刀剣ショートストーリー

×××稲葉江

ここの審神者はたまに変わった事をしたがる。
ここ最近は『刀剣達とお揃いの服を着てみたい』であった。

もちろんサイズ的な問題もある為、その辺りはこの本丸のおかん。歌仙くんに依頼されている。
いつも一度は眉間に皺を寄せるものの、結局は主の色んな姿が見れるのが楽しくて、依頼をこなしてしまうのだった。

そして今回は『江』達の正装を、歌仙はせっせと繕っていた。
そんな中、歌仙の元には一人の訪問者。

その事を、審神者はまだ知らない。





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どう見ても、何度見ても、一着だけ仕様が違う。

「え?歌仙くん間違えた?
 最近頼みすぎちゃったから、
 疲れてたのかなぁ

 まさか?!
 歌仙くん、実はこれを正装だと思ってた?」

畳の上に『江』達の正装が並ぶ中、一着だけ正装ではなく内番の衣装になっていて、審神者は首を傾げていた。

「歌仙氏は違えていない。」
「…!??
 い、い、稲葉くん?!いつからそこに?」
「そもそもこれを運んだのは我だ。」

「ああ、そっか。
 じゃあ、歌仙くんが間違ってないってどういう事?」
「我が進言した事だからだ」
「あの……稲葉くんは私とお揃いは嫌って事?
 ちゃんと身体は鍛えて整えてる方だから、
 見苦しい見た目にはならないと思ったんだけどなぁ」
そう。内番服になっているのは稲葉の服。

「主が着るような物では無い」

「…うぅ、、でも、本人が嫌なら、仕方ないよね」

「・・・・・・・・」
「ね、ちょっと待ってて、着替えて来るから」
「…っ、、」
審神者はあっという間に奥に行ってしまった。

ーーーーーー

着替えを終えて、稲葉の内番服仕様で戻ってきた審神者。機嫌がいいのか今剣のように動きが軽い。
「ねーねー皆に見せに行こう!」


稲葉は無言で近寄っていくと、目にも止まらぬ速さで、上着のファスナーを上まで閉めた。

「……ん?」
「・・・・・・・」
「稲葉サン?」
「問題ない。行くなら行くぞ。」
「あ、、はい。」

せめて頭を覆っているフードを下そうとすると、頭を鷲捕まれた。

「あの…、そもそもどうして、
 正装ではなく内番服で、前も締めろって…
 少々暑いんですけど…。
 稲葉くん内番の時、前開けてますよね?
 前、開けても良いですか?」

「駄目だ。」
「えーー。」



審神者は知らない。

正装でも内番服でも、インナーがタイトで身体のラインが出てしまう為、稲葉は絶対に誰にもそんな主の姿を見せたくなかったのだと。

その日は一日中、稲葉が審神者の側に居続けた。
それはいわば、稲葉セコム。


そうそう。彼がフードを取らせなかった事。
きっと、それだけはお揃い仕様でありたかった事と、

本人も気づいていない、

小さな、小さな独占欲。


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夢絵ではリク主様は審神者設定ではないんですけど、物語化した時に審神者設定に変更しました。

イラストの方、お顔は隠しましたので、どうぞ皆様の好きな様に想像してお楽しみ下さい。

稲葉セコム。地味に気に入っています(笑)
2023/08/17BACK)
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