音よりも速く響く

「おら、やれ」

そう、樹が言うも
私は無理あるだろと心の中で叫んだ。


『この世界は向こうの世界と時間変わるの?』
その言葉に変わると言った樹木に
私は樹木の首を絞めようと
わかりやすい反応で返した

樹木、否彼は人間の姿を嫌っては居たが
あまりの物覚えが悪いことに痺れを切らし
この真っ白な世界で2人っきりの特訓が
幕を

『ゼェゼェ』

幕を

「ほら立たんかバカタレ」

幕を閉じても構いませんかね?

いやいやいやいやいやいやいやいや
だってこのおじいちゃんタチ悪いもん!
子供の駄々こねを真似るように
私は駄々をこねる

「そのような事を言っても無駄じゃ。
お主は考えるのは良いが変な方向に
突っ走りやすい」

なら、同時に動く事は可能かな?

そう樹木が言って手から黒いものを作り出す
この作り出す黒いものが厄介で
やたらめったら硬いのだ

どれくらい硬いって
3歳児用のシャベルで岩を思いっきり
壊そうとするレベルと言ったらいいのか。

とにかくこっちの身が持たない。

『何でこんな硬いの!?』

ん?待てよ?

空中にいた自分の足を地面につけて考える


彼は普通にカードを使っているだけだ
現に私のカードをことごとく使っている

でも、カード達をあそこまで硬く
とても威力のある状態には出来なかった

ああ、なるほど。
彼は普通にカードの力を底上げした上で
さらに威力を維持しているのだ。

「(ほぅ?今回は気付くのが早いな)」

『ならば』

私の持てるカードは水と風のカードのみ
扱いづらいカードではあるが
逆に言えば使えると後が楽でもある

昔、誰かが歌う時息を吸うのではなく

『(息を止めながら歌うようにと)』

水に意識をかえ、手は蛇口で
止めつつも出す時と止める前との
感覚を変えないようにした

水は同じ速度同じ量で出るその
威力も均等になりつつある

『こんなもん?』

「見よう見まねでここまで成長するとは」

こりゃ神の子を越えるのも遠くはないの
そう考えていた樹木に小籠が話しかける


『ね、今向こうでどのくらい時間経ったの?』

私そこまで時間戻せないんだけど
そう言う小籠に樹木は
この世界での時間は戻せないから
良いとの返事に驚き飛び跳ねた

『うっそ!?』

「現にお主が昔未夜に会った頃
そこからの記憶を辿ってみよ」

そう言われ思い出せないと思っていたのに
普通に思い出せる事が出来たのに
この人が私の記憶をいじっているのかと
同時に気付いた

『…確かに時間は戻せてない』

時間を戻す事は出来なくはない
だが、小籠自身で戻していない
気付いたら小籠の記憶すらもなかったからだ

「大体10年は経過する」

いつもはな?
そう言った樹木に小籠は首を傾げる


「この世界に来るものは皆神の子になる
全てを捧げてその世界を見守る位置にの。」

小籠がその神の子になれないのは
いくつか理由があるのだ

「まず、お主自身別世界の記憶を持っておる
しかもその記憶を魔術の核にしてしもうた」

「未夜を受け継いだ事により、
お主に異変が起きる筈じゃ
これは変化が起きる為のきっかけなのじゃ」

本来は絶対しないけど。
そう言った樹木に
何故今回やっているのか

「ー昔約束をしたんじゃよ」

ーね!私の生まれ変わりが来たら全て教えて欲しいの


「馬鹿な子供じゃったよ
プライドも高くてろくな話を聞かなかった子がおってな」

『私みてぇだな』



ーきっと真面目で融通の聞かない真っ直ぐな私の事だもの。
理解するまで何もしないわ。


「じゃが、彼女はとても澄んだ目をしておった」

『誰よりも?』



ーそれが1番恐ろしいの。知る瞬間程力が強くなるものは無いからね。



「ああ、そうじゃ。だからかのぉ」


ーだからお願い。



「わしは彼女ならと思ったのじゃ。」



ーあの子に力を与えて。



「"マクベスを愛してくれる子"はお前だと。」


そうよっこらせ、と言い、何もない場所なのに前を向いた
そこに何かがあるかの様に樹木は目を見据えた

「…お主は何度でもこの世界に来て
何度でも記憶を失っていく。
それでも守りたい者がおるか?」

その者は、お主が魔術師としてではなく
自身が守りたいと思える人か?

そう問う樹木に小籠は迷いもなくYESと答えた
答えた小籠の速さに、樹木は鼻で思わず笑ってしまった

「全く、本当に同じ答えをして」

1000年も待ったわい

そう呟く樹木に小籠は首を傾げた方とは逆に傾げた

「その力で何とかしろ」

『待って!?どこ行くの私!!!』


お主にこれから試練を与える
そうふわりと樹木が浮かび上がる


「いや、今まで耐えてきたからこそ、もう大丈夫じゃよ。」

そう小籠の前でふわりと浮かぶ


「マクベスの本当の箱庭はな、」

小籠

君の生まれる前の子供が望んだ世界だよ。

そう言った樹木の姿は見えなかった

《後書きスペース》