「おはよう、小籠」
『お、お…むっ』
顔文字に出てきそうな、ムッとした顔に
朝から気分が悪そうな子に、私は苦笑いをした。
「ね、今日の授業何かな」
『…理科と英語と社会とヒーロー実務』
「んー!適当に言ってるでしょ!!」
『ふふっ…はっ』
そう何時もの様につっこまれて笑っていた小籠が
笑っている事に気付き、首を横に振り、また無視を始める
その現実に、昨日の夜女性陣から毎日しごかれる事になった記憶を掘り起こした
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「オールマイト、いえ、八木さん。」
「はい。」
何故教室なのか、というか何故此処で話が出来るのか。
そこら辺は、校長が許可を出してくれているので
とても理解が早い…というか
彼曰く"女子高生でも良いから女性の事しっかり学ぶ良い機会だよ!"
との事で、許可がおりるのも如何なものかと。
そうつっこみを思考の中でやっていると、ダメ出しをくらった。
「女の子の心はとっても繊細なの。でも、特に都ちゃん…
いいえ、小籠さんの性格を知らないと、悪い方向にいくよ!」
「あの、女性って何が好きなんでしょうか?」
そう先生に聞くにあたり、怒られないか不安そうに手を挙げた
元プロヒーローナンバーワンだったオールマイトこと、八木俊典に
今回恋愛として集まってくれたメンバーでも
やる気を出した芦戸が葉隠と一緒に説明を始めた
「まず、私達がずっと見てきた印象でいうと優しいかな。」
「元気で、何があっても笑って飛ばしてるよね。あーでも、
たまに不幸がたて続くと落ち込んでそこら辺で体育すわりしてるからね。」
「あ、そこ変わらないんだ…」
そうなんだ。
そう軽く八木が芦戸らと頷き和んだ後
違うそうじゃないと叫んだ
「もっとこう、無いんですか!?記憶というか、なんというか!」
「え、え〜でも、あの子と話すって殆ど記憶まだ残ってなくて…」
そう、言っても、記憶を取り出された後の状態であり
全てと言っても、調整が入る前の時間帯なので
実際曖昧だったりするのだ。
「それでもないよりは記憶あるでしょう!!ほら!ほらー!!」
そうぐいぐい行く芦戸に、梅雨がなだめに入る。
「まず、挨拶からどうかしら?」
「そうね!」
「(挨拶、って言っても…)」
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笑ってくれはするが、すぐにそっぽを向く
恐らく彼女は彼女で、記憶がない方が好都合なのかもしれない。
そうしょげていると、彼女から声がかかった。
『私は、貴方と出会った時と会わなかった時では大きく変化すると思っています。』
「へ?」
『ん〜!だから!私は貴方の人生を守る為に、ちょっかいだしません!
貴方は好きなようにしたらいいでしょ!!じゃ!』
そう強気で彼女は挨拶を終えて、飛び立って行った
「…って、事は、意思表示は素直に伝えて良い、って事だよね?」
私、其処まで我慢強くないからね?
覚悟してもらうから。そういない本人に心の中で呟いた
一時間目
「ねぇ、ここわからないんだけ」
『貴方絶対そこ得意だったでしょ』
二時間目
「ねぇ、小籠!いっしょに」
『梅雨ちゃー!』
昼休み
「小籠!!ご飯たべ」
「…いないですね」
「ううっ…」
「いや〜物凄く手ごわいわ」
おそるべし、狼森小籠。
そう胡坐をかいて木漏れ日の下で食事をする
芦戸の横で泣きべそをかいている八木
何度も伝えるが、これでもナンバーワンヒーローだった者だ。
「物凄く嫌がってる気配が伝わるから、中々声かけづらい…」
「あんなに接した事は?」
「喧嘩も癇癪も起こさなかったから…記憶が正しければ。」
「ん〜小籠ちゃんのメリットって何なのかしら。」
メリット。その言葉に八木は一つ覚えがあった。
彼女の言葉で、とても印象があった、というか言ってる回数があったもの。
「"貴方に生きて欲しいから"って、彼女は言っていた。」
「何かしらの原因で、オールマイトが消える、ってわかっていたから?」
「だが、それは過去の話だ。今回は…」
ー代償は、必ず渡す。
そう昨日の話を思い出す。
恐らく、何かしらの約束で、定期的に渡している物があるのだろう。
そこが原因で、八木との会話をしない。としか言いようがない。
現に今まで小籠が生徒として来た時も、かなり距離を取っていた。
無意識的に、なのだろう。それ程強い力が働いている。
一体、何の約束をしたのだろうか。
その話を、そういえばだれにもしていない様な気がする。
誰にも言えないのか、もしくは、言ってしまうと、効果が無くなるのか。
どちらにせよ、折角取り戻している記憶を綺麗に消したくはない。
ヴィランの発言で昨日の夜情報を貰った事からするに
この記憶は徐々に鮮明になり、6日に最大になるらしい。
つまり、思い出す記憶は無限大という事だ。
「何か思い出したことは!?」
「彼女の逆に返す位…」
「それだけ!?」
あ、でも…行事は覚えていないが、彼女との話で、
笑っている事を多く見かけた事は覚えていた。
ずっと、笑っていた。
その笑顔を、ずっと忘れていた。
忘れ去られていようとも、忘れていた事に、怒りを感じた。
「(小籠、君は…どうして私にヒーローを望ませて?)」
ヒーローになろうね!って記憶はない。
した記憶も、確証はない。
だが、あの子が言っていた事が気になる。
ーね!私の名前は、小籠っていうの!
ーいいよ、大丈夫。だから笑って。
「(貴方の笑顔が好きだから。だなんて、悲しい事を言わないでくれ。)」
それで君の笑顔が消えたのなら、私こそがその舞台から降りる筈なのに。
「彼女は、昔から優しい。酷く、自身の感情をいとも簡単に押し殺す。」
彼女は臆病者で、寂しがり屋だ。
怖い事は無視し、極力触らない。
人間として正しいし、本能としても、仕事としても
メリットがない事に挑戦するべきではない。
だが、
「だからこそあの子には、日向に居て欲しい。」
日陰で笑っていないで、日の当たる場所で、ずっと笑っていてほしい。
ずっと諦めている。あの子の本当の芯の部分が、望んでいても。
「彼女は、優しいから、私を突き飛ばす。」
「…にしても、小籠さん、大分男性と話さないですよね。」
「そうだね、昔から?」
そう八木に聞いた芦戸に、八木は首を横に振った
「彼女は男性も女性も年齢関係なく
自分以外の物事や人に対して平等に接していた。
私の価値観も、彼女から教わった事が多い。」
「なら、記憶がない時から、か。」
「だとしても無理に行くのは良くないわ。」
そうですわね。そう言ったやおももに、でも!と芦戸が言う。
このままいくと、オールマイトとしての活動していた記憶さえも
消えてなくなってしまう可能性が高い。
かと言って、彼女に無理に恋人になってもらうのも…
「オールマイト、小籠ちゃんには告白ってしたのかしら?」
「え!?そんな」
「したさ。」
「え!?したの!?」
「だが、全部濁された。今回は、特にはっきり嫌と言っていた…が、」
「顔に出ていたってこと?」
嗚呼、と頭を抱えて困る八木に、麗日たちは困惑していた。
「普通なら好きな男の子に好きって言われたら喜ぶし、OK出すと思う。」
だが、これは命がかけられている状態。
自分の記憶を全て差し出す事で、好きな人が生きれるのなら
舞台から降りる事等、彼女ならたやすい事だろう。
「そうさせた現実に、私が気付かなかった。それに怒りを覚える事はある。」
終わった事。と彼女は言っていた。
しかし、これがチャンスとしたら?
彼女がずっと悲しんでいたのなら、よどんだ雲をはらう事だって可能な筈だ。
「彼女が幸せであってほしい。だから私が降りるのも考えたさ」
「オールマイト…」
「だが、その関係を断ち切る。」
ヴィランとのつながり、まだ分からない事は腐るほどある。
何故、小籠には家族がいないのか。本当に別世界の人間なのか。
それにヴィラン側についていたヴァラクも少々困惑していた。
まるで"何故そちら側についているんだ?"みたいな顔をしていたのだ。
それだけではない、彼女が何故、黒づくめの人間と深い関係にあるのか。
この世界の警察も木偶の某ではない。捜査は広い範囲の方がいいだろう。
「あの子が私の幸せを望むなら、私だってあの子の幸せを望んだっていいじゃないか。」
時間も忘れて、笑っていた顔を思い出す。
あの時間が、続けばいい。続かせればいい。
「もうすこしアタックしてみるよ。ごめんね、手伝ってもらって」
「いえ…」
そう寂しそうに出て行った八木を見て、麗日は決めたと言って動き出した
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『それで、私の所に来たの。』
「ねぇ、どうして?オールマイトの事好きなんでしょう?」
キスをすれば、全て解決する。
そう、部屋の外で聞いた。
残酷過ぎる、そう私は思った。
『麗日、人の行動は、嘘が付きまとっている。』
「え?」
『人の事あまり信用しない方が良いんだって言ってるんだよ。』
その言葉に、麗日は思いっきり走り、小籠の頬を殴った
いい加減にしろと、怒りに任せて殴った事に、ハッとしたが
小籠の目が虚ろのままで、何を言っても無駄なのかと怒りが湧きあがった
『好きなの、狂おしい程。』
「なら!」
『私は悪役にだってなるよ。』
あの人が生きれるのなら。
『この気持ちは変えれない、変えてしまえば…代償がどれ程のなるか想像つかない。』
「なら」
『貴方は考えた事があるの!!…いや、ごめん、わすれ』
忘れて、そう言おうとした。
小籠の腕を、麗日は取っていた
「駄目!言って!!言わないと、分からないまま、終わっちゃうよ・・・」
ーねぇ、ママ。どうして帰って来ないの?
『っ!…終わらせた、時間を、繰り返しているって言ったらどうする?』
え?そう麗日が言う事に、少し額に指を触れた
『この時間を一瞬味合わせてあげる。それで、貴方の気持ちを教えて。』
ーねぇ、まま、みて、わたしを、みてよ。
そう強い感情が麗日の脳内に入ってくる
やせ細った少女、その前にはぐったりとした女性
疲れているのか、放って置いてと言っている。
それに、少女は声をかける
煩いとの一言に、大きくはね、傍から離れた
ただただ、寂しそうに。
ーママ、パパ!
そう嬉しそうに子供が走る
その場所に両親だろう男女が立っていた
触れられる瞬間、子供と男女の場所がずれる
「っ!!」
ーまって、
おいていかないで。
そんな声が続きそうだった。
その切ない声に、声が出そうになった次の瞬間
「え?」
時間が、戻る。
女性が子供を叱るシーンから
そして
『ここまで』
パチンと指が鳴ったのか、音が反響している
此処まで音が響く場所だったのだろうか。
そう考える時間はない
「まってさっきの!」
『呪い。私が私にかけた呪いよ。』
「え?」
『力を使う力の源を、このループにしたの。』
そうしたら、そうしたら
あの人たちと望んでいた時間に出会える気がして。
二度と叶わない。だからこそ力の源には持ってこい。
何故って?枯渇しないからだ。
その代わり、何度も望んでしまう。
「じゃあ、これをずっと」
『数えきれないほどには。』
「それが、好きになれない理由?」
『愛情を求めると、記憶が薄れる。
個性を利用するはおろか、このカードたちの居場所が失われる。』
それはすなわち、地獄の始まりである。
カードとして、厄災を閉じ込め、管理をするカードキャプター
その実態は、一番望んでいる願い事を叶わせずにいること。
それは、死ぬよりもひどい時間。残酷な時間。
『こうする事で、世界の均衡は保たれている。
現に私らが維持する状態が無ければ、もう死んでるよ。』
「だとしても」
『いや見てたのに感じないんかお前は』
そう白い目でツッコミを入れる小籠に違うと麗日は否定した
「それで、小籠ちゃんは救われるの?」
『…叶わない願いもあるし、報われない事もあるの。
それに気づいた時、不思議と受け入れられた。
嗚呼、今の現実が、事実であるのだと。』
「っ!」
『私はね、皆好きなの。でも、
感情を膨らませると、厄災の力が大きくなる。
こないだからずっと試してるのよ?』
好きになった気持ちを前にだす。
すると必ず誰かが傷つく
『夏休みの時も、少し考えたの。』
八木君と、一緒に夏休み送りたかったな、なんて。
『しかし、思いが強すぎた。それをヴァラクが目の当たりにしてくれた。』
もし、あの世界なら
『あの場所なら、八木君と出会っていたら、変わっていたのにな。』
そう笑って、下を向いていた顔を上げた
自然と、目から涙がこぼれ落ちる
それに、動揺する小籠を見て、麗日が近づいた
「好きな人に笑っていて欲しい気持ちわかるよ」
『麗日さ』
「でも、私が好きな人だったら、好きな人が苦しむ位なら、好きであって欲しい。」
たとえ、世界が滅んでも。
その言葉に、私は笑ってしまった
笑いごとではないと怒っている麗日に
涙がこぼれおちる
『泣くことを諦めた。あの世界の感情が、此処まで強いとは思わなかった。』
「え?」
『あのバカ、貴方たちに沢山迷惑かけているんでしょう?
…ったく、1週間よ?なるべく耐えるから…』
いいの!!!そう麗日が違う意味で飛び出してきたのに、小籠はあとずさりする
『ええ、貴方にまで泣かれるのは、困るもの。』
自分が泣き、殺されるのなら、話は別なんだけど。
そう考えながら、麗日の笑顔にほっとした。
『(…さて、1週間の感情が、何処まで膨れ上がるのか、ある意味見ものだな。)』
隠していた、代償分を、差し出して、終わるのか。
私は、少し別の事を考えながら、麗日と別れ、
今日の事を整理しつつ眠りについた。
《後書きスペース》