タイプ:独占型
台詞【本当に忌々しい】
美形弟×不細工


 幼なじみであり誰よりも心許せる親友が、いた。
俺と違ってスッゴい美形で明るくて、常にクラスではムードメーカの人気者なやつ。
俺みたいな不細工、あいつとは釣り合うはずがない。そうは頭では理解していても、あいつはそんなのお構いなしに俺の隣にいてくれた。
好きになっちゃいけない…、あいつは手の届かない人間だから…。あいつはみんなが求めるお日様みたいな人だから、俺のモノにはならない。
そう思いつつ、この思いを消すことはできなかった。

ずっと、あいつの側にいたい。
親友として。
この気持ちなんて通じなくていいから。
ただ、側に。
ただ親友として、あいつの一番でいたい。

そんな俺の密かな願いはある日突然、崩れることになる。
一人の男の出現によって。



「初めまして、兄さん…」
アイドル顔負けの顔で俺の前に現れたのは、母親の再婚相手の連れ子…つまり、新しい俺の弟であった。

俺よりひとつ年下なはずなのだが、その背は170の俺が見上げなくてはならないくらいの身長で、不細工な俺と違っていかにも教師の受けがよさそうな穏やかな優等生のような顔立ちをしていた。

にこり、と俺に笑いかけたその顔は、女の子が色めき立つくらいに綺麗な笑みで。

けれど、にこやかなその笑顔が…初対面であるはずなのになぜだか俺は恐怖感を感じてしまった。
親友と同じ…いや、それいじょうに美形な弟。
別に不良っぽい外見だとか睨まれたわけでもないのに。
初対面の時から、俺は弟に対して恐怖心を抱いていた。

その恐怖心が、本能的ものであいつの恐ろしさを感じ取ったんだ…と気づいたのはいつのことだっただろう?
あいつは、天使の顔した悪魔だと、俺だけは本能的に見抜いていたのに。


弟という悪魔のせいで俺の密かに募らせていた思いは親友にばらされた。案の定、距離をおいた親友に悲しむ間もなく、俺はあいつに犯されて、あいつの女にさせられた。


「んぐ…」
「ああ、ほら、ちゃんとくわえて?
教えたでしょ?」
「あ…んぐ…」

口いっぱいに、あいつの残液が広がる。
苦くて苦くて、その味は最初は不快で溜まらなかったのに。
今ではもう不快感を感じることもなく、すんなりと受け入れてしまえる自分がいる。

あいつの太くて熱い楔。
最初は見るのも嫌で口に入れるだけでむせていたのに。

今では嫌だ…といいつつ、前程嫌悪感を抱いていない自分に気づく。
今だって口の中に入れられたペニスにあいつに教えられた通りに舌を這わせていた。

抱かれれば、嫌だといっても最後にはもっと…とねだってしまう、浅ましい身体。
抱かれていく度に、俺ではなくなっていく気がする。
あいつに、あいつが好きな身体に作り替えられていく。

「ん…んぅ…」
「そうそう、もっとしっかりほおばって?兄さんのその可愛い俺専用のオクチで…」

こんなはずじゃなかったのに。
俺は、親友が好きだったはずなのに。

どうしてこうなった?
なんで、俺は抵抗できないでいる?
どうして、俺は…

「…なに、兄さん、考え事?嫌だなぁ…兄さん。
こっち向いてよ」

無理矢理顎をとられ、口づけられる。
荒々しいキスは、全てをまるで奪うかのように激しくて。
くちゅくちゅ、とあいつの舌は水音をたてながら、俺の舌に絡んでいく。
食べられてしまいそうな激しさに後ずさるけど、俺の後頭部に回されたあいつの手がそれを許してくれなくて。
深く深く、口づけられる。
こぼれ落ちる吐息は、ただただ熱くて、俺のモノじゃないみたいに艶っぽい音を漏らした。

散々、キスをされてぼんやりとした思考で弟を見やる。きっと俺の顔は赤らんでいて、物欲しそうな顔をしているんだろう。
弟は満足そうな顔で笑うと、「目、潤んで可愛いね」と俺の乳首を摘みながら、俺の首筋に噛みついた。ちりっとした痛みが走りあいつの痕がつく。

もう服の下には数え切れないほどに刻まれたあいつのものである証。


「兄さんは俺のことだけ考えていればいいんだよ。
俺だけ愛して、俺のことだけ考えて、俺だけの為に生きて、俺だけの兄さんでいて。
心も体も何もかも。
他の誰にも渡さないで。俺だけの兄さんでいて…俺だけのモノでいて…」

甘くささやいて、首筋に口づけを落とされる。
唇に触れられたところが、熱を持ったようにあつかった。

「ねぇ…俺だけの兄さん…。兄さんはね、俺だけに依存すればいいんだよ?俺だけはどんな兄さんでも愛してあげる。どんな不細工でも、誰にも相手にされなくても…俺だけは兄さんを愛してあげるよ?どんなことがあっても…ね」

にやり、と笑った瞬間、あいつの目が冷たく煌めいた。

捕らえられた視線に、もう逃げることができないと知り俺はひっそりと涙をこぼした。





「ああ、本当に忌々しいなぁ…。」
兄さんの頬に伝った滴を見て、苦々しく呟く。
兄さんの可愛い寝顔をみれて幸せなのに。
未だに兄さんの心にはあいつがいるのか、俺がどれだけ兄さんの身体を奪っても、兄さんは俺じゃない誰かを思って時折涙をこぼしていた。

「…俺だったら、なによりも大切にするのに…どうして、俺のこと、好きになってくれないの?」
こんなにも切なく思っているのに、きっと兄さんには少しも伝わっていない。
それが悲しくもあり苦しくもある。

俺には兄さんしかいないのに。
兄さんの心には長年思っていた親友が、いつまでたっても消えることなく存在していた。

どれだけ身体を重ねても愛していると囁いても。

あの男は、兄さんの思いに距離をおいたのに。
俺だったら、兄さんに好きだと言われたら絶対にそのまま離さないで、俺だけのものにして他の誰にも奪われないように大切に隠すのに。
なんで、兄さんは俺じゃなくてあいつのことが好きなんだろう?

あいつの顔が好きなの?
あいつの性格?

俺があいつに少しでも近づけば兄さんは俺を見てくれる?
あいつを消せば兄さんの中で俺しかいなくなるのかな。


「兄さん、ねぇ、このままじゃ、俺兄さんが好きすぎてどうにかなっちゃいそうだよ…」

兄さんの塗れた頬を掌で撫でる。
しかし、散々抱かれた兄さんは起きることはなく…小さな声で、「ん…」とこぼしただけだった。

「ねぇ、兄さん…」

寝ている兄さんの耳元で、そっと呟く。

「愛してるよ…」








独占恋愛型をかいたつもりなんですが、愛情独占形になっているような…?




- 2 -

*前次#

百万回の愛してるを君に