目を覚ます
「っ!小籠!!」
目の前には真っ白な世界がある
『あれ?樹木?ミーネ?居ないの?』
「樹木?一体なんのことだ?」
「小籠、俺が分かるか?今日は?」
『んーーー???』
首を傾げて困った顔をする小籠に
項垂れつつ、部屋から出ていった
++++++++++++++++++
「記憶喪失で間違いない」
「そんな」
「樹木がヒントだろう。棒切れと同じ時らしいしな」
私のあだ名酷くない!?
そう言ったのは元ヒーローのオールマイト
否、八木俊典。昔小籠の同級生だった者であり
現在進行形で彼女の事を好いている人物だ
「煩い、そんな暇あったらあいつの事情聴取だ
幸いな事になんともないらしいな。」
あのあと、八木らが捜索を開始して数週間立つ所だった
緑谷がヒーローインターンで活躍をしている時に
保護対象だったえりちゃんを救い、力を100%として
発動していた瞬間、えりちゃんの暴走を止める役割としても
小籠が空から降ってきたのだ
それに周りの人間が驚き、急遽小籠の救出もかねての
インターンが幕を終えたばかりだったのだ
「あの、先生僕、狼森さんに会っても…」
先程亡くなってしまった彼の言葉に意味深な事があったのだ
それに対して、相澤は分かったと言った
ー君、だれ、だ、"マクベスの、箱庭"が、しゅう、えんを、むかえ、る
ーマクベスの箱庭!?
ーサー!駄目だ!それ以上言ったら
ー取返し、のつかな、いこと、に、なる、まえに、助け、てあげろ、
そう言って、彼は息を引き取った
彼の傍で相棒としても務めていた、若いヒーローの卵の前で
「嗚呼、だが確認したが」
「記憶を失っていた」
「そんな!!」
「今からその事情聴取にいくつもりだが、来るかい?」
そう言ったフクに、緑谷はもちろんだと首を縦に頷いた
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『お?んー知らん!分からん!僕みてなーい!!』
「一発殴るか」
とりあえず。と言ったフクに全力で
待てをかける相澤に八木と緑谷は軽く引いていた
『んーんな事言われてもなぁ…』
「僕の事も、忘れちゃったの?」
そう寂しそうに言った緑谷
クラスの中ではお友達と言ってもおかしくない程に
仲良く話していたのを相澤や八木、フクも見ていた
ただ、何も考えないで笑っているように見えていたのだが
きっと彼女の事だ。考えていたのだろう。
こうなることを
『…またお名前教えてくれるかな?』
「("ごめんね"と言わない所成長した、と言った方がいいのか、)」
そうフクは考えつつ、分かったと
緑谷が今までの事を話している所で
相澤はフクを外に出すようにした
「アレは一体どういうことだ?」
「どうって言われてもな、実は俺もこんな状態になるのは初めてなんだよ」
と、いうと?
そう言ったのは部屋から出てきた八木である
場所を変えようと言ってフクが指をはじく
病室の前に居たのだが、近くの屋上に飛ばされた
暗がりながらも灯りが下から漏れ
なんとか足元は分かる程だ
病室で緑谷が頑張って小籠に話しているのが見える
ただ、小籠の目が何処かを見ているのだけは分かった
「胸が痛い思いなのは分かる。だが小籠は
"この痛みを知ることを恐れていた"んだよ」
とても仲良くしていたのに
記憶を失い、また一から。
そうして何度も記憶を失っても
「何かを、願っているから、記憶を無くすのか?」
「永遠に叶わない、願いをな。」
言ったろ?とフクは言う
「あいつの願いが個性を維持するんだ。
逆に言えば、あいつの願いが叶う時は」
「個性を失う」
「ああ、だがあいつは話さないよ。」
仲良くなっても仲良くなっても
話そうとした時に呪いが襲って彼女ごと飲み込むから。
「だからこそあの子は強いんだ。」
何度だって飲み込まれても、真顔で誰かの話を聞いて
ちゃんと理解しようとする。
だから周りを必要としない拒むのだ
「何度も話してもらうのが、申し訳ないからか」
そう言う相澤に八木がしかめっ面をした
折角記憶が戻って笑っていたのに
また振出しに戻るのだ
「今の時期は考えている事すらも感じ取って距離を測ろうとする。
だから考えないであげて欲しい。クラスの子にも言っておけ。」
これから何度も記憶を失うと。
そして何度も彼女は夢に走ると。
「俺だってあいつの願いが叶って欲しい。
だがあいつは言ったんだ、"叶わないからこそ美しい"と」
優しく、手を伸ばして笑う
その姿が歳相応とは思えなかった
「小籠は強い。でも周りも気を強くしなければならない。」
「前回は?この人の時は?」
「あの時は俺が採用された時だからな…あんなもんじゃなかったよ。」
まるで、獣に育てられたみたいな顔をしていたとフクは言った
目が誰も信用しない。一人で生きると決めたような
周りの生き物全てに威嚇をしていた
「ただ、怒りを感じると妙にしょげていた
恐らく前世の記憶がそうさせているんだろう。」
彼女の、本当に叶って欲しい願いの原因に。
「兎にも角にも、彼女はこれからもカードを集める。
そして俺達は彼女を厄災から守る事は変わらない。」
学校や周りの記憶を変えるのは
彼女が居心地が悪くなった時に
彼女自身が行う事だからな。
そう言ったフクは八木に目を向けた
小籠をじっとみている八木に
フクは目を細めた
「彼女の、願いは」
「"ずっと家族と一緒に居る事"それが彼女の願いであり、」
「死んだ上に別の世界と言っちゃあ、叶えられねぇ、ってか」
そういう事だ。そう言ったフクに相澤が頭を乱暴にかいた
「彼女は他人と極力関わらないようにしていた。
少なくとも、俺と一緒に居た時は友達と言える人は居なかった。」
それは、記憶が消えて他人を傷つけさせたくないから。
自分を守り、他人を守ると思っていたから。
だが、それだけではこの世界は生きていけない
「彼女には俺からも伝えておく。これ以上記憶が無くなるようなら」
無理矢理にでも、願い事を叶えさせ、個性を無くす。
そう言ったフクに相澤と八木は深くうなずいた。
《後書きスペース》