所に居た方が
まだ安心だって事で、国からも要請が入ったそうよ。』

「いれるの!!よかった〜!」

「いやでも、今国って言ったよな?なんなんだ?」

「…特例個性保護委員会」

『誰にでも自在に操れる事の可能な個性は、特定で保護されているの。
私もその一人になる。話せる人間は限られているし、記憶消去も例外ではないよ。』

そう一喜一憂していたのも束の間、
都佑は高校生のクラスならと許可は下りたわ。の発言に
一同ホッとした

「だけどよ、ヴィランや周りの情報はどうする?」

「そこは国と共に変えていく方向らしい。」

『頑張れば記憶保持者を見つけられるカードも作れなくはないからね。』

末恐ろしい、カード個性。
そう全員が頭の中の気持ちが一致した処で
今回の話のまとめにはいった

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「すいません、夜分遅くにまで付き合ってもらって」

「こちらこそ、うちの幼馴染がお世話になって、頭が上がらないよ。」

そう我が子のように思っているオールマイトに
相澤は帰り際に質問をした

「…狼森、彼女の事は?」

「…好きかどうか、ってことかい?」

深くうなずいた相澤に、オールマイトは少し考えた

「手を出すつもりはないさ」

今はね。そう言って、消えたオールマイトに、相澤は感じた
"好きなのか"と




































《後書きスペース》