「かき氷のシロップってさぁ、実際にはフルーツは使われてないらしいよ」
「あ? マジかよ」
「香料だけで私たちが勝手に味を感じてるんだって。でさぁ、このメロンフロートもさ、原材料にメロンって文字ないなって今気づいた」
「……マジかよ」
「メロン高級品なのにどの味も値段同じだからお得だと思ってたのにさぁ……騙されたよね」
「長年信じてたっつーのに……」
ブツブツ言いながらも、互いにザクザクと自分の領地を掘り進める。キンと冷えたエセメロン味かき氷が、真夏に茹だった心身を冷やしてくれた。でもなんだかんだ普通にメロン味としか思えないよね。
私は好きなものは最後に取っておきたい派だから、中心(半分こだから半円だけど)のバニラアイスはたまに掬いつつも、周りからごりごり削っていた。最後に多めに残ったバニラを一気に頬張って、なめらかな甘みに痺れるのが至高。対して横であぐらかいてる紋土くんは、端から適当に食べているようだった。ホントに雑な奴だ。
「つーかこの部屋暑ィんだけど。エアコンぶっ壊れてんじゃねーの」
「なんか今年効き悪いんだよォ。紋土くん掃除してよ。私届かないから」
「なんでテメーの部屋のエアコンの面倒まで見てやんなきゃなんねンだよ。バカ一人で手一杯だっつーの」
「おいバカって何? 私か? 喧嘩売ってんのかコラ」
「カッカすんなや余計暑くなんだろ」
「だァれのせいだと思ってんだ」
小さなテレビ画面では、先日録画した映画が中盤に差し掛かっていた。真夏の大家族の物語は、何度見てもワクワクして面白いし、ドキドキするし、大おばあちゃんはかっこいいしおじさんもかっこいいし。あーあ、私もこういうひと夏の青春みたいなの味わいたいよ。何せ私の隣にいるのはこいつだもんなァ……。
「は〜あ……」
「んだよその鬱陶しいため息」
「別にぃ。もう食べ終わっちゃうなと思っただけ」
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