初めは何を言っているのか分からなかった。
「俺たちは元継承者だ。かつて、オールフォーワンらの事を遠くから見ていた。」
「…マジか」
「俺たちは1つの個性として得意な属性を操る事が出来た。俺は風だ。都佑の周りにいる具現化されてる奴らもまた、元継承者だ。…記憶は殆ど消されてるがな。」
「どうしてそれを早く教えなかった、」
「都佑が勘づかない様にしたかったんだ。アイツは勘が鋭い。口には出さないが、思考回路は緑谷の女バージョンと言っても過言ではない。」
不安定になるまだ未成年の子に、そんな現実を突き付けたくは無いのだ。
「ただ、緑谷の代と同じくしてアイツの代もまた、嫌な変化は起きている。」
「…得意個性がねぇのか」
そう、通常ならば半年もあれば1つくらいは
水なり木なり得意な属性は生み出せる。
なのに一時だけの力で、長くても1ヶ月。
使いこなせる所まで行く手間で終わっていた。
正確には、使いこなそうとした時には
新しいカードが生まれていたのだ。
「何よりカードの変化だ。かつてあんな速度で変わった事は1度も…いや、あるんだ。1度だけ」
初代、前世の記憶を取り戻した直後だった。
「その後、初代の消息は分からない。」
「あ?」
「オールフォーワンと違って引き継ぎは人を経て
なんてしなくてもカードが選ぶシステムだ。
国民主権と言ってもいいのか、」
皆が「この子がいい」と言ったら
カード全ての力を使える能力が備わる。
そこから更に選ばれた子が成長していく過程で
どれほど力が備わるかは、また別問題で、
「初代の力で撃とうとしたのが、俺なんだよ。」
「つまり君は2代目、なのか?」
「目を覚ましたら、元気そうな子が居た。俺は全てを教えた。最初は溺死だった。また目が覚めた。隣にシャボン玉みてぇな球の中に元気そうな子が膝を抱えて丸まって眠って居た。」
覚まそうとしてもビクともしなくて、次の継承者が、また次が、そうやって人が増えていき、もういいんだ。こんなカード見なくても。
そう思っていた時に、変化は訪れた
「6代目の爺さんだ。俺たちを見てくれた。流石に驚いて話したさ。その頃だ、小籠として」
《後書きスペース》