私という人間は何とも、平凡だ。
あ、性格は割と変人って言われるんだけどね!?能力ね、能力。
学校内のテストでは真ん中。稀にそれより下になる事もあるけど・・・。
全国のテストも真ん中。
運動も平均。顔面も平均。
身長も平均。体重も平均。
平均という平均を集めたのが私。そう、櫻野惺である。
しかしまぁ、こんな平凡だと、人生暇しかないのか。
「・・・折り紙でも、折ろうかなぁ。」
うん、そうしよう。うん。クラスメイトの男子が得意だって言ってたよなぁ・・・いや、アイツは基本何でもできるぞ??
ま、そんな事は良い。
「うっわ、久し振りに折り紙面白いなぁ。・・・紙飛行機ってこうだっけ。」
案外癖になるな。
「出来たー!?え、ちょ。まじ天才じゃん。」
数分試行錯誤を続けて出来た紙飛行機。私天才かも。
あ、そうだ。
「窓から、飛ばしてみようかな。」
どの位飛ぶかなぁ。
私は窓を開け、右手に紙飛行機を構え、一思いに投げた。
「そーれ・・・・・・・
あ・・・。うそ・・・。」
平凡少女、櫻野惺。やらかしました。
地元で有名な超強いと言われてる不良くんの頭に・・・
紙飛行機投げちゃいました!!!
殺されるぅぅぅうううう!!!!!!
「あ、あ、あ、・・・あ〜!!」
どうしよう、頭の処理が追い付かない!!こ、これが・・・噂の、セルフ無量空処・・・??
あ、はい。ふざけましたね!?
だって、そんな事考えてないと恐怖で死んじゃいそうだもん!!
殺される前にショック死で死んじゃう!!!!!
「どうしよう・・・謝りに行く?あ、あ、・・・
お財布に今いくら入ってたっけ。」
あ、やばい。
今110円しかないんだ。
100均しか行けねぇじゃねーかよ!!!!(情緒不安定)
「お、お菓子とかあるかな、ないよ!!金もない、菓子折りもない・・・。」
わ、私、殺されちゃう・・・。も、もう命日なの!?まだ私中二だよね!?
未来を担う人材だよ!?!?
なのに、不良に殺されちゃうの!?!?!?
無理、無理無理!!
まだ死にたくないよぉぉぉぉぉぉおおおおお!!
ピーンポーン。
【速報】櫻野終了のお知らせ。
鳴り響いたインターホン。私は恐る恐る自分の部屋から降り、一回のインターホンを覗いた。
も、もしかして・・・配達員だったりとか・・・
違いました!!!
さっきの不良でした!!どうしよう、本格的に、櫻野終了のお知らせ流れちゃうよ!?どうすんの!?!?
で、でも…ここで出なきゃ・・・後日、襲撃に会うかも。そしたら・・・家族も・・・。
そ、それはダメ!!
私は勢いに負け、ドアを開けた。
あ、開けちゃった。
「ぴぎゃっ!!!!」
し、死んじゃう、死んじゃうよおぉぉぉ。
しゃ、謝罪!!そうだ謝罪!!
もしかしたら謝ったら許してくれるかも・・・!!
「ごめんなさいっ!!!!!!!」
許してくれるわけあるかぁぁぁぁあああ!?!?
こいつは犯罪者予備軍だぞ!?許してくれるはずな・・・
「別にいいよ。」
許してくれたぁぁぁぁあ!?!?!?!?!?!
私は今年一番のスピードで顔を上げた。
え、え、え、・・・?
「わっ。」
び、美形・・・。
金髪で・・・おでこキレイ!!私よりきれい!!私女子なのに!!!!!
眼は・・・若干光が無いように見えるけどやっぱり、美形!美少年だ・・・。
「あ、あのほんと・・・悪気はなくてデスネ?た、たまたま当たっちゃっただけで・・・。」
「あのさ、」
「は、はい!!!」
「この飛行機、お前が作ったの?」
え・・・。
「あ、はい・・・。」
「へぇ。俺の分も作ってくれない?」
・・・・・は???????
◇
「へぇ。佐野君、私と同い年なんだね。」
不良だしてっきり、年上だと思ってたなぁ。
私が思ってたより、佐野君は話しやすかった。今後私は人を見た目で判断しません。
普通に良い人だった。
「ね、惺はさ。なんで折り紙折ってたの?」
「あ、えっと・・・たまたま目に入って・・・童心が帰ったというか・・・。」
「へぇ。惺、折り紙上手だよね。」
「うん・・・。まぁ、一応、手芸部だし?上手だってのは自負してる!」
「え、じゃあ、手芸とか出来んの?」
あ、まぁ。
「うん!一応ね!」
「すご。」
へへっ、唯一の特技を褒められるのは嬉しいなぁ。
「佐野君はさ、不良だよね?あ、ち、違うなら・・・不良予備軍だよね?」
「いや、不良で良いよ??」
あ、はい。
「不良じゃないですか?・・・どうして、不良なのに、私がやらかしちゃった時に・・・暴力とか振らなかったんですか?」
「やらかしちゃった?」
あ、
「紙飛行機を投げつけてしまった事です。」
「・・・惺さ、不良に偏見持ち過ぎじゃない?」
え・・・?
「だってさ、不良だからって、女に暴力振るってわけじゃないじゃん?
それに俺、
女に暴力は振るわねぇって決めてるから。」
か、格好良い・・・!!
是非、付近のヤンキーグループの方々は佐野君を見習って欲しいです!!
「あ、そうだ!惺、今度、集会に来ねぇ?」
・・・はい?
「集会、とは・・・。」
「俺が総長の、東京卍會の集会。」
ぴえっ!?!?!?!?
そ、それは・・・脅し、ですか??
「・・・え、あ、」
「別に。誰もお前の事傷付けねぇよ?歓迎してくれると思うし。」
そんな不良って・・・
優しかったですっけ??
で、でも・・・ここで断れば、今の内は超優しい佐野君も・・・
凶暴化するかも!!!
い、行くしかない!!
「・・・い、行かせていただきます。」
あ・・・逃げ道なったなぁ。
私はこれから不良のサンドバックか・・・。
ぐ〜
え、・・・佐野君のお腹の音だよね?
「腹減った!!」
あ、これは・・・
飯を差し出せ、と??
「た、食べてく?」
「え、良いの!?」
「あ、お父さんとお母さん。朝まで帰ってこないから・・・。」
「やった!」
喜ぶ佐野君。
ふふっ、これだけ見ると・・・
不良には到底思えません。