望み通りの永遠

人間だれしも「え?どゆこと?」ってなることあると思うんです。

…あると思うんです。

そう大事な事なので二回言ったのも、
前回言っていた国の特例条約の試験というか
検定というかよくわからない話を進める為に

相澤先生、と言いたかったのだが
今回はヴァラクが同行してくれるということで

緑谷達がインターンを進めている一方で
私は私での道があるってことで。
え?免許取得?いや〜1週間何かあったでしょ?(イチブアソコダヨ)

そうメタいような時間経過を気付いたのか
面倒なのに付き合ってしまったと嘆いているのか知らないが
深いため息の音が部屋の中に充満する。

「だーって急にみど、デクとウラビティーと三人でイチャコラしてたのに、捕縛されて来いって意味わからないですよね。いや別にあると思うんですよ?呼び出しとか怖いけどいや怖いけど。でも私だって占っても「国の特例条約に入るか分からないから、とりあえず指定した占い師に占ってもらお☆」って分かるわけないじゃないですk」

「…言葉を慎め」

馬鹿、と言わない所捕縛で怒って終わるのって
丸くなったなーって感じします。好き。
そう思いつつ、椅子から離れた所で
お説教を食らうと思っていた所に、ノックが入った。

+++++++++++++++++++++++++++++

今回特例という事例もあり、国の機関が直々に
雄英高校に入ってきての話

その為かノックがあった後に入ってきたのは

「此方、特例個性保護委員会の理事長、リコルドと申します。」

そう説明をしたのは秘書なのか、本当に真っ黒の髪の毛に
綺麗にスーツを着こなしている女性の方だった
いや個性という個性見当たんねぇとか極めて失礼なことを考えつつ
何がおかしいのかくすりと笑った会長

後ろから来たのはおまわりさんとマイク先生だった
相澤先生曰く、オールマイトは私の身内に近い人間であり不参加との事。
というか別に事情があるらしく、そちらで忙しいらしい。

…どうせヒーロー免許取得で不合格だった者の
様子を見に行っているんでしょうけど。

そう居もしない彼の事を思い出しつつ、
相澤先生がマイク先生に頼んだのは恐らく相澤先生が
一番使いやすい駒だからだろう。どうせそうだ。

だって先生たまにマイク先生がやり過ぎて捕縛で公開処刑してるし。


「(っていうか、確かリコルドって、)」

「ええ、記憶で間違いありませんよ。
都…いえ、この場では"都佑"とお呼びしても?」

そう呼ばれた私は殺気を感じ
椅子から離れ鍵を出さずにカードの準備をした。

この人間、侮れない。

近づいて感じている中身を全て洗いざらい出されると感じた。
考えていた事は的中し、
私はまずい場所に来てしまったと自分に後悔した。

「私の個性は人の記憶を読み取り
過去とそして未来を知る事が可能です。」

「試しに今、ミーネさんの記憶を盗み見ました。
すいません、意識をしなければ読み取る事は不可能なのですが…」

そうくすくす笑う彼女に、私は今まで考えていた事に対して
笑っているのかと、思い出し笑いが止まらない

いやマイク先生の公開処刑は思い出し笑い止まらないよほんと。

どうやら彼女は映像に起こす事も可能で
映像を鮮明に移す事が可能な者程、大体わかるらしい。
マイク先生の公開処刑何度も起こしているんだけど、ツボり始めたよ。

私ねー?あのねー?映像で記憶を処理する事が得意なんですよーほんとー

絶望をこの部屋に来てひたすらしている気がすると感じつつ、
とりあえずまずい人なのは分かり切っているので、近くにいるのが怖くて
このまま遠くの位置で説明をしていただいても構わない許可を得て
私のみ部屋の隅っこで椅子を逆にして足を前に出すように座った。

「おい」

「良いんですよ、彼女はあの恰好が一番落ち着くそうです。…昔から、?」

疑問形になるのは私が記憶を操作しているからだ
どれ位の人間なのか腹が分からない。
国とは言えども本当に救えるのは自分、己のみだ。

信用しても良いのは、自分しかいなくなってしまったのだ。

過去を、遡っても仕方がないのだ。
だって此処にある。
もう、この場所に私が居るのだから。

「そう、ですか…あなたは賢い方ですね。」

「と、言いますと?」

「彼女はとても優しい。誰に対しても、
動物、人、それは"記憶の己自身"においても。違いますか?」


そう問われるが、首を横に振った。
なのに「そうですね。優しいんです。」と言い切った。
あの私の拒否権は?ないんですか?ないんですね?


「ミーネさん、記憶を操作しても私にはわかりますよ。
賢いと判断していても、過去と未来、そしてなかった事さえも
想像した所で大体理解出来ます。」

どうやら不毛だったようだ。
まぁやめる必要はないけどね。

「("だって全部事実になる可能性があるのだから")」

だから貴方が嘘と思っていても、この先現実になる可能性がある。
私はずっとそう思って生きてきたのだ。

ずっと、そう

「(ずっと、ずっと。)」

途方もない時間を感じた
相澤先生たちや、皆を知らないあの世界を。
彼女はこの記憶も知ってくれるのだろうか?

本当に、彼女は私の全てを理解してくれるのだろうか?

然しすぐに現実を突きつける
"どうせこの人間も私の事全てを理解してくれるはずがない"
そんな人生を長く送ってきたのだ。

勿論一度だけではない。何度だって向き合ってきて
その度に人を信用しなくなった。
お願いなんて、望みなんて叶う訳がない。

本当の願い等、叶わないのだ。

「…君は、何処までも可能性を感じ取って、すぐに対応できる。
素晴らしい知識と、情報を正確に取っている。」

「でもね?君の行ってきた事は確かに正解じゃない。
不正解も多くある。それを貴方は、いいえ
小籠さんは知っている。違う?」

いいえ。今度は事実だ。
彼女の言っている事は事実だ、私は多くの知識を知っている。
しかし、コレを本当に良い様に使ったかと言えば、答えはノーだ。

本当に正しいのか、私は分からないのだ。
なのに言葉は難しく、受け取り方が人によって変化する。
私もそのうちの一人なのだ。

というか私の名前よく覚えているな。
普通に名前の種類多すぎて間違えないのかこの人天才か?


「占いをしたいんだけど、先に君の事をある程度知った。
これは性格占いみたいなもので、こう話すのが君は好きかな?」

腹の探り合い、といった所だろうか、気は抜けないが、縦に頷いた
彼女はホッとした顔をした。その顔に何処か安心した。
その顔に何処か見覚えがあった。私は答えを知っている。

「じゃあ君の過去を当てようか、君は占いが好きだろう?」

『…ん。』

「(おお、声をだした)」

ヴァラクは眉を少し上げ、驚きの顔をした
小籠がこの場所に来てから、本音は一度も漏らしていない。
声を出したのは、彼女が来てから一度もだ。

「名前、どちらがいい?」

「…」

「え?いいの?」

いいよ。と言いたい。

『貴方が記憶を…私の過去の記憶を望むのであれば
この呼び方が正しいので。』

ホッした彼女は、そう。と一言を置いて
私はヴァラクの隣に席を戻した

「じゃあ、"都佑"。と呼びますね。」

嗚呼、心地いい。
寂しい感情と、酷く優しい感情に、頭が心が揺れ動く。
その感情を捕えたのか、リコルドの顔が動いた

「…都佑、貴方、」

『いいの。声に出さないこの"記憶"を
貴方は受け取ると私は感じた。』


だから名前を呼ぶ事を許可した。
昔の、名前。"前世の名前"を。


「そうね、都佑ちゃん、貴方はとても優しい子なのね。
誰か困ってそうな子をすぐに空気で察して、助けて喜んでる…
先生に褒められる事はするけど〜あら〜」

「どうしました?」

『勉強は、イマイチだったのね〜』

困ったのか、おほほほほ。と口に手を当てて笑うリコルド
私は私で明後日の方向を向いた。先生に目を合わせたくなくて。

リコルドが英語が特に難しかったのね〜そういうので。
マイク先生、可哀想過ぎでは?人選ミスかな?


「でも、感情がとても豊かだったのね、都佑ちゃん。
だからこそ、優しさの度が…なるほど」

「彼女は…そうね〜。先生や周りの生徒さんに対して
案外そっけない態度をしてると思います。」

「ですが、彼女の経験的にその感覚が一番勉強になる。
優しさの値を10とすれば、彼女が持っていた優しさは10を軽く超えます。
…それは、人の痛みを知り、寝込む程まで。」

そう、か。そう言ったヴァラクの目が此方に来る
目が会うがすぐに目をそらした。目線が痛い。凄く痛い。
そうそう彼と一緒にいる機会はないが、なんか気になる。

「なのに都佑ちゃん、貴方はその優しさを強さにかえた。
今はとても精神的に安定しています。」

え?本当に?この精神状態が?と聞きたいが、
まぁ過去の事を考えると
昔よりははるかにこちらの方が安定している。

「深夜に思い付きで自殺行為をしたり、
周りの人を心の底から騙して
自殺計画を遂行する等しないでしょう?」

『おぉ、言ったこの人言ったよ。』

「おほほほほ。そういうことですよ。
貴方はとても周りを見て行動するようになった。
そして…これは?」

嗚呼、これも見れるのか。
そう思ったのも束の間、彼女が無言になるが
すぐに話を切り替えた

恐らくこれは一人の時にきかれるな。

「じゃあ、今から占いをしますね〜」

『まだ始まってなかったんかい、おい』

捕縛?いいえ。されていません。※首は軽くヴァラクに絞められてます。




「一枚のカードを選んでください。」

そう呼ばれたので、私はカードを選ぶ
過去の私であれば…これを選ぶはずだ。

引いたカードに、リコルドは目を丸くした

「…貴方って人は、何処まで自分を責め続けていたの?」

「さぁ、それは貴方が見れるのでは?
強く思えば私の本当に望んでいる事なん…
いや望んでいる事を既に知っているのでは?」

何故かって?"この部屋に入ってから
ずっと考えていたから"に決まっている。

「話を続けるわね、このカードは隠者。
しかも裏。どういう意味かは、先生や周りに伝えるわね?」

こくりと頷いた私に、yesと取った彼女は説明を始めた

「今過去の話で、カードを引きました。この意味は
誰かと一緒に居たいと思う気持ちよりも、
自分を変える位なら孤独であったほうがいいと感じている。」

都佑ちゃんは幼い頃から孤独に居ました。それも長期間で、
大人が気付いた時には手遅れに近かった。それほど、彼女の
人を観る目と、思考を回す力がありました。

周りの大人が話を聞いてくれます。
"この人は私の事を理解してくれる"
そう期待を感じました、ですが都佑ちゃんはすぐに絶望します。
親の育児放棄で、愛情に関わる所を否定され続けていたからです。

手を伸ばしても伸ばしても、人は周りは救ってくれない。
私の望みをかなえてくれない。叶えられないのなら…

ならば"望みさえもしなければいい"

「そう、望んだ世界にずっと居て
彼女は居心地を自分で作りあげた」

その居場所があまりにも良くて、人を信用しなくても
自分だけが知っていれば良い。
自分が全ての望みをかなえてあげればいい。

そしたら苦い気持ちも、手を伸ばしてもかなわない時間も
全て泡のように消えて、溶けて、幸せな時間だけが残る。

だから一人でいる時間が多くなった。
隠すのがとてもうまくなった。
誰もを騙す事が出来る程まで、気を使いすぎた。

「ここまであってる?声を出して答えて?」

『合ってる』

知り合いに知られたくない位には正確過ぎる
この人警察官絶対良いよ。
だって犯罪者の感情とか絶対バレるもん。

…まぁ裏で活躍していそうだけども。
私は知らないです。

大分はしょって…は、いるが、大まかに言いたい事は伝わっていた。
望みを、私は消した。それは事実なのだから。

「だけど…都佑ちゃんは、優しい子ね。その時間を愛した。」 

”悲しい時は抱きしめてあげるといいんだよ”って思いながら
本当に望んでいた記憶を1人頭の中で作り上げて
その子を抱きしめて、鳥籠の中に閉じ込めた。

「その子を、今も、軸にして生きている。」

『(ああ、そうだよ。)』

この子は、ずっと軸になっている。同時に、

「“自我を殺す事を厭わない”ね。
酷い位に周りの意見軸に置いてるのね。
自我を壊す事はいくらでもあった筈なのに、貴方は耐えた。」

いや、知らなかっただけだ。
知っていたとしても、先が怖くて見ないふりをした。
だから彼女は、私は“彼女”と呼んで、他人のふりをしている。

「良い所もあるけど、ヴィランに漬け込みやすい所ね」

『でもそれを餌にする力を持っている。』

「あら、自分から言ってくれるのは嬉しいわ〜」

もう隠していてもどうせばらすだろう。この人。
深いため息をついた後、席を後ろに少しずらし、話を進めた。


『人間が辛いと思う感情をただ好きに変えただけです』

今思い出している事も、本当は嫌いで本当に忌々しいものだった。
でも、そうしてしまえば、私の全部が無くなってしまう気がした。
無くなる恐怖と、自分を存在させてはいけない感情。

途方もない程の記憶、時間を何度も入れ替えていると
人間、間違えて覚えるなんてある。

しかし現実にあったこともあるのだ。
それがどうしても、夢と思い違いしたい所で
どうしても、嘘と言いたくない自分が居て。


『感情を顔に態度に出すと周りが困っているのを見て
これは隠しておいた方が良いと悟りました。』

発言しても、周りは良くない雰囲気になる。
それに私はすぐ対応をしたまでだ。
…必然なのか、言わない言葉が記憶に根付いてしまったのだが。


「自己犠牲の塊、とはこの子の事を言うのよ。」

人を優先するべく、自己を犠牲にした。
物理的にも、精神的にも。積み重なれば、慣れが来る。
そうして世界を楽に変えた。

「辛い、とは感じなかったのね」

『記憶を見ていればわかると思いますが
随分と早くに勘づいたので。』

辛い、苦しいと、深く落とされる前に、気付いたのだ。
忘れる事よりも、思い出す事の方がつらい。
それならば、思い出す事に慣れなければならない。

なら、記憶を変えてしまおう。と、


「それ程の知能で、貴方は…この先、理解しているのね」

「勿論、貴方が見た記憶が正しければ
私のこの“軸”は悪い予感を当てますから。」


最悪の現実、マクベスの世界。

脳裏に一番起きてはいけない事がよぎる
それにリコルドのこめかみにしわがよる


「そうね…なら未来の事に関しては」

そうしてパチンと鳴らしたあと、周りの人間が消えた
あと、フクらとの連携も出来ない為
おそらく精神面も切り離されたか。

「この場所で、お話しましょうか。」


《後書きスペース》