焚べる

私が死んだその日には
貴方が隣りにいてください
私を燃やす炎には
貴方に薪を焚べて欲しい

貴方が熾した炎なら
迷うこともないでしょう
天高く
まっすぐ登る煙とで、
私はあの世に向かいます

きっと貴方は迎え火で
私の帰りを望むでしょう
しかしそれは要りません
貴方が流した、その涙
それが畳に染みるとき、
私は隣にいるでしょう
いつでも隣にいるでしょう

あぁ、しかし

いつも隣にいられても
貴方はきっと気づかない

それがきっと別れでしょう
別れというものなのでしょう

貴方が灯す線香が
ゆっくり燃えて尽きる時、
燻る煙の向こうから
「さようなら」と告げましょう

貴方がくれた火と煙
それをよすがに去りましょう
炎を熾したあの日から、
貴方はすでに独りきり

だから、隣にいられても
それは「二人」ではないのです

きっと独りということは
独りなのだということは
悲しいことにそれこそが
きっと生の証でしょう

悲しい悲しい隔たりを
どうか全うしてください
それが生の証なら
それが生きることならば
それが私の望みです

さようなら
さようなら

炎と煙をありがとう
燻る煙の向こう側
私もきっと、また独り

*前 しおり
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