夢の中のいる火曜日

『おはよ、八木君』

「え?」

『あ、髪の毛伸びた?切ってやろうか』

「ちょ、この髪の毛伸ばしてるだけだから!!!」

そう驚きつつ、小籠から声をかけた事に喜びを隠しきれない
お年頃の男子である八木の顔に、小籠はニシシと笑っていた

『おはよう緑谷少年、轟君、飯田君。
毎日うちのせがれがお世話になっていますわ。』

「い、いえいえ…」

「せがれって私何時から君の子供になったの!?覚えないんだけど!」

『ええっ!!この手で産んだのに!ママの顔を覚えてないの!?』

「覚えてるかっ!ってか母親普通同級生じゃないだろ!!」

そう冷や汗をかきつつツッコミを入れる八木に小籠は盛大に笑う
一通り笑っていると思っていると、更にボケを入れて
それにツッコミを入れている八木の姿に、緑谷はボケっとしていた

「どういうこと?」

「いつも通りに接してください。って昨日頼み込んだの。」

麗日さん!と言った緑谷に麗日はおはようと挨拶をかけた

「にしても、やりすぎ、かな?」

『いつも通りだよ!?僕天才!』

「こら!何もない所で手を上げないの!!」

大分身体の動きが激しいが…それは、
彼女が覚えている記憶を
そのまま忠実に再現しているだけ、だと信じたい。


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『あーん、しんどいつらい、ぼくやめたーい!』

「朝からテンション上げすぎだよ…ほらお水」

おっ気が利くじゃん〜と笑いながら水を受け取り
男の様に胡坐をかいて
中年が風呂場前で牛乳を一気飲みしたかのように声をあげる

「…夢を、見ているんだろうか」

『あ?どした八木君。頭打った?何処?死ぬ?』

「死なないから!近い近い近い!」

そう顔の温度が上昇する程、
鼻と鼻がくっつきそうな距離まで近づく小籠に
八木は離れて大きなため息をついた

『ねぇ〜次の英語無理〜』

「ふふっ、君本当に発音綺麗なのに
覚えるって言ったら、てんで駄目だね。」

『たりめーよ!無理だよ無理!』

そういやいやコールを聴きながら、
昨日の記憶を呼び起こす

昨日は、全く話もしなかったのに
今日は彼女からどんどん声を掛けて来てくれる。
まるで、"学生時代の延長線"のように。

「小籠、」

『なに?』

そう首を傾げた小籠
木漏れ日の下、強い日差しは木々が隠してくれる
その傾げた為に髪の毛が降った方向に落ち、風により揺れ動く

この、時間が…続けばいい。

「いや、なんでもないよ」

『え〜!なんでよー!あ、読んであげようか!?』

「前みたいに授業中読まないでよ!?恥ずかしいんだから!!」

嘘ーと言って笑う小籠に、八木は強く願う。
どうか、このまま、時間が止まれと。
この時間で、生きていたいと…

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『…レリーズ』

杖を出し、何もない場所に杖をつく
風が巻き上がり、カードができあがり、自分の手元に入る

『…だから、だから君と一緒に居るのはダメなんだよ。』

時間を、止めて欲しい。
この時間を、繰り返せと。

八木の望んだ願いが、厄災として残ったものを回収する

『"クロノスタ"、か』

クロノスタシス、なら知っている
時計が横に傾き、長・短針が消え、外に出て左右の矢印にみえる

このカードは、実は一枚持っていた。
しかし、最近消えてなくなっていたので
何処に行ったのかと探していたのだ

消える前は、昔のカードだったのに
新しくなって、帰ってくるとは…

『時間を、止めたくなる。気持ちは分かるよ…』

彼の記憶の通りに、私がした記憶はあまりないのだが
すんなりやってみせた。
彼が動揺する感覚を覚える前に、ボケを最大限に入れてみた。

彼が悪い事を考えないようにするときの、癖だ。
だが、それがいい方向に、向いたと信じたい。

『時間を止めてまで、一緒に居たい。』

それを、私は覚えている。
強く、強く、覚えている。

母の手を、父の手を、ずっと、繋いでいた。
あの時間を、何度も繰り返した。

だからこそ、叶わないのだろう。
強い願いは、叶わないのだ。

『…君の、願いは、最後に叶うと良いね。』

「時を止めて、までも愛おしく思うのか、もう結婚したらどうだ?」

『するか馬鹿。なーに入ってきてんだ怒るぞ。』

「俺の出番消したからだろ!目を覚ませ!!」

怒るヴァラクに、フクが後を追いかけてきたのか、やってきた
どうやら時が止まった事に勘づいたのであろう。
エプロン姿で降りてきた

フリルのついたエプロン姿で

「カードか」

『ええ、何で殴るかな…』

そう考えていたことがどうやらバレたらしい。
赤くなるほどに痛いたんこぶを作ってもらった。

「良いのか、続けて。」

『幸いな事に、代償をこまめに支払っているからね。』

「…継承者は」

『つけさせないよ。私で終わらせる。』

その為に、私は全てを終わらせてきた。
そう止まっている八木の頬を触る

『この人が、嬉しそうに笑った。久しぶりに見て、私も嬉しかったの。』

あんなにツッコミを切れキレにするなんて、そうそういない。
私ものびのびと過ごさせてもらった。
この一週間、どうなるか分からない。
それでも、彼と話を沢山してみようと思う。

「現状は」

『異常なし』

「解散すっか」

そう言って、彼らは消えたあと、すぐに八木が声を掛けた

「小籠?」

『っ!ああ、ごめん、米粒ついてた』

「嘘…ほんとだ」

ご飯を食べていた途中、とは覚えていないらしい。
我ながらごはん中にカードを取れてよかったと思う。

「小籠」

『なに?』

「今日のヒーロー講習、相手僕でも?」

『ん〜いいよ。その代わり、』

本気で、行くからね?
そういった小籠はグーを前に出す

その行動に、八木は此方こそ。と言って
お互いの拳を一度当てた

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『ふぉおおお!ネーベル!視界を奪って!』

「させない!!ほら!次は!?」

『うぇーん!あの人どうして強いのおおお』

「(プロヒーローの記憶あればそりゃ…)」

そうだろう。と全員が感じていた事に
小籠は追いかけっこの個性バージョンかと思った

バウムで樹木からシンリカムイの様に拘束するも力で壊すわ、
木の葉や星雲の様な目隠し系も力で吹き飛ばすわ、
泥を作れば入る前に飛び上がるわ、
突風をだしても何処かの着地点には降りて傷1つないわ、

『燃やしても水ぶっかけても雷打っても避けるわ力で吹き飛ばすわ、
お前ナニモンだよ!!人間じゃないよ!なんなのおおおお!!!』

「はっはっは!伊達に何十年もプロヒーローしてないんでね!!
君が先に挑戦を出したんだから、しっかり受け止めてよ、ね!!!」

いきなり遠くから瞬きしたら確実に胸に
クリーンヒットしているだろう程の速度で
やってきた八木に小籠は大きな文句を突き飛ばす

『ちょ!胸は卑怯だろ!お前私のささやかな胸を潰すつもりか!!!』

「あったの?」

『むきーーーー!!!』

にやりと笑う八木に、小籠は盛大に感情を身体で示す
それに更に笑っている八木の胸に小籠が怒ったと言って、八木から距離を取った

『ケレミス!この場所を閉じ込めて!!!』

「あーいいの?」

そう飛び出してきたのはケレミスと呼ばれて召喚された
土色のマントを広げて来た黒い髪の毛を三つ編みにして後ろに流している青年
凄く、凄く、嫌そうな顔をしているが、恐らく気が進まないのだろう。

全力で良いって先生言ってたから。
そう小籠が強気で言うと、了解と言って、その先生の方を向く
その向いた事に、教員が気付き、何かが聞こえたのか、頷くと
首を横に振りながら「やれやれ」と言い、宙に上がる

「我が同心のラントよ、限りある生命の名に、力を受け止めよ。」

『…さ、何をやっても、全く大丈夫。これで心置きなく遊べるよ!』

遊びじゃないだろう?そう言って、八木、オールマイトが小籠の下に入り込む
それに、にやりと笑う小籠に、気付いた

のが遅かった

「おとり!?」

『…エスカ、上出来。技術磨いてんねぇ〜!オールマイト!気を抜いたら死ぬよ!!』

杖を変化させ、円盤上にした小籠は背中につけるように回す
すると杖だったものは円盤から変化し、三角形の形を三つ作り上げた
そのまま背中にひっつかない程度に宙を回っている

誰かが、「あっ、ガチだ。」と言って、シールドをはった。


『シュッツエ!撃て!』

と呼んだ声に、小籠の左上から天使が召喚される
下に思いっきり降ると同時に、オールマイトに大量の矢が降り注ぐ

「ちょ!」

待って、とも聞かず、土を使い力で何とか防いだのは良いものの
妙に優しい槍に、怯みを見せたと感じた

『正解』

にやりと笑った小籠に、勝機と感じたオールマイトは手を伸ばすが、

「な!これもかっ!」

ジリジリと音を立て、プログラムの信号か、
チカチカと身体が消えたり見えたりする

『ピラストロ!彼の動きを止めて!』

させるか、そうすぐに動き柱が空から落ちてくるのを
避けている間に彼女に近づくよう動き始める瞬間

空を飛んだオールマイトに小籠は目を開いた

『なっ!』

「もらったああああああ」

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「良い所だったのに〜!!!」

『あはは、ちょっと本気になると怖いからって、召喚したのが幸いだったね。』

そう講習、否練習の相手にオールマイトと一緒に騒ぎまくった私と彼八木は
試合の時間をオーバーし、お互い引き分けとなった。
かなりの熱に、今度皆の前で試合しないか?と教員の中で盛り上がったが
八木が断然拒否をして解散になったのだ。

「にしても容赦なさすぎないか!?死ぬかと思ったぞ!!」

『だって死ぬよ?って忠告したじゃん。それに私、今成長中だから。』

そう言った小籠に、へ?と素っ頓狂な声で返したオールマイト、こと八木
それに芦戸が何て?と聞く

「え?アレで10としたら?」

『6割』

「勝ったな、私は3割だ」

『おっまえは元でもヒーローだったろ!!経験者がよおおお』

元プロヒーローの頭をグリグリと手で力を入れて叱っている所
とてもレアなようで、イチャイチャしているようにしか見えない事もない
その光景に峯田が舌打ちをした。

「んで、小籠。」

"代償"は?
そう聞いた彼に、少々目を開いたが、すぐに鼻で笑いながら返した


「"異常なし"、ねぇ…」

ちゃぽん、そう雫が風呂場に落ちる

「オールマイトと一緒にお風呂なんて…!」

「いやいや緑谷少年、怖い所までいかないで」


行きそうだったので、先に止めておいたオールマイト
此処は雄英の男子風呂、勿論1年A組の。

オールマイト、否八木俊典はA組の生徒として、彼ら男性陣の
寮に一時的編入をしている身、先生方曰く、生徒の中で暮らせ。

との返事に、少々犯罪に手出せてないのか?と不安はあったものの
普通に高校生の感覚で会話を楽しんでいた。


「だって、今日の試合凄かったじゃないですか!」

「アレ、大分抑えたってぽかったけどねぇ…」

「いや、普通にやばいでしょ…あの状態で」

そうぼやいたのは何時もなら爆豪と一緒に風呂を入っている
切島と、たまたま一緒だった轟と峯田だった

「あ、峯田君。今言うのもアレだけど」

小籠に変な目でみたら、潰すよ?

そう軽く言ったオールマイトに尿をちびりそうになった峯田
その顔が本気であったのだ。ヴィランに向けてもおかしくない程

「ま、まぁ…そこまで手を出す馬鹿じゃ…」

「なら良いけど。」

彼女もだが、彼も結構おちゃめな所はある。
だが、普通に恐ろしい。とこれほど思う事はなかった。(峯田談)

「で?オールマイト、あの技は?」

「あ、あーアレは小籠の力を利用しての動きだよ。」

彼女、本気だったからね。目。

そう言ったオールマイトに、周りの声が一致する

「人が召喚された時は驚いたぜ」

「土属性のプロ、とでも言っておこうか。
彼も侮れないからね。一人でも恐らく
プロヒーローが束になってやっと勝てるんじゃないだろうか?」

「えっ、じゃ、じゃあ狼森は…?」

軽く私を超える位あるんじゃない?
そう肩まで使ったオールマイトに峯田は唖然とし
口が下がったまま戻らない

「彼女、本気で土の柱立ててきたし、掴もうとするの全部ダミーだし…」

次やる時は覚えておけよ。
そうヴィランの様な笑いに、周りは苦笑いをした

「今日の狼森さんを見ていて、オールマイトの事
普通に接していたっぽくて、安心しました。」

「昨日の今日で全然違うよな!!」

「まるで人が変わったみたいにな!」

「(人が変わったみたい、に…ねぇ)」

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「絶対のぼせた…」

「ご、ごめんね。」

そう風呂場での会話に、少し考える事ではないと、
今日の試合の悪い点を話し、解説をしていると時間が過ぎた。
思いっきりのぼせた特に緑谷と八木は風呂前で熱い身体を冷ましたあと
風呂場の外で熱くなった身体を冷やしていた


『お、八木ぃ〜襲われてぇんか?掘るぞ?』

「ちょ!こら緑谷少年とか、もいるか、」

ら、やめなさい。そう言おうとしたが
小籠の姿に静止した


『・・八木さん?ぅおーい、八木俊典18歳〜』

「小籠さん?何でその、」

『ああ、可愛いでしょ?服可愛くて買ったんだ〜』

そう言って、くるくる回る小籠
肩がおもいっきり出た肩出しの紺色パジャマ
七分丈ではあるものの、冬になると風邪を引きそうな感じにみえる

『所で風呂場でのぼせたの?二人とも、顔赤いよ?』

「ちょ!!もう!!!君って子は本当に!!!」

のぉ?と素っ頓狂な声を出しながら手を掴み、
ぐいぐいと外の散歩に行ってくると
緑谷に口頭で告げ、暗闇に消えた

「あれ?デク君一人?」

小籠ちゃんは?そう問う麗日に、
先程の煩い会話を緑谷は無かった事にして、しらを切った。

《後書きスペース》