刀剣ショートストーリー

×××実休光忠


他の本丸の審神者さん達から聞いた所によると、この人は、人との距離感がバグっているらしい…

だから初対面から私は警戒していた。


ーー必ず1メートルの距離を保って。
  彼のペースに警戒、警戒。

「二度焼けて記憶は怪しいけど…」
少し困ったような顔をして笑うと「それでも良ければ」と実休は続けた。

挨拶が済んで、警戒していたわりには、ここの本丸(うち)に来た実休光忠はそんなに心臓に悪くない一振りだったなぁ、なんて安心して部屋を後にしようとしている後ろ姿を見送っていた。

「……ん?」
しかし、その足は止まり不思議そうに部屋をぐるりと見渡し、振り返った。
「主。何か香る…」
近くに戻ってくると、ずずいと顔が近づきくんくんと香りを探し始めた。

ーー近い!!近い!!近いっ!!

「主も甘い…。…でも、、これじゃなくて…
 こっちの方から…」

私の心臓の具合に構う事なく実休は離れて行くと、近くにあった箱の前にしゃがんでこちらを向いた。

「この箱から甘い香りが…。」
ーーあの箱は…

「実休くん。開けて良いよ」

たどたどしい手付きで箱を開封すると、薄紙、緩衝材そして、ずっしり重い網のかかったような球体。
実休はそれを両手に乗せて、まるで茶器を拝見しているように眺めている。

「それはね、メロンだよ。
 頂き物なんだけど、、
 ほら、見て。
 丁度食べ頃って紙に書いてあるよ」

「…めろん。」

くんくんと鼻を近づけて嬉しそうに笑った。
「主。…これだ。
 …ほら甘い。」

記憶が曖昧なせいなのか、少し見た目より内面が幼く感じて所々心臓に悪い。

「実休くんにあげる。
 冷やして食べて。」
「でもこれ、一つは多いよ?」
「昔馴染みの子達と食べたら良いよ」
「……ほんと?、、やったぁ」
 

「でも、主は?食べないの?」

「??」
「主も一緒に食べよう?
 めろんのお礼にとっておきの薬草茶を淹れるから」

「…う、うん。」
近づく顔面に驚いてそんな返事しか出来なかったが、実休は満足そうな顔をして「またね」と部屋を出て行った。


メロンは甘い。確かに甘い。

でもやっぱり、他の本丸の審神者さんたちが言うように、近づいた彼はとんでもなく距離感がバグっていて、、

とても甘かった。



因みに、機嫌よく審神者の部屋を後にした実休だったが、同派の光忠を探してメロンを抱えたまま本丸内で迷子になっているところを他の刀に発見された。と、後で知ることになる



ーーーーーーーーーー

毎年親戚が送って下さるメロンが食べ頃でした。
届いてから少し置いておくと甘い匂いがしてきて、同封の紙には「◯/◯食べ頃です」

甘い匂い…?最近どこかで聞いたよ?

実休光忠さん?くん?だ!

と言う事でした。

ゲームはしてませんが、Twitterで新たな刀剣くんに審神者さんたちが恋に落ちていくのを見るのが好きです。(^^)
呟いてる皆さんに感謝!
2023/07/08BACK)
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