綱海と電話と差し入れ
※会話のみ
「もしもし」
『よぉ凪沙!』
「どしたの急に」
『いや、今日はいい波が出てっからよォ! お前に電話でもしようかと思ってな!』
「理屈が分からなすぎる」
『今家か?』
「や、学校。用事ないなら一旦切っ──うわっ」
『どうした? 大丈夫か?』
「大丈夫弾いたから……おらよっ」
『今の音ボールか?』
「そう。サッカーボール」
『お? お前サッカー部入ってたのか』
「違う違う。差し入れついでに練習見に来ただけ」
『差し入れ!? っか〜そいつらが羨ましいぜ! な、今度俺にもなんか作ってくれよ!』
「それ一個沖縄まで送れってか。ってか何で手作りだって分かって……」
『お前のことなんてこの俺にはお見通しよ! 凪沙お前、料理昔っから得意だったもんな! ま、昔は味はともかく見た目は酷かったけどよ』
「うるせぇいつの話してんの。とっくに十分まともなもの作れるようになってるでしょ」
『だからさ、今度なんか送ってくれよ! もしくはまたこっちに来いよ』
「あー……気が向いたらね」
『っか〜、つれねーなぁー! お前のに〜にが寂しがってるぜ?』
「誰が私のにーにだ。ただの従兄でしょ」
『なんだよ〜お前は俺に会いたくねーの?』
「別にそうとは言ってないけど……」
『けど?』
「いや別に……」
『別に?』
「あーはいはい私もたまには条介くんに会いたいですよーっと」
『お? そうか? だよなぁ!? へへっ』
「半ば無理やり言わせといて何照れてんの……」
『しっかし、お前が誰かに差し入れなぁ』
「え、何」
『まさか惚れてるやつでもいんのか?』
「はっ!?」
『うおっ急にでけー声出すなよな!』
「うっさいそっちこそ急にふざけたこと抜かすなって、そんなもんいないっての……ったくどいつもこいつも……」
『なんだよ落ち着けって』
「至極落ち着いてるわ」
『全然落ち着いてねーから言ってんだろ。さっきも言ったろ、お前のことならお見通しだってな!』
「……条介くん今腰に手当てて少しふんぞり返って誰にともなくドヤ顔してるでしょ」
『あ!? なんでわかったんだ!? やっぱりお前も俺のことはお見通しってか!』
「あまりにもわかりやす過ぎる……」
『でもよ、惚れた奴がいるってんじゃなくて安心したぜ』
「や、なんで条介くんが安心するの……」
『お前に見合う奴かどうか、こっからじゃわかんねーからな! 変な奴に捕まったりしてたらすぐ言えよ、俺がぶっ飛ばしてやっから!』
「父親か」
『お前は昔っからなんだかんだツンケンしながらもいい奴だからよォ〜。つってもまあ、言うときゃはっきり言う漢気があるから大丈夫か!』
「誰が漢だ」
『それによく考えたらお前なら自分でぶっ飛ばすな』
「私何者?」
『まっとにかく安心したってことよ。お前あんまり自分のことも話さねーしなぁ。なんかデケーことあっても、おじさんに言ったりしてねーだろ?』
「……いや、あー……」
『あんまり心配かけてやんなよ』
「……うん」
『なんかあったらおじさんにでも俺にでもダチにでも、お前が信頼できるやつなら誰だっていいんだ。ちゃんと言えよ』
「……うん」
『あれだろ、その野球部に仲良いダチいるんだろ?』
「やサッカー部なんだけど。台無し」
『あり? そうだっけか? まっそんなもん海の広さに比べたら』
「ちっぽけじゃないから、重要なところだから」
『アッハッハッハ! わりぃわりぃ!』
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