君知るや月の裏

その頃未夜はと言うと…

土方「お主が未夜殿で御座るかー!
可愛らしいで御座るなぁー!!」

『やべぇマジでやべぇ』

笑いが止まりませんでした

土方さんが妖刀に唆された情報を銀さんから聞いて駆けつけて来たのだが
いやぁー面白いというかキャラが違うと本当に此処まで変わるんですね。
凄いね、なんか…

神楽「早く此奴どうにかしてヨ銀ちゃん」

銀「お俺だって嫌だよこんな奴って
おいおま」

『君の名前は何て言うの?土方さんとか
十四郎って呼ぶのはちょっと違うよね?』

そう急に声色を変えて「よっこいしょ」なんて
おばさんの言葉を出しながら座った未夜に
妖刀に飲まれている土方は「トッシー」と言葉を出した

トッシー「未夜殿だけだよー僕の事を笑いものにしない奴はー」

『いや全力で私笑ってるんですけどね』

逆にこの現状を笑わないで何をすればいいのだ。
そう自分の中でトッシーの事を分析しながら
笑って居る自分を自分で嘲笑う

その間土方…トッシーはきょとんとした顔で
そんなことは無いと言ってくれた


トッシー「未夜殿はとても可愛らしくて素敵な女性で御座るよ?
トモエちゃんの事を一度も笑わなかったで御座る」

そう、屯所内では心の底から笑った事は無かった
特にアニメにハマったオタクトッシーの事を
私が笑う筋合いは無かったからだ

だって好きな物を笑いものにして何がおかしいの?


『土方さ…あ、ごめんトッシーリアルでガチで間違えたすまん○』

銀「おいぃい!何変な言葉喋ってんの!!
っつーかお宅の大串君どうしたの本当に…」

そう銀さんが真剣な面をしてみて来る
それに少々オドオドした土方…否トッシーに
私は何処か、似たようなことを想い出した


『…銀さん、私からもお願いします』

真選組を護って下さい。

そう頭を下げた私に気でも触れたのかと
驚く銀さんや神楽ちゃん達

それもそうだ、私は彼らの噂上は
とても冷酷で規律の厳しい人間としての位置だ
…だけど、もうそんなモノは要らない。

だって、そうじゃないか。
何故今迄気付かなかったんだろう?

プライドを幾ら持って高い処に走っても
何も護れないのなら
それは唯のクズじゃないのかと



『トッシー、大丈夫だよ。
だから怯えなくて良いからね?
私が傍に居るよ!』

トッシー「未夜殿…!!」

怯えて震えて居た頃の夢の中の自分を想い出す
嗚呼、私はこうされたかったのだ。
傍で笑っていつも通りに居てくれる人が
隣に、ずっと、ずっといてくれる人が

私は貰えなかったけど
せめて土方さんが救われるのなら
私は、やり遂げようと思う。

だからこれはおまじない。

『こんな顔の方が
トッシーは気が楽になるかな?』

新八「っ!?未夜、さ」

目をぱっちりと開けて優しく見つめる
あの子を観る様に、宥めれば良い。
万事屋の前で位は、別に良いと感じたのは
よくわからないが、土方さんが

トッシーが生きれるのなら
私はどんな私にでもなってやろう。


例えそれが、周りを傷付けていても




トッシー「!!…未夜殿ぉおお!!」

『うおっ!…嗚呼もう、大きな赤ん坊だなぁー
私こんなの持ってないけど…とりあえず屯所に戻ろう』

屯所内では殺気を振り回すと思う。
絶対に言わないでね。
この優しい顔を表情を、性格を。

そう言った未夜にトッシーは何故と首を傾げた
それには神楽や新八も頷いた事だが
未夜は笑って答えた


その答えが余りにも寂しそうに聞こえて
銀時は土方が元に戻ったら殴ってやろうかとさえ考えた





”だって優しいだけの私なんて
誰も知らないままが幸せなんだから”


***

土方さんの事はもう屯所に帰れば
まぁ火の霰、雨嵐、炎上、もう何で表せばいいか分からない

近くに居る、必ずトッシーが助けを呼べば私は立ち向かう
そういってから屯所内に入ったのだが
周りの空気に押し潰されそうになったのは私だった

『(くそっあんな顔した直後だから心を押し殺せ切れねぇ)』

優しい子、夢の中で現れる優しい子の真似をしただけだ
やってみただけなのにこんなにも暖かい気持ちになる。
こんな感情は、誰にも知られなくて良いのは事実だ。

だってこんな優しい気持ちに、
罪人者が知れば漬け込むだろうから
優しい子は、どんな気持ちになるのか

絶望なんて、それこそさせない。


山崎「未夜さん!?一体何処行ってたんですか…って土方さん!?」

沖田「嗚呼?未夜ぁおめぇ迄妖刀に充てられたのかぃ?そんな奴放って置いてこっ」

沖田の隣に刀を取り出し刃を突き立てた
嗚呼、胸の中に黒い物が立ち上がって気持ちが悪い

『沖田さんといい、山崎さんといい
お前らに失望したわ、ほんと。』

沖田「嗚呼?」

『トッシーやっぱり帰ろう?
こんな処護っても意味ねぇよ
今なら私ハッキリ言えるわ』

余りの空気に思わず声が震えてしまう
嘘を付けと沖田が言うが
私は嘘を付いた覚えはない。

本音だ

本音だから、声が震えあがるのだろう

トッシー「え?いやでも…」

「おお、此れはこれは、羽黒殿、帰っ」

『黙れ小僧、お前ら全員この場で
殺してぇ位今気分ワリィんだよ』

トッシーになってコロッと皆
入って来たばかりの人間に付く
いやいやおかしいだろう?

私は何もおかしくない。
おかしいのは、お前ら真選組の人間だ。

恩もあるだろうに気持ち悪いのは分かる
非常に分かるが、それは自分が気持ち悪いと感じるだけで
トッシーは何も悪くないじゃないか。

沖田の始末書から組の書類を朝から晩までやって来た
土方さんが逆にこうおかしくならない訳がない。
彼も人間だったと言う事とも捉えないのだろうか?

それとも、本当に嫌だったのかもしれない。


『副長様がご乱心になって「はいさようなら」する
野郎なんぞにましてや「俺が世を纏めよう」
なんて意地汚い方法使って遣り込める
お前の方に付くもんなら』

私は死んだ方がマシだと心の底から思った。

そう言い切った私に、クビにされたいのかと
言う先生…否伊藤に鼻で笑ってやった

別にクビにされても問題は無い。
但し


『私はクズな野郎が大の嫌いでね?
今此処でクビにすればお前ら全員の首を
ぶっ飛ばす事だって出来るんだけど』

良いの?

そう言った私の殺気に漸く気付いたのだろうか?
周りに居た隊士達が動揺する

伊藤「何をそんな出来もしない事を」

『トッシーごめんね、私我慢出来ないや』

トッシー「未夜、殿?」

『嗚呼腹の底から苛立ったのは何十年ぶりだろう
こんな奴らに切られる位なら』

私が自害した方がマシだ。

そういった未夜は次の瞬間赤い刀を創り出し
自身の腹を自ら斬った

それに驚いたトッシーは、逃げた。
未夜を置いて、そのまま全力で

『(そうだ逃げて立ち向かえないのなら
逃げて逃げてそのまま自分が自分で
居られる場所に居て)』

私もそうやって息をしていたのだから。

沖田「っ!?おめぇ何して!!」

『なんて顔してんだ…お前らさぁ?』

山崎「…っ!?ウソ、だ」

斬った場所からはもう血は止まっており
何もなかったかのような白い肌色をしていた


『一回眠れば良いよ』


其処から術を使い皆を眠らせてから屯所を出たのは言うまでもない









『…皆、動揺してるのは分かるよ…分かるんだけどさぁ』

余りにも、トッシーが可哀想だ。
私はトッシーの気持ちが分かるから
こんなことをした。

指名手配犯になることは間違いないだろう。
これが終われば、私は何処に行こうかねと
トッシーの気持ちを考えたうえでの行動が
傷付けている事を知った上でやった事に


私の方が悪い奴じゃないのかと
そう気づいた時には
心の中で嘲笑っていた