「たでーま」
「お姉さんこんにちはー!!」

 慣れ親しんだ声に次いで、大砲のような挨拶が玄関からキッチンまで飛んでくる。今日は友達を連れてきたらしい。リビングの戸が開くと案の定、千空さんの隣には大樹くんもいた。

「おかえり千空さん。大樹くんもこんにちは。冷凍庫にアイスあるから、自由に食べてくださいね」
「アイス!! ありがとうございます!!」

 どれでも三個で割引が入るお得な日。千空さんはパソコンなんかをいじりながらでも食べやすいチアパック型バニラアイスがお気に入りだから、それを三個とも迷ったけど、大樹くんもいるならバリエーション豊富にしておいて良かった。
 スクールバッグを置いた彼らは洗面所で手を洗ってきてから、早速冷蔵庫に駆け寄る。今日は特に暑かったからか、アイスを前に千空さんの足取りも軽く見えた。

「デカブツどっちがいい。あ、こっちはアイツのだから」
「じゃあかき氷!」
「ククク、言うと思ったわ。じゃ俺こっちな」

 不意に聞こえた自分を指す言葉に、キャベツを千切りする手が止まる。自分の分まで買ったつもりはなかったのだ。パキリと蓋を回して吸い口を咥える千空さんに、私の分は気にしなくていいのだと伝えると、

「あ? だってテメーこれ好きだろ」

 と、見せられたのはチョコモナカアイス。そういえば前に、ぽろっとそんな話をした気もする。だけどあんな些細なことを覚えててくれたんだ。不思議そうにつり目を丸める彼が愛おしくて、口元がむずむずと緩んでいく。

「……何だ? その顔」
「なんでもないですよ」

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