19





チャイムを鳴らす。
 
「・・・夢ちゃん。久し振りね。」

「真央ママ・・・。お久し振りです。真央、呼んでもらえますか?」

「分かったわ。」

はぁ、怖い。凄く怖い。


「・・・夢。」

知ってた、分かってたのに息を飲んだ。

「真央。」




「っ・・・!!なんで、なんでアンタが生きてるの!!さくらは、さくらはあんな死に方だったのに、アンタだけ、逃げて!!生きて!!なんで、アンタが死なないのよ!!死んで!!!!」

はは・・・友達に罵られるって、案外辛いなぁ。
さくら、そんな悲惨な死に方だったのかな。

「・・・。」

「黙りこくってないで、なんとか言いなよ!!アンタが間違えたから!!さくらは・・・!!!!」

胸ぐらを掴まれる。

「・・・うん。でも、それは・・・わたしたちの全部を否定することになる。」

そう、言って貰えたから。


神様に転生させてもらったのも、今世の私が二人と友達になったのも、呪術高専に来たのも、全部無駄なわけがない。意味があるはず。

じゃなきゃ、私はここに来た意味がないだろう?

「・・・っ、なによ、それ。」

「元気そうで良かった。じゃあ私、行くね。」

あぁ、イヤな雰囲気だな。
でも、元気そうで良かった。

「・・・ばいばい。」


 


「・・・ごめん。怒鳴ってごめん、分かってた。本当はちゃんとわかってた。アンタが命を張って私達を逃がしてくれたことも。ちゃんと、分かってる。でも、どうしても抑えきれない感情がある。」

うん、

「本当は許してる、ただ今はね、まだ、感情の整理がついてないから、」

うん、

「あのね。もう会えないかもしれないの。」

「え・・・。」

だって、

「私、あの化け物を倒せる才能があったんだってさ。だから、あのバケモンを倒す職業に就く事にした。」

「そしたら、アンタまで死んじゃ・・・。」

「大丈夫!


 


絶対、諦めないから。」

「・・・っ。変わったね、


やっぱり、アンタがやった事、間違いなんてなかった。全部、意味があったね。」

「うん!」

お互い涙が溢れる。


これから起こるであろう何かをまた、感じながら、


未来へと歩こうと思う。





「さくら。久し振り、暫く来れなくてごめんね。」
 
さくらのお墓の前。
私はゆっくりと目を閉じ、手を合わせた。

「・・・はい、お花。」

お花を供え、お墓の横で、私は座り込んだ。

「ねー、さくら。もしかして、アンタってさ、桜だったりする?」

「・・・そうかもしれないよねー。ってなると神様、私の一番の願いを汲み取ってくれてたねぇ。本当は税金も平和もいらない、桜だけ居ればそれでいい。
・・・ま、死んじゃったケドネ。記憶取り戻して一日で!!」

「うん。でも、私。少し変わったんだよ?悟り世代の代表みたいな私がさ、諦めない。だなんて、バカかっつーの。でも、その馬鹿さが良いんだね。私ったら、忘れてたみたい。」

「今度は、お互い同じ世界に生まれ落ちなくても、恨みっこなしね。」


心地よい風が流れる。



「・・・夢ちゃん。」

「さくらママ。」

「久し振りね。」

「はい。」

「ありがとうね、会いに来てくれて。」

「いいえ。」


さくらママはゆっくりと私に近付いて行き、桜のお墓の前で一礼して、手を合わせる。

「・・・綺麗なお花。なんていうの?」

「ゼラニウムです。」

「そう。」

「じゃあ私は行くわね。」

えっ

「良いんですか?」

「えぇ。だってあなた達、まだ話し終わってないでしょう?話足りないわよね。」

「・・・ありがとうっ、ございます・・・。」




 



温かくて、優しい世界。

あれから一時間私の身で起こった事を話し続けた。

「桜、ずっと親友だね。

さくら、ずっと親友だよ。」

立ち上がる、

「ね、さくら。もう帰るね、また来るよ。

あ、そうだ。知ってる?



 




ゼラニウムの花言葉ってね_____。」



back

.