仕事が出来ておもしろくて、かっこよくて。
三井先輩は社内の人気者。

そんな彼から突然、告白をされた。

「名字、突然呼び出して悪かったな」
「…いえ。」
「あのよ…もし付き合ってる奴とかいなかったら…」
「……」
「俺と付き合ってくれ」
「え…!?」
「ずっと、その…好きだった。」
「…はい。」
「へ?」
「私も好きでした…!」

夢見心地のまま迎えた初めての朝。

「……」

先に目を覚ました私は三井先輩の顔をジッと見つめる。
長い睫毛、通った鼻筋。
何か企んでいるような唇に、左顎の傷。
私はそっと、その顎の傷に指を這わす。

「…んん、」
「あっ…。」

三井先輩が身動ぎしてこちらに体ごと向いた時
ゆっくりと切れ長の瞳が開いた。

「……」
「…くすぐってぇ」

そう呟いてまた瞳を閉じた三井先輩は長くて逞しい腕を私の頭の後ろに回して身を引き寄せ私は三井先輩の腕に収まる形になった。
また三井先輩の肌に触れた事で昨晩の事を思い出し途端に恥ずかしくなった私は彼の胸に顔を埋めた。

「…名前」

初めて私の名前を呼んだ彼の声が脳裏に重く響く。

「おはよ。」

そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。

「おはよう、三井先輩。」
「名前で呼べよ」

彼はそのまま私の左手に自分の指を絡めて
薬指にそっとキスを落とした。

「起きるか、そろそろ」
「…うん。」

彼がベッドから降りてリビングへ向かった背中を見送って、私は先ほど絡まれた左手を天井にかざして薬指を何度も触る。昨晩から頬が緩みっぱなしだ。

「…キャッ!」

急に視界が暗くなり、見上げると三井先輩が私に覆いかぶさっていた。

「一人で楽しんでんじゃねぇ」
「え、楽しんでなんか…」
「俺も交ぜろよ…」

そのまま私はまた、彼の腕に抱かれた。





とは、
永遠を予感すること。




(指輪欲しいか?)
(…えっ?)


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