一番よりもなりたいもの

ー約束だって、言ったのに…

ーすまない、

ーううん、いいよ。君が、生きたい人生ならば、

ーっ、やめ、ろ

ーいいの、もういいの。誰も誰も傷付かないで。私のこの命を引き換えにして。


『…また、違うストーリー、で、会えるなんて。』

私は、どうしても、叶えたいらしい。
嗚呼、呪いが叶えば、私は

死んでしまうというのに。

『どっちが早いかな。』

俊典の命か、私の命か
私も彼らのように、消耗品だ
体力だって必要だし、集中力も必要だ
彼の力がどうなっているのか、私は知っている。

私が、知っている。

「えー…本当は、早速授業といきたいが、一時的に転校生を紹介する。」

転校生きたーーーー

と、学校、青春の行事風な事に周りのテンションが一気に上がるが、
先生の粛清が起こる前に静かになる所、とても教育が行き届いているな。
そう苦笑いをするしかなかった。

これは

「…入って来なさい。」

私が

「え!?」

「ヴィランの個性により、高校生の状態に戻ってしまった」

「3年A組、八木俊典です!」

「席はあそこで」

そう指示された場所は、私の隣で

嘘ーと周りがざわつきながらも、何故1年生なのか
何故、本名で話をしているのか。

「あああああ!!」

そう叫び、八木と呼ばれた金髪の青年が此方を向いて話す

「こごちゃんじゃないか!君もこのクラスに!?」

「「こごちゃん!?!?」」

『あ、あはは…"八木君、お久しぶりー"』

"過去の一部"がバレてしまう。サイドストーリーだ

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「ちょっとちょっとどういうこと!?
八木君って!?オールマイトと同級生!?」

『此間話したでしょう?』

幼馴染の件は、ヴィランに捕まり、個性の状態が
全面的にバレてしまった以上、説明をしないと
収集が付かない予想がついたので、説明をしたのだ。

しかし、幼馴染として、同じ学校に通っていたとか
詳しい話は一切していなかった。

加えて…

「あら、オールマイトと話をしている時は3か月って言ってなかったかしら?」

「それに、オールマイトは半年暮らしていたって…」

「そ・こ・ら・へ・ん!!!」

どうなの!?そう女性陣が、午前中の授業を終えて
昼休み、食事をとっていた私を拉致した。
ある程度腹が膨れている為、説明には別に差し支えないと判断をした。



『ん〜言っても問題ない、なんて無いと思うんだけど』

「じゃあ言ってよ!!」

「オールマイトに、嘘を教えていたのはどうして?」

『…から』

え?と声がはもる

『八木君の事件に関わるから!』

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「…八木君の事件に関わるから?」

「一体どういうことだ?」

「こら!盗み聞きは良くないぞ!!」

飯田君にそう怒られつつも、これは立派な捜査だと
切島たちに説得されている間、とうの本人も
傍で緑谷や轟たちと聞いていた

「あ、はは」

「おーr…八木さん、あの」

「ああ、俊典で十分だよ。先生たちは名前を言うなって言ってたけど」

ーなんでなんで!?事件あったの!?

その女子の声に、話がさえぎられる。
八木は少し疑問に思っていたのだ。
小籠が同じホームの席に居た事に

同じヴィランに立ち向かっていた記憶があった八木に
あのヴィランの個性じゃないのかと、考えていた。

ー私達は、高校3年生まで、一緒のクラスで、一緒の学校だった。でも、

ーあるヴィランに立ち向かった時、彼が私の秘密を知った。

ーそのせいで、彼の記憶を奪った挙句記憶操作した。

が、違っていた。

「え?え?どういうことだ?」

「情報がすくねぇ」

ぞ。そう言う前に、八木、のちのオールマイトが声を出した。

「操作?待て、こごちゃ、いや彼女は」

ー当時、私は無個性だった。中学生の3年生で、個性を"引き継いだ"の。

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「引き継いだ?」

「どういうこと?」

『未夜の話になるんだけど、未夜の個性、魔力は無く、技術だけがあった。
私には、技術は無く、魔力もあれば器も完璧だった。
だから彼女は私に引き継がせた…のが、5歳の時。』

だが、その個性、否魔力は5歳児が使える状態ではない。
その判断により、私は15歳になるまで使えない様に制御したのだ。

『15歳から大分苦労した。八木君も、個性で大分苦労したらしいよ。』

「それで?」

『ん〜ヴィランに会った時ね、言われたの。』

"死なせたくなければ、サクリファイスとなれ"

『"八木を生かすなら、それ相応の生贄となれ"それが奴らの願い。』

「え!?それに飲んだの!?」

深くうなずいた途端、風が吹いた。

「−っ!何故!!何を出した!!」

彼が、上に乗った状態で、情報を吐き出すように、話が進んでいた事に、気付くのに数分かかった。

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「すまない、盗み聞きするつもりは」

『いいよ、全部知ってるから。上鳴らがやおももに説得してたり』

「え?」

『男メンバーで話が盛り上がっていると盗聴器から声が聞こえたり』

「え??」

『話を膨らませたら来るかなーって思ってたり』

「わかってやったの!?君!!!」

ホーリーシット!そんな英語の表現に私は無視を決めた

『まぁ、別に時効だから、言うんだからね?もう"決まった"ものだから。』

今更変える事は出来ない。
それに、この話が事実か信じてもらえるかもわからない。

それに、八木は姿勢を正すために、立ち上がり、
一言すまないと謝ってから小籠の手を掴む

「いいさ、私に何も知らせなかった罰だ」

『あはは、それは安い罰なこって。いいよ。』

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あれは、八木と話をまだ続けていた頃。

「おお!小籠!元気か?」

『もー相変わらず苗字で呼ぶの慣れてないのね、八木君?』

「ははっ!君みたいに融通がきかないんだよ。私は。」

そうたわいもない話をしながら、帰り道を歩いていた

「…ねぇ、ちょっと止まれる?」

『え?やだ〜私を襲うの〜!えっち、たっち、わんたっち!!』

「いや!それはえっち!たっち!のーたっち!!って違う、前」

見覚えある?そう聞かれてみた方向には、
10m以上先にあったトンネルの中に居た真っ黒い服装の人だった。
それに、悪い予感が脳裏を横切り、私は首を横に振る

明らかに此方を見ている状態で、人通りは少ない。
ヴィランの可能性が高く、お互いまだヒーロー免許を取得して間もない時だった。

「…逃げるよ。」

『うん、八木くーー』

背後を振り向いただけだった。

「ー君が継承者か、器にしては大きく、美しいね。」

背後を既に取られていた。
耳元で話された言葉に、私は嫌な予感がした。

「っ!こご」

『逃げて!!私の事はー』

「ーほぉ?好いている子か?ならば丁度いい頃合いか。」

そう呟いた言葉に、私は記憶を探られている事に勘づいた。
不味い。この人間は、私の個性を知っている。
その現実に、私は個性を発動した。

「小籠!!」

『ヒーロー呼んで!!今すぐ!』

「させない、私が!!!」

「ー可愛いねぇ、好きな子を守る。良い青春だね。…でも」

手を放した、私の腕を
その行動に、八木は安心をした。

人質は、解放された。
そう思っていた。

「ーこの子自身じゃないんだよ!本当の人質はね!!!」

「なっ!」

『ダメ!!!』

体制が崩れた小籠は、すぐに走りだせるように身を転がし、前を向いたが
時すでに遅く、八木が名も知らぬ黒づくめの人に捕まっていた

「ー後継者、アステルよ。この者を殺されたくなければ、
君の一番大事にしている物を差し出せ。」

それは、絶望的だった。

「ーこの者は1週間後に死ぬ。それはお前も知っていた筈だろう?」

「嘘だ!早く君はヒーローに連絡を」

『…物じゃなくてもいいんでしょう?』

にやりと、黒づくめの布から白い歯が見える
小籠は目を閉じ、一番大事な物を探した
探さなくても、心の中は決まっていた。

嘘だ、嘘だと八木が暴れるが、力をいくら使っても
全くびくともしない現実に不安が押し寄せる

小籠は、その不安な顔を早く拭い去りたかった
そうするには、こうするしかなかった。

『これを』

この心を。

『彼の私との記憶と、この想いを差し出す。それで、十分じゃないの?』

いいだろう。そう黒づくめの者は八木を放し、小籠の元に寄った

「やめろ!!やめ」

『ごめん、ごめんね…のっくん。』

すきなの。そう言った、小籠は、泣きながら、八木のおでこに自身のおでこを当てた
力を使う。そう感じた八木はさせまいと動くが、
力を使わせないと周りに圧力をかけていた為、行動が制御されていた。

「ーそれでいい。」

『"決められたアルカナ"に、逆らう事は出来ない。』

ヴィランと思われた、黒づくめは、八木から奪った記憶と、小籠の感情を持ち去り、姿を消えた。


+++++++++++++++++++++++++++++

「そんな、」

『あの後事情聴取が行われないように、
周りの記憶改造、君の記憶整理も私が少し弄った。』

「何故!!」

『貴方が!…貴方が、好き、だったから…』

ずっと、傍で笑ってくれていた。
その笑顔に、どれ程救われたか。

『貴方が死ぬ。そう占いで出た時には絶望した。
だから私はあらゆる手段を使って貴方に生きて欲しかった!
貴方は!貴方は輝く最高のヒーローになって欲しかったから!!』

だから力を使った。
名前も分からない人に、力を与えた。

「何故、何故…私をもっと頼らなかったんだ、」

『そんなの、貴方が一番わかっているでしょうに、』

ばーか。そう言って、小籠は後を去った

「好き…好き…あれ!?今好きって言った?!」

「おっしゃいましたね。」

「はっきりと。」

「え!?待って!?お、八木さんは、小籠ちゃんの事好きなの!?」

そうぐいぐいよってきた女性陣に、たどたどする八木
それは、と考え、小籠が近くに居る事を感じたのか
はっきりと「はい」と答え、女性陣のテンションが
更に上がった所で予鈴のチャイムが鳴り、一同は急いで学校に戻る様に走り出した。


『…ばか』

"アルカナの名は絶対"

あの時、あのままにしておけば、オールマイトとして生きる事は無かった。
だから、私は恋愛感情を全て差し出した。
彼の記憶も差し出した。
なのに、記憶は戻っているし、恋愛感情も取り戻しつつある。


『嫌な予感がする』

また、世界のレコードが、書き換えられていない事を、望んだ。


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「ここに居たのか」

『君から逃げてたのに、めっちゃ凄いスピードで走ってくるから…』

止まるしかなかったんだよ。
そう言って、追いかけっこが終わったのは
授業が終わり、日が暮れそうになった所、

「僕の、気持ちも全部何故奴に」

『奴をそのままにしておけば、あの場所のヒーローでは太刀打ちできなかった。』

占いをしたの、自分が動く時、八木君が動くとき
ヒーローが来てくれて動くとき、ありとあらゆる想像をした。
それでも、結果は変わらなかった。

それなら、彼から居なくなれば良いと思った。
この止まらない感情も、止まると。

無くなってしまえば、終わってしまえると思った。

「その手で折るなんて!」

『君に!生きて欲しかった…現状、貴方は本物のプロヒーローになった。
力を使うたびに、私は貴方の記憶も少しずつ思い出した!』

その度に、貴方に伝えたかった。
貴方と共有したい時間が沢山あった。
なのに、私は彼女の、未夜の願いを叶えたかった。

五歳の、約束。

先約があっただけの事。

『力を大きく使いすぎると、代償が自然にやってくる。
彼は代償を支払えと、伝えてきてくれる人よ。』

「そんな、そんな個性」

『私のは個性じゃない。今まで騙しててごめんね、のっくん。』

「…例え、記憶が消えても、君が」

「ー話は其処までにしようか、女神よ。」

代償は、残酷にも、付き物なのだ。

「ー"約束"の時間を忘れるなよ。」

『それだけの事で此処に来たのか?良い度胸だな。殺そうか?』

目を光らせる。赤く、赤く、黒く染まるかといわんばかりに
血の色を教えさせる程、小籠の目に、八木は止まる

『貴様、この場所に来なくとも私の名ならわかるだろうに』

「ー代償を、人間は忘れるからな。次の代償を考えて置くことだな。」

『笑止。散れ』

気分が悪い。そう言った小籠の目は赤く光ったと思いきや、青い目に変化していた。
その時間が、一瞬過ぎて、夢を観ていたのかと錯覚する。

『眠いね、学校にかえろ』

「こご」

『君が好き。それは今も昔も変わらない。』

だから、君と一緒に居られないの。

それが、一番の最善。
そう、私は言って、彼と一緒に学校に戻った。






一番よりもなりたいもの

『私は貴方が救う世界を見るのが好きで、私以外の人を助けて欲しいの。』

『だって私は、もう救われないのだから。』










































《後書きスペース》