「ちょ、ちょっとまっ、でっ」
『えへへ!早く〜!のっくんー!!』
そう彼から誘われてきたのは、オールマイトの知り合いである社長さんが
動物も混合のショッピングモール招待券だった
まだ試作ということもあり、これからどんどん情報をいれている一方で
一部の人間を招待して、意見を頂きたいという事で
私狼森小籠とのっくんこと八木俊典の二人は
オールマイトとして救った社長さんの元にお出かけする事になった
「に、して、も、ちょ、はやすぎ…ラーナ使ったでしょ!!」
『あっバレた?』
えへ?と言いながら杖をだしくるくる回す小籠に
少し冷や汗をかいているように見える、水色の髪の長い少女に見える
ラーナ、カードは「まぁまぁ」と言わんばかりに八木の怒りをなだめていた
「全く、君もちょっとは拒否しても良いと思うんだけど」
「いえ、私は継承者の意思の元で動くので」
「ぎゃー喋ったー!!」
『貴方ずっと私のカードと喋れてるでしょ』
いつ!?
アンヘルとか、ね?
嗚呼、と答えた八木に、ラーナと呼ばれた少女は
空をくるくると舞い、カードに戻る
どうやら人間が近くに来たらしい
知らない感覚を感じ取るとカードが勝手に戻ってくれる為
杖を戻すタイミングも分かるというものだ
カードに礼を感じつつ、社長らしき人間に挨拶をする
「今日はわざわざ招いて頂き、ありがとうございます。」
「いやいや、まさかそのような状態でお見えになって頂けるとは」
「少々ヴィランの対処に戸惑った状態な為、
まぁマスコミの目くらましにはなるかと。」
『あはは』
ヒーロー引退の件があってから
彼のマッスルフォームとやせ細った状態二人とも
マスコミに出ている為、隠れるにも難しくなった
彼も大変なことだ
「彼女は?」
「ああ、ヒーロー科の子でね」
『狼森小籠と申します。初めまして。』
ああ!あのオールマイトと一緒に共闘した!
テレビで見てたよーと喜んでいる彼は手を出して
ブンブンと小籠の手を上下にあげて握手をする
それに秘書の方が咳払いをして気を取り戻したのか
咳払いで何とか誤魔化した社長。可愛いですね?
「何か欲しい物とか、必要な物があったら是非遠慮なく言って欲しい。
此処にはヒーロー系の仕事着等必要な道具も取り揃えられるような場所にしたくてね。」
ああ、だから連れて来てくれたのか。
そう小籠は思いながら、社長の後ろを追い、足を進めた
緑色の少し透明感のあるシフォン生地の緑のドレス
首元は黒色で、フィッシュテールスカート型の
深緑のドレスで、歩けば金魚のようにひらひらと
後ろの服が揺れるのが特徴だ。
ホルターネック、首元の黒い部分から下地が
胸元に伸びている為、肩から手まで隠れていない状態に
朝八木が「流石にみせるなんて無理」といい、八百万に
無理を言って上にかぶせる服を作ってもらった。
『ねぇ、幼稚に見えない?』
「いや、それ位が充分だって」
そう首を傾げそうかな?とつぶやく小籠
白のポンチョで、先には緩やかな三角レースが施されている
後ろは軽い私のトレンドマークなのか、ひし形の模様が付け加えられており
一応フードで隠れてはいるが、フードを被ると半透明の為中が見える
「もっと幼稚じゃないと私の心が持たないんだけど、」
『え?何か言った?』
いいや。なんでも?
そう、予想以上に綺麗に仕上がっている小籠に
八木は自身の精神が保てるのか不安になりつつ
八百万に不満を少し垂れた
「此方にショッピング系があり、奥になると飲食店があります。」
『んートイレの位置も分かりやすいし、設置する死界も無いね。』
「考えが警察に近いよ、狼森少女。」
えへぇ?とほほ笑みとぼける小籠に、一発殴ってやろうかと思う八木
あまりのお惚けに言おうかと思ったんだが
どうやらそこまで順調にはいかないらしい
「んーですが此処に何を入れようか迷ってまして」
「あー、間、ですか。」
そう、全種類を入れてしまった為に、何を入れて良いのか分からなくなった。
地域の取り揃えは勿論、旅行者にも、とある意味イ〇ンそのものにみえなくもない。
まぁどちらかといえば…いや、深く考え過ぎない方がいいだろう。
『んーヒーロー系置くなら、軽い交番じゃないけどこっち欲しいかな。
あ、でもこの場所に緑と、あと青の蛍光灯置いとくと防犯率下がるし、
いやでもこんなに広いんだからってごちゃごちゃするのは』
「すとっぷストップ!待って何言ってるの!?」
情報が混雑しかけたのに、八木がストップをしかけた
おお、そうでした。と言わんばかりに小籠が説明をする
防犯の為にも監視カメラを設置するのも良いが、
カメレオン系のヴィランに入られると厄介だ。
ならば精神的に青色にも変化する蛍光灯を
導入するとかはどうだろう?そう言った小籠に、
八木は突っ込む
「青が分からない奴らはどうする?」
『ぶんなぐる。って言いたいけど、
要はとち狂っての衝動を抑えたいなら、
この場所に軽い線とか引くのは?』
「なるほど、人間の感覚で"何故?"と認識を浮かばせるようにするのか。」
だが、そううまくいくかな?
そう意見が分かれそうになった時に、
社長が何かを閃いたのか、その意見検討する事にしようと
嬉しそうに喜んでいた
「まさか小籠が言った事殆ど採用されるとは…」
『社長も寛大だねぇ』
偉い事を言う立場じゃないだろう。
そう突っ込みつつ、ショッピングモールの一角にある
食事場で食事を済ませおわった二人
一息がてらオレンジジュースを飲む小籠に
ため息交じりに答えを返していた八木
その、時間に小籠は少し感じた
嗚呼、こんな時間もたまには良いな。なんて。
『(感情が増える)』
その現実に私は少し恐怖を覚えた
「小籠」
『ん?』
何考えているの?
そう聞いてきた八木に、小籠は何でも。と答えた
どうしようもない現実に
私は何度だって考えてしまう。
それはまるで、不思議な
『不思議な世界で、』
そう
『アリスのよ、う、な?』
辺りが暗くなる
その瞬間に私はのっくん、と声をかけた
どうやら八木にも伝わったらしい。深くうなずいた
『(どこだ、何処にいる)』
「私も力になれるから、落ち着いて」
『うん、ありがとう。』
そう八木の左手の甲についていたひし形のアクセサリー
ーこれは?
ー小籠の力を人間が使える様にしたものだ
ーいいの!?それ!!
ーただし、力は彼女の僅か10%になる。
ー威力が高いと言っても、其処まで火力は出ない。
『まぁ、私も抑えるからね。』
ーカード達もお前の事を好いている。だからこそ渡すんだ。
ー小籠を、
「("継承者である主を、頼んだ"、ねぇ)」
こんなものが無くったって、守る勇気は元からある。
今日は小籠の気分転換でもあったのに、余程邪魔をしたいらしい。
「どこに感じる?」
『上』
頭上の空は相変わらず真っ暗闇だ
昼間の割には夜に見える
視界と言っても、夜に近いだけなので
目の前が真っ暗闇って訳ではない
そこが救いで、少し近くにいる状態にほっとする
「カードは?」
『勿論全部持ってきてるよ』
「ほんと、用意が良いね」
『そりゃ、何もないなんて、今までの状態からしたら難しいからね、』
ポケットに入れていた鍵を杖に変化させてから
背中に三角形を作り、浮遊させる
ゆらゆらと揺れる三角を見ていると、ぼーっとしてしまう
『白夜、にしては此間来たし、』
「話の流れからしたら、さっきの会話か?」
不思議な、不思議の国のアリス。
少女が兎を追いかけて不思議な世界に落っこちる物語
だが、それにしては、幾つか不思議な事がある
『兎もいないし、何より八木君が傍にいるからなぁ』
基本的に私以外の人間は止まって居たり、見えなかったりする。
まぁ相澤先生も例外ではないのだが、八木自身も小籠の力に
近い距離で長く振れている為、耐性が付いている。
「っ!危ない!!」
『っ!!』
突如空から加速をかけて黒い何かが地面を飛び向かってきた
それに気が付いた八木が小籠を庇い地面に強く打つ
『のっくん!!』
「大丈夫だ、伊達に高校生じゃないからね。」
『さっきの、』
嗚呼、君が考えている事で間違いはないだろう。
そう八木が言う事に私は頷いた
飛び降りてきたのは、鷹。
鷲にも見えたが、鷹に近い姿をして降りてきた
しかも1m処ではない、翼を広げると2mはある。
その翼をギリギリで避け、庇ってくれた彼には感謝するしかない。
礼を言っている暇はどうやらないようだね。
そう言う八木に、小籠は深くうなずいた
『時間稼ぎと行きますか!エスカ!分かれて向こうへ行って!
リヒト!ライトの場所から光を!』
小籠の前から八木と小籠二人の分身が2組別れ、北と南に散っていく間に
リヒトの光が光る筈の蛍光灯に灯りがともり、何とか視界が広がる。
『ソル・デ・メディアノチェ!!』
光を取り戻そうと暗闇には光を、と出すも空しく、光は取り戻す事はなかった
寂しそうに浮遊している光る女性に、おいで。と小籠が指示をだす。
『感覚、って訳ではないのね。』
取り込む予定ではあったのだが、全くびくともしない為
範囲が分からない状態では彼女を使う事は不可能だと察した
夢の中で見た時も、範囲が大分限られていた為
1部屋分位の範囲なら、といった所が限界だろう。
『さて、どうしたものか。』
闇の鳥を何とかしてカードに収めたいが
この感じで行くと先に弱らせないとカードは難しいだろう。
かと言って実物のあったアンヘル・カイドみたいな件にはならない。
今回は実物がない。
だからこそどう立ち回って良いのか分からないのだ。
「範囲が広すぎると難しいか、それなら分割すればどうだい?」
『分割?』
「何処かに核がある筈だ、其処を突き止めさえすれば大丈夫だ」
そう頭を撫でる八木に、子供をあやすオールマイトか。
と小籠がムッと撫でていた手を叩いた
それに八木は苦笑いして落ち着かせようとしていたんだよ。
との返事に小籠は困った
『かと言ってシャルを使うって訳にも・・』
視界に見えないなら、音で何とかとは思ったが、
此方が音を出してしまうのも悪い。
そう考えて周りを見渡す
ここら辺に火力重視で五元素を撃ったところで
被害がシャレにならない…ん?
いや、気のせいにしておこう。
こほん、と咳ばらいをして落ち着かせる
『ネーベル!周りをとにかく暗くして!ナハト!!この場所を夜に!!』
一体何を、そう八木は考えた
視界を奪わない様に光を作っていたのをひっこめ
更に辺りを暗くし始める
『いた!!行くよ!!のっくんを連れて来て!リフベーレ!』
そう背中に蜻蛉の羽を付けさせ、小籠の移動を追跡するように
移動する八木に、小籠がいたと言っていた場所を目視する
「成程、微妙な暗さを出すなら光があると考えたのか!」
『一気に仕留めるよ!ケー』
そういう前に移動を始めたモヤに、八木が仕掛ける
「ならこれはどうだ!クルヴィ!!」
力を使用し、光が漏れる
強度はないが檻は檻でも視界に入るとぶつかると感じ急停止する
その隙をみた小籠が仕掛けた
『ケーラ!!!』
++++++++++++++++++++++++++
「まさか来てそうそう出くわすとはね、」
『あはは、ごめんね。付き合わせるとは思わなくて。』
そう夕暮れの時間に帰る小籠と八木
タクシーから出て、すぐに道から歩いていた人に出会う
「あ!小籠ちゃん!!どうしたのその姿!」
「あ、さてはデート?」
『でっ!?』
デート!?その言葉に考えていなかったことに
失礼なことをしたかというよりも
男女がイチャイチャするものと
とらえた私の思考で一気に顔が赤くなる
その姿ににやりと笑うと思っていた隣の八木も
顔を赤らめていた
「あー、」
『でっでで、デートじゃ』
ないもぉおおおおん!!!
そう叫びながら走って消えていく小籠に
八木は置いて行かれたと、緑谷らと一緒に後を追った
奥で凄い悲鳴が起きているので、誰かに会ったのだろう。
何故か空を飛ぶ緑色に、大きなため息をつきつつ
ゆっくり帰り道を歩く
「そんなおめかしして何処行ってたんですか?」
「ちょっと招待を貰ってね、彼女に付き合ってもらっていたんだけど」
そういえばそれもデート。と言うね。
そう高校生の言った事に言葉を失う八木に
案外可愛らしいものなのかと麗日は感じていた
「楽しかったですか?」
その答えには、自信をもって八木は答えた。
++++++++++++++++++++++++++
『あー酷い一日だった。』
「ふふ、結構走り回っていたからね。」
うるさい!まさかあの時に使えるとは思わなかったもん!
そう小籠が風呂から上がり髪の毛をぶるぶるふるうのを見かねた
八木がドライヤーを使って小籠を大人しくさせ髪を乾かす
『まさかカード二枚だったとは思わなかったからね』
「"ナイトホーク"と"ペリトロペー"とはね」
夜鷹と回転
まさか真っ暗な状態は夜鷹が密集していたとか
考えたくもない現実を私は出くわしていたのかと
震えた小籠に、普通に風邪をひかないかと少し心配した八木
「明日は一日休みだね」
『え?あ、うん…』
明日で、終わるのだ。
『記憶、思い出した?』
「ああ、君が泥んこで転がったと思ったら
手をついた場所から崩れてまたこけて泣いたりとかね。」
ん?
「ああ、流石にお風呂入る時に全裸で走り回ったのはちょっとびっ」
『待て待て待て待て!忘れてろ!!忘れてろおおおお』
軽く泣きながら暴れだす小籠に笑いながら動くなと言わんばかりに
暴れた後に優しくベットに座らせる八木
「君が死ぬ寸前と、君に取り残された私の感情も、ね?」
青い目が此方を見抜く
死んだあの時間、彼は何を思っていたのか
「君が生きている。触れられるなんて、一生来ないと思っていた。」
『オール、マイト』
「君が居て欲しい時間で良い。私は君にゆだねるよ。」
それは、過去のままで、記憶を全て失った彼を選ぶのか
寿命があと少しのままで終る彼を選ぶのか
選択は限りなく近づいていた
『そうだね、明日』
明日、考えを導くね。
そう言って、私は綺麗に乾いた髪の毛を眺めて、彼と眠りについた
星の見えない土曜日
星は見えない
だって此処に、星が輝いているのだから
《後書きスペース》