「モナカっつーのは基本もち米が原材料だが、そりゃ和菓子の話だ。アイスに使われるモナカは、ほぼほぼ小麦粉でできてる」

 知らなかった。あまり味覚が鋭いわけでもなかったし、どちらのモナカ生地も同じようなものだと思い込んでいた。彼といるとどんどん新しい知識が増えていき、それがとても楽しかった。

「もち米から育てないと食べられないと思ってました」
「ククク、まあどのみち無きゃ無いで別のモン使って作りゃいい話だけどな。こっちのチョコみたいに」

 バレンタインの時に生まれた、赤エンドウを使った代用チョコ。真ん中に挟むことを見越して、かなり薄く作られていた。さらにそれを溶かしてソース状にしたものもカップに用意されている。

「あとは仕上げだ。まず焼き上がったモナカ生地にチョコを塗る! こうすっとアイスが溶け出して即フニャることもねぇ。そしてアイス、板チョコ、またアイスを乗せてもう一枚の皮でサンドすりゃ──チョコモナカアイスの完成だ!!」
「わあ……!」

 石化前にしばしば食べていた好物が目の前に生まれ、感極まる。早速一列割って齧ると、パリッと素朴な味わいのモナカ生地に、甘いバニラアイスとパキパキ割れる板チョコのコンボが口の中で広がって、一気に三七〇〇年前に引き戻される感覚がした。もう戻らないけど、何度だって再現できる。科学があるから。

「本当に美味しい……ありがとう、千空さん」
「あ〜、優秀な助手様にはこれからもバリバリ働いてもらわねーとだかんな。たまにゃ褒美も必要だろうよ」
「フフ、そういうことにしておきましょうか」

 お皿に残ったアイスを半分に割って、片方を彼に差し出す。

「一人じゃ食べきる前に溶けちゃうから」

 そう言うと千空さんは素直に受け取ってくれた。大きな一口で齧り取ると、彼の目元がなんとなく緩んだ気がした。

「ん……悪くねぇな。やっぱ夏はアイスだわ」
「ですねぇ」

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